前回は「電子投票とは」と言うことで、電子投票のメリットやその導入に関することをご紹介しました。 今回は、電子投票機についてお話したいと思います。
まずは電子投票機の機能などをご紹介します。
まず投票機の前面右側に、投票カード投入口があります。 その右には、音声ガイド用スピーカーがついています。 投票機の上面部には15インチのタッチパネルがあり、健常者はそれを見ながら投票を行います。 視覚障害者は、候補者の読み上げをヘッドフォンで聞きながら、専用入力パッドで投票を行います。 この入力パッドには、上段、中段、下段にそれぞれ2個ずつ、計6個のボタンがついています。 上段には、投票を最初からやり直すときに用いる三角ボタンと、投票を棄権する際に用いる平たい四角ボタンがあります。 中段には、候補者リストの中を移動する際に用いる右矢印ボタンと左矢印ボタンがあります。 そして下段には、投票したい人を決定する際に用いる丸ボタンと、それを変更するばつボタンがあります。 ボタンは実際に三角や丸い形をしていて、点字の読めない視覚障害者にもわかるようになっていました。
次に電子投票機を用いた投票の流れをご紹介します。
選挙人は、選挙人名簿によって本人確認をした後、投票カード発券機から発券された投票用のカードを受け取ります。 投票カードはICカードになっていて、磁気カードのような切り欠きはありませんが、ICチップの位置でカードの向きを確認できるようになっています。 選挙人が視覚障害者の場合、あらかじめその情報がチップに書きこまれた投票カードを渡されるので、カード挿入と同時に音声による投票が始まります。
投票カード1枚で、同時に施行される全ての選挙を1回限り投票できます。
選挙人は、投票カードを投票所出口で返却します。 返却された投票カードは、初期化して再使用されます。
2002年1月8日、永田町にある電子投票普及協業組合にお伺いして、実際に投票機を見学してきました。 ここではそのときに感じたことをお話します。
まずタッチパネル画面について。 僕が体験したVT30と言う電子投票機は、シンプルな画面構成でお年寄りにもわかりやすく配慮されていました。 また、寝たきりの方や車椅子の方にも対応できるように、画面が起きあがるようになっていました。
次に入力パッドについては、上にも書きましたが、ボタン自体が三角や丸い形をしていて、点字の読めない視覚障害者にも対応できるようになっています。 また、ボタンの押しこみが深くなっているので、確かにボタンを押したという感触があります。
最後に音声ですが、とてもよい音質で、スピードもちょうどよくとても聞きやすいものでした。 ただ、候補者名の部分だけ少し音質が落ちるようです。 また入力パッドのボタンの説明や投票の仕方の説明が、丸ボタンを押すことでスキップできる点もいいと思いました。
今後の課題としてはまず、候補者数が多い場合の、候補者の表示方法が挙げられると思います。 これは、候補者数が多く、画面に1度には表示できない場合に、どのようにして候補者を平等に表示するかと言うことです。 またこの問題ともあいまって、弱視者への対応がされていないのも残念です。
さて、電子投票機についていろいろと書いてきましたが、昨年秋に成立した電子投票特例法ではまず地方選挙において、電子投票の導入を認めています。 また、電子投票の導入や投票機の選定は各自治体にゆだねられています。 今後は各自治体に対しても、電子投票のバリアフリーを求めていく必要があるのではないかと思います。