耐震強度偽装問題 審議 内容 を見やすくしてみました   home
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    163-衆-国土交通委員会-9号 平成17年12月07日

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林委員長 馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵澄夫でございます。
 
先週に引き続き、参考人招致、質疑をさせていただきます。
 本日、姉歯建築士並びに内河健総研所長、お二方、お見えにならないということで大変残念なわけでありますが、きょうも御出席の参考人の方々から貴重な御発言がございました。その点について質問をさせていただきたいと思うわけであります。

 先ほど、ERIの鈴木社長、鈴木参考人の方から、この港区の賃貸マンション、渡辺参考人が後ほどに設計変更にかかわられたということでありましたが、これについては設計変更、計画変更の後に建設をされた、すなわち計画変更をもって確認をおろして建設をされた、これでよろしいですか。端的にお答えください。

鈴木参考人 そのとおりでございます。

馬淵委員 この設計変更によってもちろん耐震強度に問題のない建物がつくられたということであるわけでありますが、実はそこに大きな問題が潜まないかということの御指摘、ある地方自治体の行政職員の方から私の方に、こうした問題点ということの御指摘がございました。

 指定検査機関の隠ぺい可能な方法は、設計変更しかありません。これが少なくとも一社で一年以上前に行われてしまったということです。それがERIという指定検査機関のようです。その段階でこの事件が公表されたならば、多くの人々が現在の不安を抱えずに済んだことでしょう。

 このように、一たん偽装、偽造工作が行われたものについて、検査機関で見過ごしてしまったものを設計変更、計画変更を行えば、その偽装、偽造の事実すら隠ぺいされてしまうという可能性について、これに対して、もう一つの、きょうお出ましいただきました検査機関のイーホームズの藤田参考人、今私が申し上げたことについての御所見をいただけますでしょうか。端的にお願いします。

藤田参考人 偽造であったものであれば、それは虚偽ですから、取り消ししなければいけないことだと思います
 ですから、計画変更ではなくて、特定行政庁に通知をして取り消してもらう、その上で改めて確認を出すというのが、本来法が定めている手続かと思います。

馬淵委員 鈴木参考人、今、藤田参考人からの御指摘についてどのような御所見をお持ちでしょうか。端的にお願いします。

鈴木参考人 もし偽造であるとか不正であるとかということが含まれている確認であったら、おっしゃるとおりだと思いますが、その時点ではそういう認識が全くなくて、残念なことですがありませんでしたので、計画変更でおろすということが行われたわけでございます。

馬淵委員 今お答えは、見抜けなかったんだということで、結果的にこういう形になったということをお話しされたと思います。

 技術的には、今申し上げたように、設計変更、計画変更等が行われれば、この元行政職員の方々の御指摘でいえば、建築主、設計者、施工者、そして建築確認検査業務を行う指定確認検査機関、この四者が一体となったならば不正並びに隠ぺいということが可能であるという、このことの御指摘がなされているわけでありますが、これについてもう一度、一言だけ端的に、鈴木参考人、今私が申し上げたことについてはどのような御所見でしょうか。

鈴木参考人 もし関係する者が悪意を持って連携をとるということになれば、そういうことは当然起こると思いますが、今回私どもがそういうような輪の中に入っていたということは決して、金輪際ございません。


馬淵委員 それでは、今回お出ましにならなかったわけでありますが、こうした今おっしゃった輪の中、そして、先ほど参考人から組織的という言葉が繰り返し出されておりましたが、これについて一つずつ確認をしていきたいと思います。

 先ほど、横浜市の千葉設計、ここでのやりとりがあった後に、きょうお出ましいただいた渡辺参考人が、その問題の設計に関して構造のチェックを行った、そしてそれについて御指摘をいただいたということだというふうに、今ここの場でお答えいただきましたが、これはもう千葉設計の千葉さんは記者会見されておられます。

 平成15年の11月10日、横浜市の千葉設計にて、総研のチーフコンサルタントの四ケ所さん、木村建設篠塚東京支店長、平成設計常務と社員、そして姉歯さんが集まって、この港区の賃貸マンションの件についての協議を行った

