耐震強度偽装問題 審議 内容 を見やすくしてみました   home
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    163閉-参-国土交通委員会-1号 平成17年12月08
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委員長(羽田雄一郎君) 国土の整備、交通政策の推進等に関する調査のうち、建築物の構造計算書偽装問題に関する件を議題といたします。
 政府から報告を聴取いたします。北側国土交通大臣。

国務大臣(北側一雄君) 構造計算書偽装問題について御報告を申し上げます。

 今回、建築士による構造計算書の偽装が行われ、指定確認検査機関や特定行政庁においてチェックできなかったこと、そしてこれによる被害が更に拡大しつつあることは甚だ遺憾でございます。

 政府におきましては、国民生活の最も基本的な基盤である住宅等について、国民の生命、財産の安全を確保し、国民の不安を払拭するため、各府省庁間及び国と地方公共団体の間で緊密な連携を図りつつ、スピード感を持った対応に努めているところであります。

 現時点で最も優先すべきは、分譲住宅居住者等の安全と居住の安定を確保することであると考えております。しかしながら、退去勧告や使用禁止命令が出される中で、特に分譲住宅居住者の方々は将来の居住の見通しが立たずにその不安が高まっており、また周辺住民の方々の安全も脅かされる事態となっております。速やかな転居を促すとともに、建物を早急に解体し、居住者及び近隣住民の方々の安全と安心を確保することは極めて緊急性、公益性が高いものと考えております。

 しかしながら、売主である建築主は買主に対し一義的に瑕疵担保責任という契約上の責任を負っているにもかかわらず、この責任が誠実に果たされて居住者の移転と建物の解体が円滑に進む見通しが立っておりません。このような状況を打開するため、分譲住宅の居住者に対し、その不安を解消し、今後の負担を軽減するための総合的な支援策をワンパッケージで提示することといたしました。

 この支援策におきましては、これまで行ってきた相談窓口の整備受入れ住宅の確保、あっせん等に加えて、分譲住宅購入者の住宅ローン負担の軽減分譲住宅の居住者に対する移転、除去、建て替えにわたる総合的な支援措置等を講じることとしております。

今後、関係地方公共団体と協力して、個々の居住者の方々に対し、今後具体的にどのような支援を受けることができるのか早急にお示しをし、居住者の不安解消を図るとともに、建て替え等に向けて具体的な検討が一日も早く開始されるよう努めてまいります。

 なお、今回の公的な支援は、建築主等の事業者を救済するためのものではありません。事業者に売主としての瑕疵担保責任等の責任をきちんと果たされることが必要であることは論をまたないものと考えております。

ただ、多数の関係者の責任の有無及び責任割合は、最終的には司法の場での決着にゆだねるしかないと考えられますが、それが明らかになるまでには相当の時間を要し、その時間リスクを居住者だけに負わせることはできません

 今回の事案は、民間検査機関の検査とはいえ、建築確認検査という公の事務において、結果として建物の安全性に係る重大な見落としがあったものであります。このような特別な事情にかんがみれば、これを純然たる民民の問題と割り切ることは適当でなく、行政としても、類似の財政措置との均衡に配慮しつつ、最大限の支援を行うものであります

 また、今回の偽装に直接関係のないマンションの耐震性や建築確認検査制度そのものについても国民の不安が生じていることを重く受け止めております。このため、相談体制の確立、マンション耐震診断等の促進建築確認検査事務の実施状況の緊急調査、点検等を行うこととしております。特に、指定確認検査機関に対する指導監督の面で十分な対応を行ってきたかなど、しっかりと検証するとともに、社会資本整備審議会において現行の建築確認制度に係る問題点を十分に検討し、必要な改善を行ってまいります。

 今後、建築物に関する安全、安心への懸念を一刻も早く解消できるよう、全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 以上、御報告を申し上げます。


委員長(羽田雄一郎君) 山本住宅局長。

政府参考人(山本繁太郎君) まず、構造計算書偽装問題の経緯現状について御説明いたします。

 資料の一をごらんください。
 今回事案の経緯でございますが、国土交通大臣指定の確認検査機関イーホームズ株式会社から建築確認に必要な構造計算書の偽装の可能性についての報告を受けまして、国土交通省において10月28日から調査を進めてまいりました結果、11月16日までに5棟の物件について、このうち2棟完成して現に居住者が住んでおられる物件でございます。5棟について、偽装が事実であること、偽装された構造計算に基づき建築された場合、耐震性に大きな問題があるおそれがあことが明らかになりました。

