エルおおさかで4回目の酸性雨講演会を開催

 

 1995年7月に大阪・第4回の講演会を「環境の酸性化による生態系影響」と題してエルおおさかで開催した。座長は村野健太郎氏(国立環境研究所)、田口圭介氏(大阪府公害監視センター)と押尾敏夫氏(千葉県環境研究所)がつとめた。

 玉置元則氏(兵庫県立公害研究所)は「乾性沈着測定法の確立に向けて」と題して、現在濃度算出のために主に使用されている諸手法について説明した。代理表面法は科学的には問題が大きいが実際の沈着量が求められる利点がある。多段ろ紙法はサンプリングアーティファクトがあるが、取り扱いが簡便で熟練した技術も要しないことから世界各地で普及しつつある。その基本は3段であるが、4段でも使われている。拡散デニューダー法はより科学的に厳密な測定法ではあるが、操作がきわめて煩雑であり熟練を要する。それ以外にもスクラバー法などが使用されている。また、この発表に対して、松本光弘氏(奈良県衛生研究所)から「4段ろ紙法による測定法の開発ならびに奈良における乾性沈着量」と「アニューラーデニューダーによるガスおよびエアロゾルの測定」例が示された。また、押尾敏夫氏(千葉県環境研究所)から、「乾性沈着量を見積もるためのパッシブな湿性サンプラーの提案」もあった。

 小沢徳太郎氏(スウェーデン大使館)は「スウェーデンから見た酸性雨問題」について講演された。小沢氏は「いま、環境・エネルギー問題を考える、−現実主義の国を通してー」(ダイヤモンド社)などで、興味ある視点から環境問題を論じられている。小沢氏は日本とスウェーデンを対比させながら主に次の点について意見を述べられた。@環境の酸性化に対する認識の相違、A環境モニタリング、B湖沼、河川のモニタリング・プログラム、C1990年の全国湖沼総合調査の要約、D湖沼に酸性化と重金属などの有害物質の関係。最後に、199511日にスウェーデンはEUに加盟した。これによりスウェーデンの環境政策は一国の環境政策というよりもEUの環境政策として位置付けられるであろうと締めくくった。

 佐竹研一氏(国立環境研究所)は「環境の酸性化と森林・湖沼・河川の生態系」について講演された。佐竹氏は日本の酸性雨研究の第1人者として、とりわけ生体影響の点からリーダーシップを発揮されている。佐竹氏は数々の研究例を示しながら、酸性雨被害の歴史的な経過を説明された。とくに、自然の宝庫である屋久島に酸性雨被害の可能性のあることを懸念された。また、2000年酸性雨国際学会成功のための協力をうったえられた。

 参加者は約160名であった。

 

 

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