『嗚呼、my 名盤!』 その2
マーヴィン・ゲイ “what's going on”
十数年前のある日、僕はロンドンのハイドパークを歩いていた。
ロンドンは滞在三日目だというのに、三日間共どんより曇った重い空で
この日は朝から小雨まじりだった。雨宿りがてら近くのレコードストアに入り
衝動買いをしてしまった。マディ・ウォーターズのライブ盤、ドアーズの1st、
オーティス・レディングのベスト盤、そしてこの“what's going on”。
そんないきさつからか、このアルバムジャケットをみると僕は、あの日の
雨のハイドパークを思い出すのだ。
表ジャケットのマーヴィンは慈愛に満ちた表情で、一方、裏ジャケットはというと
まるで苦痛に歪んだ不安な表情だ。僕は英語はよくわからないので
その当時は、なんでこんな難しい顔をしてんのかなあ?という疑問があった。
三、四年前このCDが出たとき、レコード派の僕ではあるが、ついついというか
なるべくしてというか、買ってしまった。この時歌詞カードを見て初めて僕は、
マーヴィンが戦争や社会問題他、そして愛を歌っていることを知ったのだった。
と同時に、やっとジャケットのマーヴィンの表情の意味(勝手に僕がそう思い込んで
いるだけなのかもしれないが・・・)がわかったような気がした。
まあ、僕がとやかくいうよりも何よりも、とにかくメロディ、詞、アレンジ、
コーラスワーク、そしてジャケットと何拍子もそろったこのトータルコンセプト
アルバムを是非皆さんにも聴いてもらいたいなあ、と思います。もひとつ
言わせてもらうならCDよりレコードでね。
ちなみに僕のベストトラックは“mercy mercy me”です。嗚呼、名盤です。