大根」 {だいこん}
 

春の七草の「すずしろ」という言い方もある。
昔は「だいこん」と言わずに「おおね」と呼んだこともあるらしい。
何にしろ、寒い畑の中で、緑の葉っぱが勢いよく天を突いて広がり、
見ているととっても気持ち良くて、
元気なものを見たような気になる。
この時期、畑を見ると、菊の花が咲いているところには、
雨よけなのか、ところどころに傘が差しかけてあり、
繊細でやさしい風情をかもし出しているが、
ダイコンの植えてあるところは、季節に似合わず青々として、
子供のどこからともなく沸きだしてくるパワフルな生命力を感じる。
葉っぱのことばかり言ってきたけど、
手が切れるように冷たい川の水で引いたばかりの泥付き大根を洗うと、泥が落ちて真っ白な姿を見せるのもきれいなものだ。
切った時の切り口の丸くて真っ白な感じも捨てがたい。


▼今日の一句
大根を鷲づかみにし五六本    虚子

▼今日の鑑賞
大根というものは、あの太い根っこを食べるものだが、
(あ、もちろん、葉っぱも菜メシなんかにするとおいしいけど)
あんなに太いものが、葉っぱを持って引くと驚くほどすんなり抜ける。
細い根っこが切れる「ボリボリ」っていう音とともに抜ける。
あまりにも葉っぱの勢いがいいもんだから、
根っこ部分を持つと、葉っぱの方がかさばったりする。
広がる葉っぱをわしづかみにして、五六本も持てば、
それだけでもう両手いっぱいになってしまう。
これから始まる長い冬の間、野菜と言えば大根と白菜。
それらを両手いっぱいに持つ頼もしさ、豊かさ。
これで、冬の間も大丈夫。
そんな元気な声が聞こえて来そうだ。

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2000/11/24 19,20号