金沢市で初めての酸性雨講演会を開催

 

 19997月、初めて金沢市で酸性雨講演会を開催した。これは、全国公害研協議会・東海近畿北陸支部の酸性雨共同調査グループ主催の酸性雨情報交換会が翌日から石川県白山周辺で開催されることと、石川県農業短大・皆巳先生等からの暖かいお誘いの言葉があったことによって実現した。テーマは「面的に見る北陸の大気・土壌環境」と設定された。

 最初の講演は土器屋由紀子氏(東京農工大学農学部)が「日本海側各地での降水の化学成分」と題して発表された。土器屋氏は気象大学校で1995年、96年と97年の冬の降雪試料について、気象官署に所属する卒業生のネットワークを利用して、同時期に同じ方法でサンプルを入手し化学分析を行った例を中心にして報告された。1995年の例では非海塩硫酸イオンの沈着量は日本海側で多くやや西側で量が多かった。これは西側ほど降水量が多かったことに関連している。一方、硝酸イオンの沈着量にはそれほど大きな差は見られていない。

 田崎和江氏(金沢大学大学院自然科学研究科)は「金沢市各地での窒素酸化物の観測」

と題して発表された。地域の大気環境を自らの手で調査研究しようと1993年から始められているものをまとめて発表された。一例は次のようであった。30名の学生が金沢市内300箇所のNOを測定した。電子顕微鏡、エネルギー分散分析,X線回折分析によりすすの観察と分析も行ったほか、主な交差点ごとのNOの時間的変化も調べた。

 長谷川和久(石川県農業短大生物生産学科)は「兼六園の土壌と酸性雨」と題して発表された。主な結果は以下のようであった。@長期にわたる多量の降雨は大気中のNO濃度を低下させる。ANO濃度が秋より春の方が高いのは植物の葉緑体による窒素同化のためと考えられる。B交通量の多い繁華街・主要道路ではNO濃度が高く、住宅地・公園などでは低い。このことは自動車の排気ガスがNO発生の原因の一つと考えられる。C地下駐車場のNO濃度は空気の流れや換気の悪いところでは高い。D高層ビルのNO濃度は高さが増すに従ってNO濃度は低くなり、空気の循環がNO濃度に関係している。

 

 

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