 この構造計算書の偽装を行いましたのは姉歯という建築設計事務所でございます。この事務所に仕事を下請に出しておりました元請の建築設計事務所や、その設計を基に建築確認を行いましたイーホームズなどにおけるチェックにおいても偽装であることが見過ごされまして建築がなされたものでございます。

 偽装の確認された物件数等でございますが、千葉県が姉歯事務所に立入調査を行いまして調査いたしました結果、平成8年から今日までに姉歯事務所が手掛けました物件は208件あることが今日までに確認されております。これにつきまして、千葉県から物件が所在する各都府県に通知をいたしまして特定行政庁においてそれぞれの物件について偽装の有無、それから安全性の確認を行っているところでございます。
 当初、11月21日までの時点では21物件で構造計算書の偽装が確認されましたけれども、昨日までの集計で新たに41物件で偽装が確認されておりまして、偽装物件は合計で62物件となっております。

 それぞれの個別の資料を記しておりますけれども、六ページをごらんください。
 姉歯建築設計事務所がかかわった物件208件についての作成年について、物件数、それから改ざんの有無、ありなし、これを整理しております。トータルで62件において改ざんが確認されたというものでございます。現在調査中のものが32件ございます。

 八ページ以降、この問題を公表しまして以降の取組を記しております。
 

次に、政府としての当面の対応を一昨日、関係閣僚会合において取りまとめましたので、御説明いたします。
 資料の二をごらんください。
 対応策は大きく二つに整理しております。第一は、偽装が判明した物件への対応でございます。

 これは居住者等の安全確保ということで、実態の把握、情報提供といったようなことをこれまで講じた対応として記しております。それから、これからの対応としましては、売主、建物の建築主でございますけれども、お客様に対して誠実な対応をするように要請、指導していくことなどを記しております。それから三ページですが、居住者等の安全確保のために、危険な建築物から退去していただくための勧告、命令等を実施するといったようなことを掲げております。

 次がAでございます。居住の安定確保ということで、住宅ローンの負担の軽減、固定資産税の負担軽減といった措置をこれまで対応しておりますけれども、これからの対応として、この関係閣僚会議で取りまとめました柱でございますが、住宅ローン負担の軽減について公庫の特例措置を適用するといったことに加えまして、後で資料三に基づいて説明しますけれども、分譲住宅居住者への公的支援を決定いたしました。


 三番目が関係者の処分、告発でございます。これからの対応というところに記しておりますけれども、姉歯建築士につきましては、昨日、中央建築士審査会の同意を得まして建築士資格を取り消しました。それから、関係者の告発につきましては、12月5日国土交通省からの告発が警視庁に受理されております。


 それから、大きく二つ目の対応は、建築物全般についての対応でございます。

 国民の皆様の不安にきちんと対応するという観点から、まず相談体制を確立するということで、相談窓口についての情報を国土交通省のホームページだけでなく、官邸のホームページにもマンション耐震性コーナーを設けて情報が閲覧できるようにしております。

それから、自分のところのマンションは大丈夫かという国民の皆様の不安にこたえて、マンション等建築物の耐震診断等の促進ということで耐震診断ができる団体の情報提供、それから国庫補助制度の活用ということで公共団体に要請しております

 それから六ページのAでございますが、建築確認検査制度の総点検と再発防止ということで、12月1日に国土交通省内に緊急点検本部を設置いたしました。建築技術者を糾合しまして、百名の体制でございます。これから指定確認検査機関すべての機関に対して立入検査を実施いたします

今日から出掛けております。これから年内にすべてを終了した上で、結果について公表することとしております。それで検証されましたいろいろな問題点につきましては、社会資本整備審議会で御検討いただきまして、再発防止のための制度的な、抜本的な検討を行っていただく考えでございます。


 最後に、危険な分譲マンション対策について御説明いたします。資料の三をごらんください。

 地方公共団体と連携した総合的対策の実施と記しております。十七年度に特別措置法をもって創設していただきました地域住宅交付金を活用して、地方公共団体と連携して総合的対策を実施するというものでございます。