そして、先ほどのこの参考人質疑の中でも確認されたように、これに対しての構造の疑義を持って、改めて渡辺さんにその構造のチェックが依頼され平成16年3月8日、ここに皆様方が集われた。総研の四ケ所さん、そして平成設計の徳永さん、姉歯建築士、そして千葉設計のお二方、アトラスの渡辺さん

 11月10日に行った後の3月8日、この場所で総研、木村建設、平成設計、姉歯、いわゆる一団とされるようなグループの方々が集ってこの構造問題の協議をされたわけでありますが、先ほどもお答えいただきました、そのときに姉歯建築士はどのような名刺を出されたかということについて、もう一度お答えいただけますか。

渡辺参考人 当初は平成設計さんの名刺を渡されたんですけれども、技術的な話になったので、姉歯さん個人の名刺もいただきました。

馬淵委員 姉歯建築士が平成設計の名刺を持って歩いているということは、他のところでもお話が幾つか出ております。事実、平成設計事務所としての姉歯さんの名刺が、写真もついて報道に供されています

 さて、こうした構図の中で姉歯さんが平成設計と一体であるということについては、こうした名刺を現実に渡辺参考人がごらんになっているように、ここは否定できない事実かと思われます

 そしてもう一つ、平成設計と木村建設についてであります。

 先ほど同僚の方からもお話ありましたが、木村建設と平成設計についてですが、これに関しては、平成設計の登記簿謄本を見ますと、木村建設の社長の奥様であります木村ひとみさんが代表取締役についておられます。また、木村建設の関係会社として平成設計が恐らく同じ形として関係グループとしてあるということが、これも帝国データ等の情報によっては書かれております。木村建設との関係企業という形で、系列として木村建設とされています。

 また、木村建設、平成設計がこうした形で一体であるという前提を考えますと、さらに、先ほどお話にありました、総研、木村建設、平成設計、姉歯というこの四者のつながりがどういう形になっているのかということを少し確認していきたいと思います。

 木村建設では、これもホームページ上もう既に削除されていますが、キャッシュが残っています。そのキャッシュが残っているところを見ますと、これには、51年十1月より、総研、総合経営研究所グループに加入とされています。また、これもこの場所で再々確認をされていますが、総研ビルに木村建設が入っておられる。

 これに対して、きょうお見えにならなかった総研の内河さんは記者会見を開いて、たまたまあいているからそこにかかわっていただいた、このように言明をされておられます。しかし、いろいろ見ていきますと、福岡の総研白金ビルにも同じく木村建設が入っておられるということで、たまたまあいていたところが二つあったのかということになります。


 きょうは内河さんがお見えになっておられませんのでその辺のところがはっきりわからないのですが、少しこの構図についてお話をさせていただきます。
 実は、今回のこの問題に対しては、極めて組織的な構図がそこに潜在しているのではないかということが考えられます。

 今回問題となった偽装は、姉歯建築士によって行われました。そして、姉歯建築士は平成設計の名刺を持って一体的に動いておられます。また、平成設計は木村建設とグループ関係にあることは、先ほどのホームページ等々におきまして、また、代表取締役を奥様がされているということも考えれば、一体的なグループ関係にあることは推定できるかと思われます

 そして、総研さん。総研さんがどういう形でかかわっているか。確かに、テナントで入っている、あるいはグループ関係もあるということですが、総研さんが実はビジネス全体のスキームを大きく動かしているということが実態としてあるのではないかということが考えられます

 それは、これも総研さんのホームページで、キャッシュから消されているんですが、そもそも総研が、利回り12%前後を確保できるというビジネスモデルホテルやマンションなどを建てたい方々に提供されている

そして、それを実現するために、設計依頼はすべて総研で打ち合わせ、そして建設工事の発注折衝も総研建築工事打ち合わせからコストダウンまで総研が行うフルターンキー・システムで行います、このようにうたっておられます。フルターンキー・システムとは、一つに発注すればすべてが動くという仕組みになります。このようなことが総研さんのスキームとしてつくられている。
 
