2002/2/09執筆。
テロの起こった日より、Oとメールによる討論を行っていた。時間に沿った事態の変遷や情報が
非常に詳しく記されているので引用することとする。
9/12深夜
>衛星放送が流してる米ABC放送のLIVEで、さっきパウエル国務長官がインタ
ビューを受けてて「テロをおこした者、またテロを支援した者を徹底的に叩く。可能
な限り最大限の報復を行う。」というようなことを言ってました。
テロに対する話をしていたときのやり取りより
報復手段として空爆(ひょっとしたら局地的核攻撃)が行われるだろうという彼の予想は、
およそ一月後に現実のものとなった
「確実に空爆(ひょっとしたら局地的核攻撃)で報復するだろうと思う。
支援した国もただじゃすまないだろう。」
とは度々討論を交わしたO氏の意見。
「アフガン、イラク、シリア、北朝鮮、中国、ロシア等か。
テロが発生した時、僕はテロに乗じて北朝鮮が世界革命をおっ始めるぞと思って、こ
りゃとんでもないことになったと思ったけど・・・。」
巨大資本主義国にして世界の盟主を自認しているアメリカ。しかし今回の事件は、
資本主義に反発する国家やその繁栄の陰で踏み台となっている発展途上国の存在を全世界に改めて
認識させるに十分過ぎるほどのインパクトを与えた。
パウエル長官が「これは民主主義に対する攻撃だ。世界の民主主義国家
はこのテロに対して断固たる措置を取る」と言っていた。つまり、アメリカに追従している日本も蚊帳の外とは
到底いえないだろう。現に、日本大使館に対するテロ準備を行っていたと思われる容疑者が年明けに逮捕されている。
もし、現在アメリカを筆頭とする連合国軍による攻撃によって過激派側の力が失われていなければ、
テロ行為がいずれかの日本関連施設に行われていたかもしれない。
「イスラム過激派では神の為に死ぬことは美しいと教育されているらしい。
このテロに対してアメリカがどのような報復をするのかは詳しく予想できないが、ど
のような姿勢をとってもテロはまだ続くと思う。かなり厳重な警戒態勢がしかれてい
るがテロは強行されるだろう。」
9/13
「この一日の世界の流れを見ていたらだんだんアフガニスタン攻撃か??という状態になっている。
パキスタン政府はタリバンとパイプ持っていそうだが、もしアフガンに攻撃かけるなら協力すると勝ち馬に乗る感じだ。」
ビンラーディンは「NATOやアメリカが報復すれば我々はあらゆる手段をつかい世界を攻撃する」と
宣言。テロが行われて2日が過ぎ、世界には金融、安全面での破綻や世界大戦への発展を危惧する声が一層強くなってきた。
ニュースを知り、喜色満面なイスラム圏の人々が報道され、大国といわれた国家に見え隠れする
敵の多さが浮き彫りとなった印象を覚えた。
「彼らも歴史に振り回されてるな・・・・中東の歴史は大国のエゴがみえかくれ」
まったくだ。
9/14
Oより恐ろしく長いメールが届いていた。原文のまま載せようと思う。
「過去の戦争の多くは宗教やイデオロギーの対立で発生していると思われる事が多く、
その遺恨が永遠と続いていると思われます。(もちろんその当時その現場にいるわけ
ではないので、本、インターネット、メディアを通じての理解です。)
断定は出来なくても、かなりの確立で宗教が引き金になっていると考えます。
宗教依存と言うのは、イスラム教徒、キリスト教と、ユダヤ教徒、仏教徒いずれも視
野を狭める危険をはらんでいると思うのです。他宗教との共存は表面では受け容れて
も、根底では受け容れにくい心情等のものがはたらき得るでしょう。
私自身は、日本人で、イベントとしてクリスマス、お盆、葬儀、ひととおり行ないま
すが、特定宗教そのものに対する敬意ではなく、目の前に生じる現実に対しての敬意
として自分なりに理解するように考えています。特定の宗教に傾倒している人々に
は、日本人の無宗教民族にはわからんと言いきる人も有るかも知れませんが、宗教の
歴史を考えると、過去にも様々な宗派分離が起きたように、この21世紀に原始的特定
宗教に傾倒するより、宗教の代わりに、すべてのPositiveな部分を融合していったハ
イブリッドな現実への信仰(信仰と言うと変ですが、敬意の意。)を実現する事も一つ
