電子投票とそのバリアフリー

昨年行われたアメリカ大統領選挙。 投票用紙の不備で疑問票が大量に発生し、1ヶ月近くも大統領が決まらないと言う騒ぎになったのを皆さんも覚えていらっしゃるのではないでしょうか。 また今年の夏の参議院議員選挙では、「非拘束名簿式」という新しい投票方法のため無効票が多く発生してしまいました。 このような事態は、選挙システムがとても複雑になっていることが原因のようです。そこで選挙事務を迅速化、効率化しようという目的で、「電子投票」と言う新しい選挙システムが確立されようとしています。 そこでこのページではこの電子投票、特に電子投票のバリアフリーについて、現状の問題点や今後の展望などをご紹介します。

電子投票とは

狭義の電子投票とは、タッチパネルや押しボタンなどを利用して、投票と言う行為その物を電子化することをいいます。 またもう少し意味を広げて、パンチカードやマークシートによる投票や、パソコンを用いたインターネット投票などを含むこともあります。 これを広義の電子投票と言います。

直接記録式電子投票

タッチパネルや押しボタンを用いて投票行為を電子化し、投票をデジタルデータとして扱う方法を「直接記録式電子投票」といいます。 パンチカードやマークシートによる方式は、昨年のアメリカ大統領選挙でも問題になったように、票の読み取り能力に限界があり、選挙結果に対する信頼性を十分に得られないという問題点があります。 また押しボタン式の電子投票機では、候補者の人数分だけボタンを用意しなければならず、多様な選挙に対応できません。

インターネット投票

インターネット投票は、投票所に行くことを義務付けずに個人のコンピュータとインターネットを用いて投票を行うシステムです。 しかしこれには根本的な問題があります。 それは、インターネット投票では、投票する私たち有権者が、個人の自由意思によって投票しているかどうかがわからないという点です。 インターネット投票は密室での投票となるので、買収や脅迫による投票が行われる可能性を否定できないのです。

電子投票のメリット

電子投票を行うメリットには、次のような物が挙げられます。

電子投票の導入形態

総務省(旧自治省)が平成12年8月に提出した電子機器利用による選挙システム研究会中間報告書によると、電子投票の導入に際して次のような段階を設けています。 そして当面は、地方選挙において第一段階での導入を検討すべきと提案しています。

第1段階
選挙人が指定された投票所において電子投票機を利用して投票する段階
第2段階
指定された投票所以外の投票所においても投票できる段階
第3段階
投票所での投票を義務付けず、個人の所有するコンピュータ端末を用いて投票する段階。

次回は電子投票機とその問題点について紹介します。

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