九重山

九重山の最寄り駅である豊後中村駅 九重登山口
アキノキリンソウとマツムシソウ 雨が降ると池が出来るらしい雨ヶ池
法華院温泉山荘 山荘の夕食
硫黄の匂いがする九州最高所の温泉 風呂場のテラスからの景色
急登の中岳白口谷登山道 坊がつる
水の流れが存在した白口谷 中岳まで20分の地点
九州本土最高峰の中岳 硫黄山の噴煙
久住山と御池 久住山山頂1786.8m
久住分かれ非難小屋 比較的平坦な牧の戸への道
利用者の多い牧の戸登山口 茶店

2007年9月4日火曜日〜5日水曜日

羽田7:30-福岡空港-博多-久留米-13:11豊後中村13:35-14:30九重登山口-雨ヶ池15:50-16:50法華院温泉山荘(泊)
法華院温泉山荘7:15-9:50中岳-10:50久住山-13:00牧の戸登山口

失業手当で何とかしのいでいる状態だが少しは息抜きで旅をすることにした。日曜日に電験3種の試験があって一段落ついたということもある。

18きっぷを購入しておいたのでJR乗り潰しの旅しようと思った。九州の島原鉄道が一部区間廃止されると言うので九州のJRプラス島原鉄道の旅をすることにした。ついでだから去年、予定していた百名山の一つ九重山も制覇しようと計画を立てた。

その結果、飛行機を使うことにした。この計画だと18きっぷを利用するメリットがほとんどなくなってしまう。

福岡空港から地下鉄で博多に行きそこからJRに乗り換え。九州の鉄道は色々な列車が走っている。特急とか快速も使われている車両も含めバラエティに富んでいる。博多から転換クロスシートの快速に乗る。博多で買った駅弁を車内で食べる。

40分ちょっとで久留米に到着。予定より1本早い列車だったので久大本線の単行の列車のボックス席を運良く確保出来た。発車する頃にはかなり車内は混雑した。

日田で乗り換え豊後中村に着く頃には車内はだいぶ空いてきた。

九重山登山口行きのバスに乗る。途中、九重“夢”大吊橋という巨大吊り橋が見えた。その橋から日本の滝百選・震動の滝が見えるらしい。翌日時間があったら寄って見ようと思った。

バスは筋湯温泉を経由する。地熱発電所が2ヶ所ある。発電所からもうもうと蒸気が上がっている。化石燃料を使わずクリーンな発電システムである。ちなみに電験の試験にこの地熱発電に関する問題がでることがある。

九重登山口は長者原と言われる草原になっている。この近くに寒の地獄という硫化水素鉱泉があり、14度の冷泉にそのまま入る混浴風呂が名物らしい。今日はその冷泉ではなく源泉の温度が45度程の法華院温泉山荘に泊まる予定である。

但し、歩いて2時間以上かかる。天気は雨がぱらついているが大降りにはならず助かった。ただ、厳しい山道を大汗掻きながら歩かねばならなかった。

長者原の草原地帯から森林の中に入り、涸れた沢を横切る。土石流注意の看板が立っていた。最近、電験の勉強ばかりだったので久しぶりの登山だ。しかも、スポーツクラブにもあまり行っていなかったので2時間ちょっとの道のりだったがかなり堪えた。

雨ヶ池付近にはマツムシソウやアキノキリンソウなどの花が見られた。花と言えば6月には大船山一帯はミヤマキリシマでピンク一色に染まるらしい。その頃だとこの付近は大変賑わうらしいが今日は10名弱くらいの人にしか会わなかった。

高層湿原のようなというか1300m程の標高があるから高層湿原だと思う坊がつるを見渡せる所に位置する法華院温泉に17時前に到着。

入口には外来入浴500円の紙がある。自販機も入口以外にいくつかある。売店もスナック菓子など豊富に置いているが寂しいことに今日は私を含め泊まるのは2人だけとか。

ここに来るには歩くのみと思っていたが林道が通じているようで車が停まっていた。宿泊者は送迎してくれれば助かるのにとか思ってしまった。

部屋に案内される。窓の外に坊がつるの雄大な草原(湿原)が広がるのが見えその先には大船山や平治岳などの山塊がそびえたっている。

名物の温泉に早速入ってみる。廊下を歩くときしむ音がする。食堂を通り階段を下ると男女別になっている入口がある。標高1303mに涌くこの温泉は九州では最も高い位置にあるらしい。

湯はそれほど熱くなく硫黄の匂いがする良い温泉だ。坊がつるを見渡せる高台にあり景色はなかなか良い。ついでだから露天風呂も作ってしまえばと思うが多分登山者に丸見えになるだろう。

