雲と水面

ドイツ

2000年5月

ハイデルベルク&ローテンブルク

  翌日はもっとも古い大学で有名な中世の町ハイデルベルグを経由してローテンブルクへ。80歳代にとってハイデルベルグは青春の思い出なのだろう。ここがハイデルベルグかと、すごく喜んでいた。
 
  中世の町並みがそのまま残るローテンブルク。我が家の狭い居間にはスイス人画家が描いたというローテンブルクのプレーライン門の版画が掛かっている。安物だが、我が家の壁を長いこと飾っている。ホテルはその絵の左側に描かれているホテル・グロッケだ。20年ちかく毎日眺めていた絵の中のホテルに実際に泊まるなんてまるで夢のようだ。「まさか、ここに泊まるとは思わなかったなー」とミキコと二人顔を見合わせる。小さなホテルだが、部屋は広くて快適だった。

市庁舎前
市庁舎前


プレーンライン門
左側の青い建物がホテル・グロッケ。
この写真は我が家にある版画とまっ
たく同じアングルで撮ったもの。


  話はこの旅行の前に戻るが、2年前の’98年のこと、楓の木に新しい真っ赤な葉を出させるために、父が脚立に昇って葉をとっていたところ、脚立が倒れて腕と足を骨折し入院してしまった。父86歳の時だった。年寄りの骨折は治りにくいし、何より長期の入院で呆けてしまうのではないかとこちらの方を心配した。
  幸い杖を使ってなんとか歩けるようになり、入院2ヶ月で退院することができた。日頃から元気でいつも歳より10歳以上は若く見られるほどだったから、快復も早かったのかもしれない。
  その後、順調に快復して杖なしで歩いて買い物にも行けるようになった。そして今年に入ってから、母がドイツへ行ったことがないから、費用は全部出すからサブロー連れてってくれないか、という。父は20年前にライン川の古城を観光したこともあって、母に美しいドイツを見せてやりたい、というのだ。僕らが一緒なら、現地でレンタカーを借りて移動することができるし、疲れも少ないだろうと、気候もよくなる5月の中旬に、ドイツ、チューリップの美しいオランダ、本場のフラメンコが見たいというのでスペイン、を旅行することにしたものだ。この旅行では広い空港をテクテク歩かなければならず、少なからず父のリハビリに役立ったようだ。帰国してから父の歩く速度が速くなっていてビックリしてしまった。ちょっとキツイやり方の親孝行だったかもしれないが、旅行に行った甲斐があった。

  ドイツの後、オランダ、スペインをまわるのだが、デジカメの写真が見あたらないので、これらについては追って書いていきたい。


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