 この対策の対象となるマンションは次のような要件を掲げております。まず第一に、構造計算書の偽装を原因として、違反建築物が建築されたこと自体について区分所有者に責めのないこと、二としまして、当該建築物の建築確認に関し、重大な瑕疵があること、三番目の要件が、区分所有者が自ら居住する住戸が大部分であること、それから耐力の係数が〇・五未満で、耐震改修による対応は難であり、建築基準法に基づく除却命令を受けたものであることという要件を課しております。

 この対象について、支援する支援の仕方でございますけれども、地域住宅交付金で応援する提案事業と基幹事業に分けて記しております。

 提案事業につきましては、相談窓口の設置、運営、移転費の助成、家賃の助成、除却費の助成、建て替え事業の戻り入居者の負担の軽減、これは利子相当分の一括前倒し助成という考え方で負担軽減を図ります。それから、基幹事業につきましては、老朽化した建物を除却して優れた建物を建てる事業に対して助成しております優良建築物等整備事業を基礎としまして、マンションの建て替えを実施するという考えでございます。

 全体のフロー、スキームの例等、次のページに記しておりますけれども、マンションの居住者が区分所有法に基づきまして建て替え決議をしていただいたものについて、公共団体がこれを買い取りま土地価格相当分で買い取りまして、金額を居住者にお支払いすると。これを原資に居住者の方々は従前ローンを繰上償還していただくと。

地方公共団体は、買い取った資産について、建物を除却し、その土地について新しいマンションを再建築するというものでございます。その際、地域住宅交付金で国が助成するということでございまして、居住者の方々のいろいろな御意向のコーディネートから再建築に至るまでの具体的な実務を都市再生機構等が受託して行うということでございます。戻り入居に当たりましては、住宅金融公庫の融資で支援していくということを考えております。

 全体の概念図を三番目に記しております。従前のマンション、建て替え後のマンションということで、建築物自体は圧縮されます。それに相当する土地の部分も圧縮されるわけでございますが、建て替え後のマンションにつきましては、除却費、それから建築物のうち共同施設整備費、それから居住者の負担軽減のための利子相当分負担軽減措置これらが地域住宅交付金で財政措置されます残りが居住者負担となると、こういう概念でございます。
 以上でございます。


委員長(羽田雄一郎君) 以上で政府からの報告の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。

 北側大臣、御就任以来本当に困難な様々な事件、事故等ございまして、それらに対していずれも的確に、本当に熱心にお取り組みいただいたこと、敬意を表する次第でありますが、またまた大変なことが発生をいたしました。そしてまた、本当にスピーディーに一生懸命に取り組んでおられること、敬意を表しますが、是非間違いのない対応をお願いを申し上げたいと思います。

 私、最初にこの事件の発生を聞いたときに非常に不思議な気がしました。私も技術者の一人として思うんですが設計をする人間がわざと間違える、しかもその構造にかかわる一番大事な部分をわざと間違えて設計する、それは普通はあり得ない話なんですね。商売でやっているわけですから、そんなことをしたら信用を失墜して自分の身が危なくなることはだれが見ても明らかですから、そういうことはないだろうと。

まあ過失はともかく、わざと故意にやるということは私は想像できなかったんですが、その後の報道の中で、そういうとんでもない設計を確認する人が見逃す見逃す人がいた、そして、そのことを前提に安く建物を造って利益を上げようという人がいた、なるほどと、その一連のつながりがあればこれは十分にやろうと思う、そういう意思が働くわけであるなというふうに思ったわけですが、

これまで私はそんなことを考えてみたこともなかったんですが、今回そういうつながりができてしまった以上、これからもそういう可能性は考えられるわけで、しっかり対応していかなければいけないと思うんです。

 この一連の設計をした人、そして確認をした人、った人、った人、この人たちが今回やった行為は私は大変な重大な犯罪行為刑法犯だと私は思います。つまり、刑法犯というのは、基本的な人権を侵害する、生命、身体、精神的な苦痛、財産、そういうものを及ぼしたときにはきっちりと刑法で犯罪として認められるわけですね。