の手かなと思います。
単純に宗教なんか無くなってしまえと思う人もいるでしょうし、宗教が有るから救わ
れたと言う人もいるでしょうし、個々の弱さを救うのに方法は様々だけど、表裏を為
して、救われた本人が他者を貶める事だけは許されないでしょう。」
読んで解るとおり、宗教論である。宗教戦争を訴えるタリバン側と、法の裁きを主張する
アメリカ側の思想の根本的な差を皮肉ったメールを送った後に届いたものだと記憶している。
9/15
タリバンは国連に認められていない政府、拘束されるべき国際法を遵守する必要は無いという話を振る。
テロ考察(1)で触れたこととほぼ同じ討論。ゆえに略。
しかし、面白い内容がある。
「基本的にルールはないので、なんでもありなので、ラディンたちはなんでもできます
ね。飛行機ハイジャックして、アメリカの原子力発電所に突っ込ませるとか、近づい
てきた兵士に生物兵器で戦うとか。個人個人が死ぬ気で戦う可能性が高いので、殲滅
戦になるかもしれませんね。」
この予言は外れたものの、後に炭素菌という物が出現する。
9/16
日本の対応は如何?と。
アメリカ 「テロ対策の為にお金くれ」
日本 「日本としてできる限りのことをつくす所存であります」
アメリカ 「協力してほしいんだけど」
日本 「憲法の範囲内で行える支援を視野に、関係省庁と緊密に連絡をとりながら対応
を練りたいと思います」
アメリカ 「ほんとに協力する気あるの?」
日本 「状況を注意深く見極め、関係各局と対応を協議したいと思います」
アメリカ 「何を言いたいのかわからない」
日本 「事態の推移を見極め、各方面と連絡をとりながら方策を練る所存であります」
アメリカ 「もういいよ」
慎重極まりない(悪く言えば自分の手を汚したがらない)日本を皮肉る。
もっともこの辺、後に発表された日本の戦闘非参戦・輸送救援活動のみ行うという対応は妥当だと思う。
9/17
核戦争が起こる可能性に話が飛び火。
アフガンがパキスタンの支持を得るか否かで変わると考えるものの、後日パキスタン政府がタリバンと絶縁。
9/19
自衛隊派遣決定。ついでにサーカムがサイバーテロではないかという流説が流れる。
9/21
海上自衛隊、アメリカ空母について出航。
タリバンを攻める方法についてやんやと好き勝手に言っている。
「タリバンはラビィンと心中する道えらんだな。アメリカどうやってアフガン攻めるんだ??
あんな山の中大軍つっこんで物量作戦不可能。ミサイルで絨毯爆撃してもまったく効き目ないね。
一般市民死んで、ますますイスラム社会で悪者にされ、ジハードの的にされ、テロされまくりになるやも
やるなら速攻で奴のいるところに特殊部隊つっこんでとっつかまえる だな。」
O、すげぇな。さすが危険思想の持ち主。しっかり現実にそのとおりになったがな。
いかに一般市民を傷つけずに首謀者だけを捕らえようとしたところで不可能、人は歴史から何を学んだのだろうか。
戦争の仕方、人の殺し方だけかも知れんな。
「結局 アメリカはあのテロ時点でテロに負けているのかもしれないね。
へたすりゃテロのネットワークはモグラたたきだからな。
100年かかるかもね
100年戦争あったくらいだからね。ハルマゲドンが未来にまってるやもね。なんかそんな感じがするよ」
9/23
自衛隊派遣に対する法案が通過。
結局のところ戦争止める手だてはなさそうだな
人権団体とかが抗議したとしても、大統領宣言で声明出しちゃったから
覆すことは出来ないし・・・
「しょうがない。アメリカもなかなか乱暴だからな。2ヶ月前にタリバンにハルノート並の
最後通告してたらしいよ。ラビィンわたさないと攻撃って。
ようは向こうを挑発してやらせたのではという疑惑でてるが。」
この話、本当かどうか。
以降、話は脇にそれていくので割愛。Oとの議論はなかなか楽しかったが、極端な箇所があるのも事実。
掲示板に書き込まれた意見と照合してまとめに入りたい。
次回、とりあえず終わらせる予定。終わればいい。というか、終わりたい。
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