さて、内河さん、きょうお見えになりませんでしたが、非常に興味深い発言をされておられます。2000年の7月にレジャー産業」という雑誌のインタビューに答えられています。内河さんがそこでどのようにおっしゃっているか。

 内河さんは、いわゆるホテル、マンション、ホテル業界、こうしたものは設計からコンセプトづくりまで設計事務所に全部任せてしまう、それによって、いかにコストを落とすかという課題を初めから放棄している

そこで内河さんは、売り上げから逆算して、建築費はこれぐらいにする、そのためにはどういう建築にするかということを考えるホテルにならなければならない、こうおっしゃっています。

 そして、インタビューの中で、何が重要かと問われれば、設計の中でも構造の問題だ、こうお答えになっています

構造的な部分、これが大事だと。そして、内河さんの発言は、これまでたくさんの仕事を手がけましたが、それぞれセメントの量、鉄筋の量、鉄骨の量など平米当たりでどのような構造がなぜ安く上がるのかということを計算し、今でも場合によっては、私が、この建物は延べ床面積平米当たり鉄筋量幾ら、型枠量幾ら、コンクリートが幾らというところまで計算し、設計の指示をします、このようにおっしゃっているんですね。

 これはまさに、前回の参考人質疑で私の同僚が小嶋社長あるいは木村建設、皆さん方に尋ねた、鉄筋量まで絞れというこの話を、内河さん自身が2000年にこうして明言されています。


 さて、私の地元でも今回の問題にかかわる物件が発覚いたしました。サンホテル奈良という物件です。これも総研、木村建設、姉歯建築士がかかわっています。

 この日曜日に、私は地元奈良でこのホテルの視察に参りました。そして、建築主からいろいろとお話を聞きました。建築主からは、総研がこの企画を持ってきたと。そして、平成設計の山口社長が12月5日、一昨日奈良市にやってまいりました。

奈良市の指導のもとに、事情聴取を行われたわけです。山口社長がおっしゃったのはこのような言葉です。構造設計は建築の企画段階から姉歯建築設計事務所に決まっていたと。明らかに、総研、そして木村建設、平成設計、姉歯という構図があります

 さらに、私の手元には、そのサンホテルの建築工事予算管理表という資料があります。これは、木村建設が破産されて畳まれるときに資料を一斉に持って出ようとしたときに、これを慌ててオーナーが確保されたそうです

この建築費は6億3000万円、そして、オーナーさんのお話によれば、総研に支払う金額は4600万円のコンサルタント料、さらには、設計料は平成設計に2700万円支払います。

このお金の部分でいえば、総研さんが提案をする中で4600万円のコンサルタント料が入り、平成設計からは2700万円のうち20%以上が総研にキックバックされる。また、木村建設の中でいえば、ここにはっきりとメモ書きでありますが、追加工事費と書いてあって、それを横に手書きで、仲介手数料として総研に1800万円渡すとなっています。

 この仕組み、どういうことか。総研さんがまさに土地をお持ちのオーナーの方々にこうした物件の企画を持ちかけて、一二%以上利回りがありますよとお伝えをし、ところが10%以上、七千万円近い、今回の工事は七億ですから、七千万円近いお金を総研が吸い上げる

ホテル業者や建築主は10%の利回りを得る。また、木村建設さんも、この施工費の中では10%の粗利を確保されています。こうした利益を吸い上げる構図の中で、被害に遭われるのはホテル業者やマンションの住人です

 この構図について、きょう出席のお三方の皆さん、端的にこの構図についてどの程度のことをお知りか、お答えいただけますでしょうか。

林委員長 参考人、簡明に答弁願います。


鈴木参考人 私が先ほど計画的、組織的と申し上げましたのは、新聞とかテレビで今先生がおっしゃられたようなことを見聞きしまして、それで、そういうまさに先生がおっしゃられたような構図があったのかなということを考えたわけでございまして、審査の過程ではそういうことは夢にも思いませんでした

藤田参考人 私どもは本当にただ粛々と確認検査業務をやっておるだけで、通知をしたのも法に基づいて通報しただけなんです。ただし、通報以降、いろいろな形でゆがんだ事実や何かそういった圧力があったというのは私自身感じておりまして、私、その背景については全く存じ上げませんでしたが、もしそういうことがあるのであればまあ理解できるというふうには考えます。それが感想ということです。

