一級建築士事務所:竹田悦三建築設計室
 
W邸新築工事   敷地は名古屋市西部のまだ少し田畑のある古い住宅地である。
しかしながら高速道路、マンションが建ち並び、都市化の波を無造作にうけている環境でもある。間口は5.8m(3間と少し)といういわゆる”ウナギの寝床”という敷地で南側敷地境界には高さ3.5mのコンクリート塀がそびえる狭い敷地である。施主はある活動を通じ知り合った友人で、この敷地にどのような建物が出来るのか困惑し、私に相談があった。当然ハウジングメーカーも廻ったが、納得のいく答えを見いだせず、設計事務所の答えを試す思いもあったと思う。たまたま、この敷地の並びであるが同じ様な敷地に4年前設計をした経験があり、即座に引き受けたその時は、建物の中央に光の空間を切り取る計画であったが、今回の設計では、当初より南側敷地境界のコンクリート塀にどのように対処すべきかが計画の第一歩であった。もちろん施主の要望にもこたえなければならない。オートバイを手入れし工作の出来る空間、居間は1階で出来るだけ広いスペース、車は2台の駐車スペース、収納にゆとりを、等々。私の解答はこうである。まず、南側敷地境界のコンクリート塀に対しては、南の空きを意識せずトップライトによる明るい居間、玄関を土間と兼ねた空間とし工作室の確保、導線計画は最小限廊下とする。縦の導線は階段とホームエレベーターを採用。収納は床下収納スペースを確保。2階、3階に個室を確保するという平面計画である。また1階高を4.560mとして、居間の床レベルを1.5m上げることで南側敷地境界の塀の圧迫感を排除した。3階建ての住宅ではあるがあえて日影規制を受ける10m以上の建物となった。かねてから住宅の光と風の重要性を強調していたので、居間から土間の断面計画において階段を北側に配置することで3層吹き抜けの空間による風の流れを確保出来たと思う。子供室は南北に配置する平面計画であったが、1階のトップライトの上部スペースを北側子供室の採光に当てることで、光の確保を配慮した。子供は太陽をいっぱい受けて育つべきである。これも私の持論である。今回の計画で初めての北側子供室の採用となった。

W邸外観・内観

Gallery IndexHome

竹田悦三建築設計室:052-583-6331