飯を食べたあと明日の計画を練る。九州最高峰の中岳から久住山を経由し牧の戸へ下るというルートが楽だ。ただ予定のバスに乗れない場合は久住山から九重登山口へ下ろうと思った。ここからはバスの本数が多いのだ。

下山後の予定もあれこれ考えたが翌日以降散々な目に遭うとはこの時は思わなかった。

夕方から夜中にかけ雨がかなり降っていたが朝には上がっていた。ただ雲が多い。1日雨が降らなければ良いなあと思った。

朝食は7時だった。飯を食べたらすぐに出発。いきなり急登である。

登山道は朝日に照らされて気温が上がり大変蒸し暑い。しかも下草が生えていて昨夜の雨のせいもあって濡れている。

高い木は無く低木の登山道で振り返ると坊がつるの湿原が見える。しかし暑い。ドリンクは宿の自販機で買ってきたのだがもっと買ってくれば良かった。

沢沿いを歩く箇所がある。この沢は水の流れがある。顔に掻いた汗を水で洗い流す。水は冷たく気持ちいい。

2時間ちょっとで稲星山との分岐にたどり着いた。ガスがこちらに向かってきた。稲星山に登っている今日始めて見る登山者はガスの中に消えていった。このまま悪天候に向かうかと思った。

中岳は先ほどの分岐から20分で着いた。ここは九州本土でもっとも標高の高い所だ。ただ、久住山や稲星山、大船山などもほとんど同じ高さであり、見た目ここより高い気がした。

阿蘇などは雲(ガス)で見えない。しかし、硫黄山の噴煙や久住山、手前に見える濃い緑色した水面の御池が見える。ここから、主峰の久住山に向かった。池のすぐ先にあるが一旦、池の湖面まで下り、さらにそこから長い下りが存在するとは思わなかった。

噴火口跡らしい窪みを左手に見ながら分岐の標識にたどり着いた。ここに荷物を置き久住の頂に向かった。軽くなったので楽でよい。

この時間帯は登山者が多い。前後に人がいる。ガレ場を登ると尾根上の道になる。ここから僅かに歩けば久住山頂だ。360度の雄大な展望が広がる。高原の緑が鮮やかに見え、反対側には硫黄山の煙が見える。

ここから、牧の戸へ下る計画だったが予定のバスに間に合わないので久住分かれから九重登山口へ下ろうと思った。しかし、看板に火山活動のため通行禁止とあった。仕方なく牧の戸口へ下ることにした。

西千里浜と呼ばれる草原のような所を通る。この辺りは平坦な道が続くので楽でよい。今度来る時はこちらから登って法華院に下るようにしたいと思った。

体がだるい。熱中症だ。残り僅かのドリンクを全部飲む。バスは夕方まで確か無い。どうしようかと思いながら歩く。最後は舗装された下りだった。

嬉ことに牧の戸には売店が存在していた。早速ドリンクを購入して飲んだ。タクシーでも呼ぼうかと思ったが夕方まで待つことにした。

後で調べて判ったのだが九州横断バスという定期観光バス(兼路線バス)がここを通っており途中で余計な休憩していなければ12時41分の湯布院経由別府行きに乗れたようである。

九重“夢”大吊橋に寄る予定もパーになった。牧の戸でかなり休憩する羽目になった。ここは別府・湯布院から阿蘇に抜けるルートで観光バスを含め車の通りが多い。

バスに乗り湯布院駅に着いた。土砂降りの雨である。単行の日田行きに乗ったが大雨の影響で2時間足止めを食らった。

鳥栖駅の近くのビジネスホテルに泊まる。次の日は部分廃線になる予定の島原鉄度に乗った。雲仙普賢岳の麓を走るローカル私鉄である。普賢岳から白い煙のようなものが上がるのが見えた。雲か火山ガスか判らないがあの大火砕流は私にとって印象の残る出来事だった。

もう一つ気になったのは田んぼに存在する不気味なオレンジの塊だった。この物体はジャンボタニシの卵で稲の葉や用水路のコンクリートの壁などいたるところに産み付けていた。

終点の加津佐からバスで戻ろうかと思ったが帰りも島鉄で帰る。JR長崎本線は普通列車が極端に少なく、部分的に特急を使った。18きっぷ泣かせの区間である。

関東地方に台風が接近している影響で帰りの飛行機が欠航になってしまい、もう一泊することになった。なんとついていない。最初から判ればわざわざ特急利用することも無かっただろうに。

次の日、18きっぷの残りを使って筑豊本線や香椎線など乗り潰す。原田駅からの列車は1両のディーゼルで本数少ない。桂川までの区間は非電化で雰囲気的になかなか良かった路線だ。

今回は山頂での天気だけは良かった。あまりに良すぎて日焼けして顔や腕の皮膚が剥けて参ったほどだ。その他は天気も含め予定通りに行かない旅であった。