渡辺参考人 今初めて聞かせていただきまして、大変驚いております。

馬淵委員 終わります。


林委員長 穀田恵二君。

穀田委員 今度の事件について、真相解明のポイントは、今各党からもありましたように、姉歯氏、そしてそれと意見が異なる内河氏、木村建設、この最低三者が私はこの場に来ていただく必要があろうと思います。したがって、既にもう皆さんのところで大方一致しているんですから、一人は一致している、少なくともそういう証人喚問をすべきだ、単なる一人だけじゃなくて、三人が必要なんだ、三者が必要だということを私は申し上げ、委員長に提案しておきたいと思います。

林委員長 理事会で協議します。

穀田委員 そこで、端的に渡辺さんにお聞きしたいと思います。
 今回のそういう、最初の設計に関する指摘、これはどういうミスを指摘したのか、そして、それはどれほど異常だったのかということについて端的にお答えください。

渡辺参考人 構造計算は最初に、応力といって力の計算をします。その力によって断面がどのぐらいになるかというのを計算するんですけれども、その断面を決めるときに、力を数分の一に小さくして計算していました

穀田委員 その結果、どういう事態が起きることが想定されますか。

渡辺参考人 耐震性のない建物ができます

穀田委員 つまり、耐震性のないほど、そういう異常な建物で、すぐ壊れる可能性があるという建物がつくられるということなんですね。そこが大事なんです。
 そこで、ERIにお聞きしたい。

 つまり、そこで強度の問題でふぐあいがあった場合に、先ほど話があったように、着工前なら確認を取り消して再提出させるというのが、これは筋なんです。それは先ほど藤田社長もお話ありました。

その際に、単に自分のところで取り消すことはできないから、そのルートでいえば特定行政庁ないしは国交省、こういう自治体に報告するということで、それを行うわけです。それを報告しなかったということが最大の問題なんです。ですから、それは私は、なぜ特定行政庁並びに公のところにそういう問題について報告しなかったのかと聞きたい。

鈴木参考人 私どもの最初の建築確認、それを次に計画変更するというのは、定められた手続のとおりでございまして、計画変更が出たから取り消すという手続をしてもらうというふうには、手続は定まっておりません

穀田委員 それは私も、先ほどもありましたように、特定行政庁の関係者に聞きました。それほど重要な問題がある場合には取り消しに値する、これは事実です。そうでないとしたら、僕は大変なことになると思いますよ。そういう事実であるということをわかっていないということ自体が問題なんですよ、あなた。およそ、私、そんなことでよう検査機関やっているなとはっきり思いましたよ。
 

では、聞きましょう。
 だから、そういう問題について先ほどあなたは苦情のシステムをいろいろ示しました。だけれども、そうじゃなくて、重要な変更について、そういうことについてあなたは報告を受けていたのか。そういう報告をするシステムはあったんですか。

鈴木参考人 そのときはそれほど重要な変更であるというふうには認識できなかったのは、残念なところでございます

穀田委員 それは理由になりませんよ建物が壊れるかもしれないという重要な変更なんですよ。これは取り消しに値することは明らかなんです取り消しのための措置をとらなかったということが今日の最大の責任だということを指摘しておきたい。
 そこで、11月30日付のホームページに、あなたは、イー社の発言に対して、競争相手である当社に根も葉もない誹謗を浴びせて、当社の事業に意図的に打撃を与えようとしたものだ、こう批判をしています。

 
私は、社長の発言は、少なくとも今全国が問題にしている安全の問題なんかよりも競争問題にしているというところに、およそとんでもないことだなということを改めて思いました。建築確認業務というのはそういう厳しい社会だ、そういう競争社会だということが最大の問題だということがわかりました。
 では、そこで、ERIのそういう問題についてのいわば売りというか目玉というのは何ですか。

鈴木参考人 現在、民間の指定確認検査機関は全国で120社ほどあるとお聞きしておりますけれども、各地域で競争が激しくなっておるところもございます。そこで、私どもはそういう価格競争ということがあるやにも聞いておりますけれども、私どもはそういうものにはくみしませんで、適正な厳しい設計審査をするということ

