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これなら安心! アトピー性皮膚炎

多羅尾美穂子
1999年4月30日初版 2001年7月20日第3版
カヨウ出版 〒501-6236羽島市江吉良町517 058-392-5611定価 \1,000

たらお皮膚科院長 多羅尾美穂子(たらおみほこ)
1972年(昭和47年)岐阜大学医学部卒業
1980年(昭和55年)より、たらお皮膚科開業
皮膚科専門医、日本皮膚科学会会員
〒503-0901 岐阜県大垣市高屋町 2-44 0584-78-6368

はじめに
 今、アトピー性皮膚炎の治療はステロイド(副腎皮質ホルモン)の使用をめぐって大きな混乱がおきております。また、治療法も数えきれないほどあります。その中でどの治療法を選ぶかは大変難しいことです。アトピー性皮膚炎ほど個人差の大きい病気は他にあまりありません。
 ただ、共通していることは、ステロイド(副腎皮質ホルモン)を使用すると一時的には皮膚炎が改善したようにみえても、使用を止めた時にかゆみがひどくなったり、時には激しいリバウンド現象が出たりして、結局は長い間苦しまなければならないことが多いのです。
 アトピー性皮膚炎に限らずステロイド(副腎皮質ホルモン)の乱用による副作用で苦しんでおられる患者さんがこれ以上増えないことを願って、平成10年7月7日にホームページを開きました。(たらお皮膚科URL http://www.mirai.ne.jp/~seisinc5/index.htm)患者さん一人一人に詳しい説明をすると良いのですが、限られた診療時間の中ではとうていできません。
 特にアトピー性皮膚炎は薬だけではなおりませんので、生活改善が大変重要となってきます。しかも、現在の保険診療で認められている薬は限られていますので、患者さん自身が自分の病気を冷静に受け止めて、薬のみに頼るのではなく、自然治癒力をたかめ、自分自身でなおすという強い意志がないとなかなか良くなりません。
 また、現在私の医院では、患者さんの数パーセントはステロイドの使用法の誤りで発生した病気のために通院されています。
 このような現状の中で、一人でも多くの方に、ステロイドを使用しないで安心してアトピー性皮膚炎をなおす方法と、ステロイド外用薬に関する正しい知識を伝えたくて本書を執筆しました。
 アトピー性皮膚炎の治療に関する本は、書店でも非常に多くみかけますが、本書では皮膚科専門医の長年の臨床経験を基にアトピー性皮膚炎とステロイド(副腎皮質ホルモン)の功罪という、今までに例をみない観点から書いてみました。
 ホームページをみて頂いた方も本書ではさらに詳しく、また具体的に今何をしたら良いかをわかりやすく解説しましたので、ぜひご一読ください。
平成13年7月
たらお皮膚科 院長 多羅尾美穂子

目次
第1章 アトピー性皮膚炎とはどんな病気?
第2章 アトピー性皮膚炎の原因
第3章 私のアトピー性皮膚炎の治療方針
第4章 アトピー性皮膚炎治療のポイント(1)〜(12)
第5章 部位別にみたアトピー性皮膚炎の悪化の原因
第6章 良い治療ができるために患者さんへのお願い
第7章 ステロイド外用薬とは何?
第8章 ステロイド外用薬の種類
第9章 ステロイド外用薬は正しく使用しましょう
第10章 ステロイド外用薬の副作用
第11章 ステロイド外用薬の副作用の出る本当の理由
第12章 ”あまった”ステロイド外用薬のゆくえ
第13章 ステロイドの被害は自分自身で防ぎましょう 実際によくある例
第14章 プロトピック軟膏について
第15章 Summary in English
あとがき

本文から
第13章 ステロイドの害は自分自身で防ぎましょう 実際よくある例
(3)「一部の皮膚科医院」および「一部の外科、内科、産婦人科、小児科などと併記して皮膚科の標榜もしてある医院」では、「皮膚病=ステロイド外用薬」と考えて、皮膚に病気があればみんなステロイド外用薬を処方し、なおらなければ水虫の薬(抗真菌剤といいます)を処方するという、一定のパターンで”診療(?)”を行っています。これは「とんでもないこと」です。なぜなら、病気や医院で使用する薬は市販されている薬より強い薬が多く、さらに悪いことに患者さんは「医師を信頼しているから」です。
 日本では「医師免許証」さえあれば、「皮膚科」という看板を自由にかかげられる所にも問題があります。しかも、皮膚科専門医のあいだでもアトピー性皮膚炎にステロイドを使用するかどうかは、いろいろな考え方があって現在のところ統一されていません。アトピー性皮膚炎の方の苦しみを思うとき、胸が痛くなります。本当に断腸の思いです。

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