 それからもう一つは、お客様の、どういう建物をつくりたいか、あるいは、それにはどうしたらいいかというようなことを丁寧に対応していく、適切に対応していくというようなことで信頼性を得たいと思っております。

穀田委員 得たいと思っておりますということで、得ていますとは言っていませんね。
 競争を打ち負かすためには、仄聞するところ、建築確認をおろすのが早いと宣伝する向きがあったり、私はこの間川崎で聞いてまいりましたが、逆に、施工者指定機関に、どこならこの建築確認をおろしてくれると打診するという、甘さを唆すことがあると聞いています。そういう事実を掌握していますか。

鈴木参考人 建築確認をおろすまでの間に事前相談というのを私どもはやっています。これは特定行政庁では余りないと思いますけれども、審査の時間をたっぷりととる、いろいろな問題について検討できるというために事前相談をしております。その間に厳しい指摘をする、あるいは資料を請求するというと、その申請者の方が別の機関に行ってしまうという事実はございます。

穀田委員 つまり、この間のテレビ討論会でも言っていた、欠陥住宅被害に取り組む吉岡弁護士は、検査機関を株式会社にすれば利潤を追求するようになり、他社との競合が生じますから、今お話があったように、他社よりも検査を厳しくしたらお客さんは他社に行ってしまいます、そのため、各社が競い合って検査を甘くしたり時間を短縮したりすると指摘しています。


 ここでイーホームズさんに聞きます。
 品川区で、葬祭場の設置に関する環境指導要綱があります。これを無視してイー社が建築確認をおろした、建築審査会に審査請求が行われ、建築確認を取り消した例がありますね。御存じですか。

藤田参考人 品川区の物件については、審査請求が提起されて、審査請求の決裁の前に品川区長名で取り消しがされました。ですから、審査会での議論はされておりません。(穀田委員「いや、あなたのところが出したのはあるんですね」と呼ぶ)そうです。はい、あります。そういう経過です。

穀田委員 つまり、あなたのところが出したところが取り消されたということは事実だと。

 そこで、品川区でこういう取り消されたのは、建築基準法改正後初めての例なんですね。そして、この内容は、火災発生の際に必要な避難路の確保などの不適格があったという事実なんです。事は命にかかわる問題で、これほど甘く確認をおろすということなんです、事実は。

 京都市でも実は同様でして、同じ葬祭業者が建築確認を申請しています。そして京都市建築条例、この中にある空き地への避難通路の違反であって、これまた危ないという、いわば命の安全にかかわる火災のときの問題を指摘しているんですね。それを、確認をおろしてはいけないというふうに京都市建築指導課の注意にもかかわらず、建築確認をおろしている。こういう事態が散見されているんです。

 つまり、こういう事態というのはどんなことを引き起こすか、やはり安全がないがしろにされているということだと私は思います。

したがいまして、私は、これらの今行っている問題とあわせて、制度の不備、これをやはり指摘せざるを得ないということを改めて主張しておきたいと思うんです。つまり、国の行政全体の責任もあるということをあわせて私は言っておきたいと思います。


 そこで、ERIにもう一つ、政治家の献金についてお聞きします。
 鈴木崇英ERI社長は、2004年自民党森派、政治団体でいえば清和政策研究会に対して百万円を献金していたという報道があります。これは事実ですか。

鈴木参考人 事実でございます。

穀田委員 次に、森内閣のときに官房副長官を務めた上野前参議院議員に昨年の7月の参議院選挙前に三百万円献金している、これも事実でございましょうか。

鈴木参考人 上野さんは私の大学の同期の友人でございますので、友達として応援したいというふうな思いで寄附をいたしました

穀田委員 昨年の七月のをお認めになった。
 いつから献金なさっていますか。

鈴木参考人 いつからという年月ははっきり申し上げられませんが、上野さんが議員になられるころからだと思います。
 金額は、それぞれ、もちろん私のポケットマネーですから、それでできる範囲ということでございます。


穀田委員 わかりました。とても大事な証言をいただきました。

 最後に、私ども、今度の問題で、やはりERIのそういう検査の責任というのは免れないということだと思います。それで、やはり一番大事なのは、先ほど私指摘しましたけれども、当時、一番最初に建築確認申請を行ったときにミスが発見された、そしてそれが、渡辺建築士からお話がありましたように、事の重大性が、単に建築変更を出せばいいという中身ではなくて、建物がすぐ壊れる、耐震強度がない、そういう実態にあることの指摘を受けた際に、それを正しく公表し、そして監督の、取り消しを行う権限のあるところ、あなたのところは権限がないわけですから、そういう意味でいいますと一度通したものですから、それを取り消し権限をすることのできる特定行政庁、つまり自治体並びに国交省に届け出があったらば、少なくとも一年半前に事態は発見することができたというふうに私は思うんです。そう思いませんか。

鈴木参考人 先ほども申し上げましたように、そのときに担当者がそういう重大な問題であるということを感づいていれば、感じていればよかったなというふうに、大変私は残念に思っております

穀田委員 最後に一言だけ。
 今、お話がありましたけれども、先ほど来、それが偽装だとか偽造であったらばということを最初に、先ほどまでおっしゃっていたんですね。じゃないんですよ。偽装だとかそういうミスだとかじゃなくて、事の重要性がわかれば、それを上げるシステムがなかったということが問題だということを指摘して、終わります。


林委員長 日森文尋君。

日森委員 私も、各党要求があったとおり、証人喚問について委員長に要求をしておきたいと思います。

 一人は姉歯建築士、それから総合経営研究所の内河氏、この二人は何としても証人喚問としてこの場に来ていただきたいということですね。それから、平成設計の山口社長につきましても、当面参考人招致になるのかどうかわかりませんが、御配慮いただきたいということを最初に要求しておきたいと思います。

 ERIの鈴木参考人にお伺いします。
 ホームページを見させていただきました。御社の理念というのは、情報の公開が基本であると。積極的に情報を公開しなければ秘密主義、隠ぺい体質になってしまうんだというふうに、みずからおっしゃっておられます。七つの理念というのもお掲げになっておる、これはジャスダックに上場したときのお話だと思うんですが。この中でも、情報公開によって透明な会社になるということを決意としておっしゃっているわけです
 しかし、今回の経緯を見てみると、どうも参考人自身がおっしゃっていたことと対応は大分違うのではないかという思いがしてならないんですが、これは一体どういうことなんでしょうか。

鈴木参考人 私どもの会社は昨年11月にジャスダックに株式公開いたしましたけれども、平成11年11月の設立のときから、技術的な問題、経営的な問題、それから業務の実績、業務の体制、そういうことをすべてホームページ上で公開しておりますし、それからさらに、技術的な問題とかこれまでの経験というものを本にまとめて販売したり、そういうような、いろいろな意味でこの制度がうまく働いていくようにという思いから情報公開に努めてまいったわけでございます。

日森委員 残念ながら、昨年からの事件は、そうした会社の理念とは裏腹に、実際には、そういう情報があって問題が生じたにもかかわらず、このことについては、十分理解がなかった、改ざんとは思わなかった、偽造とは思わなかったということがあるにせよ、情報の公開も一切なくて今日まで来てしまったということで、大変私も残念に思っています。ぜひ反省していただきたいと思うんですが、私、大変時間が少ないものですから、同じ鈴木参考人と藤田参考人にお聞きします。

 道義的責任とかいうことはお感じになっておられるということであると思うんですが、法的責任はない、法的な責任はないんだということをおっしゃっておられるわけです。

 先ほど御質問があったとおり、実際には、理由としては、非常に偽造が巧妙で見抜けなかったということや、検査自体は適正だった、適法であったということをおっしゃっているんですが結果として70棟にも達するような不良な建物が生まれてしまった、それを建築確認してしまったということについては、しかも、多くの人々に生命の危険をもたらし、また、大変大きな財産を侵害するようなことが起きてしまった。このことについては、道義的責任を感じるであるとか、それから法的責任はなかったという範囲ではもう済まないのではないかというふうに思うんですよ。

 実際、先ほど明確なお答えがなかったんですが、検査会社として、この結果を生じてしまったこと、この結果からどういう形で具体的に責任をおとりになろうとしているのか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

鈴木参考人 11月11日に私どもにこういう姉歯設計士の問題があるということを教えていただいた以降、私どもの方は、検証作業を精力的に行いました。現在も行っております。

 そのときの検証作業は二つの観点がございまして、一つは、現に建っている建物が本当に安全なのか、あるいは安全でないのか、どのぐらい大丈夫なのかというような検証作業をしております。もう一つは、今回の事件がどういうふうにして行われたのか、どこに改ざんが行われているのか、どういうことでそういうことが可能になったのかという解明作業をあわせて行っております。それも今後の正しい審査が行われる一助になればということで考えております。

 責任の問題につきましては、現在こういう調査が緒についたばかりだと私は思います。今後いろいろなことがわかってくると思いまして、それに対応して適切な責任をとっていきたいというふうに思っております。


藤田参考人 被害に遭われている方のことを思うと、本当につらいということであります。

 一番初めに考えた私の責任は、隠ぺいするのではなく、たとえ会社がつぶれたとしても、危険な建築物があるということを公表することが一番の責任であります。確認検査業務を行う者として、その法律が定める過失が私どもにあるのであれば、制裁を受ける覚悟であります。もちろん、会社だけではなくて、個人における財産等を請求されるのであれば、全面的に受ける覚悟でございます

 ただし、御理解いただきたいのは、やはり日本は法治国家でありますので、確認検査業務が対象とする目的、また性能評価とかその他の評価、性能を担保する意味での評価や審査というサービスというか業務があるわけなんです。そういうことが実際に有効に国民の皆様に御理解されて利用されていれば、このようなことはなかったと私は思っております

 ですから、今回の公表だけではなく、情報公開、また再発防止対策のために、できる限りの調査、また、実際に危険な建築物、まだ発見されていない建築物があるはずなんです。ですから、今まだ知らなくて危険な建築物に住んでいる方を、一刻も早くそういう情報提供ができるように、国土交通省の指導のもと、粛々とやっていきたいと思っております。


日森委員 それは、恐らく被害住民の方は納得できないと思うんですね。

 渡辺参考人がおっしゃっているように、それから、私も実際に仕事をされている方に確認しましたけれども、目で見て手でさわって、この建築物が違法であるかどうかわかると言うんですよ、10年20年経験を積んだ人ならば。そういう職人さんたちがそうおっしゃっているような建築物を、偽装を見抜けないで建築確認を出してしまったということは、これは大きな問題だというふうに思いますよ。そうでしょう。

法的に適正に検査したんだということだけでは済まない。そういう意味で、ぜひ具体的な責任のとり方、早急に明らかにしていただきたいということはお願いをしておきたいと思います。

 それから、もう時間が余りないんですが、重要な問題で、先ほど総研の社長さんのお話もあったようですが、これは渡辺参考人にお聞きしたいんですが、建築コストのうちに、躯体、構造物ですね、躯体が三分の二、仕上げ、内装的なもの、これが三分の一だというのが一般的だというふうに聞いているんです。そうすると、どれだけコストを下げて建物を建てるかというと、結局、コストの三分の二を占めているその躯体ですね、構造に手をつけるしかない。これが一番コストダウンしやすいということになるわけですね。

 そういうところで、今、マンションなりいろいろなところで大変な競争になっている。つまり、競争が非常に激しい中で、この躯体、構造まで手を突っ込んで違法なことまでやってしまうということが、今度の犯罪の、組織的、計画的だというふうにおっしゃいましたが、私もまさにそう思います、根底にあるんじゃないかと思うんですが、構造の専門家としていかがでしょうか。

渡辺参考人 建築費に対する構造の割合は、ほぼ三分の一です。三分の二じゃありません。

日森委員 時間です。残念ですが、終わります。ありがとうございました。

林委員長 この際、参考人の方々に一言申し上げます。

 本日は、本委員会にて御答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十五分散会