今回起こったことは、何千人という人に大変な重い精神的苦痛を与えたわけですよ。まあ犯罪のその大きさを比較するというのは余り適切でないかもしれませんが、殺人犯というと非常にみんな気にします。一人二人殺す、こういう言い方は不謹慎かもしれませんが、そんなことよりもはるかに重い金銭的損害、人の一生を台なしにするような、そういう大問題なんですね、大犯罪単に建築基準法だ何だという話とは違いますよ。大変な刑事上の重たい犯罪だと私は思うんですが、法務省、その辺いかが御認識でしょうか。


政府参考人(大林宏君) 私どもが報道等を通じて今回の一連の問題を把握する限りにおきましても、お尋ねのような疑念をお持ちになることはごもっともかと思いますし、法務当局といたしましても、今回の一連の問題に関心を持って見守っているところでございます。
 
しかしながら、現段階におきまして、私どもは事案の詳細を承知しておりませんし、また、犯罪の成否は捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき事柄でありますので、本件において犯罪が成立するか否か、また何が成立するかということについてお答えすることが困難であるということを御理解いただきたいと存じます。

脇雅史君 現在進行中の事件について、まあここは国会という立法府ですから、司法ではありません。また、法務省としての答弁はその程度にならざるを得ないかなという気がしますが、私としては甚だ不満であります

 これ、どういう犯罪になるのかなと、私も法律の専門家ではないんですけれども、下手をすれば未必の故意で、事件が、地震があれば殺人罪あるいは傷害罪、今の段階だけでもこれだけの精神的苦痛を与えているんであれば、それだけで既にもう傷害罪、あるいは重過失傷害といいましょうかね、そんなような罪名だってあり得るんじゃないかなとすら思うんです。

 それなのに、一連の先ほど申し上げた設計から販売に至る人たち、これみんなある意味では容疑者ですよね、ちょっと言い方が、慎重にしなければいけないと思いますが。参考人、刑事事件の参考人になるべき、なる可能性のある方々だと思うんですが、それを本当にしっかりと、その捜査をしなければ犯罪行為そのものが確定していかないわけですから、国会へ出てきて何か好きなことしゃべっている場合じゃないだろうという気が私は個人的にはするんです。だから、その証拠の保全の意味でも、身体の保全という言い方は適切でないかもしれませんが、いろんな意味において捜査当局は早く着手をすべきではないのかなというふうに思うんです。

 どうも私、個人的には、何でこんだけ重大な犯罪をした、まあだれがどれだけ悪いかというのはこれは分からないわけですから、捜査しない限りは、参考人として呼ぶなりなんなり何でやらないんだろうかと、非常に警察当局に対してもある種の不信感を私持っちゃうんですが、警察の方おられたらお願いします。

政府参考人(竹花豊君) 警察におきましては、事案の重大性、広域性等にかんがみまして、12月7日、昨日でございますけれども、警視庁、千葉県警察、神奈川県警察による合同捜査本部を設置したところでございます。
 今後、関係者の刑事責任の有無につきまして十分検討いたし、刑罰法令に触れる行為があれば、法と証拠に基づき厳正に対処したいと考えております。

脇雅史君 我が国は法治国家だから法律に基づいてなされる、特に司法は現行法に基づいて当然そういう捜査なりなんなりするわけでありますから、まあある種、この種の事件がそう度々あるわけでもありませんし、非常に中身の難しい部分もあると思うんで、慎重な対応になるのはある程度分からないわけではないんですが、どうも法務当局、司法当局がそういうことにならざるを得ない背景として、この事件を裁くのに適切な法律が刑法上ないんじゃないか私は刑法犯だと思うんですが、どうも詐欺罪とかちょっと生ぬるいんですね。まして基準法で罰金五十万円なんてとんでもない話で、やっぱり刑法犯としてきちっと位置付けなければいけない。

そうすると、これは立法府の問題になるのかもしれませんが、この種の犯罪を今後抑制していくためにもきちっとした犯罪の位置付けが必要なのかなという気がしています。
 つまり、建築基準法に違反したような、そういう建物を設計をする、あるいはそれを販売する、あっせんする、そういう行為そのものが人の命にかかわる話ですから、それだけで重大犯罪だと、もうそれぐらいのことをしてもいいんじゃないかなというような気が私はしておりますが、法律の話ですからこれは様々な検討が必要だとは思いますけれども、そんな検討も是非やっていただきたいし、捜査当局にしてみれば、これだけの重大な犯罪なのにすぐに手が出せないということにもっと憤りを持ってほしいと、

やらなくちゃ駄目なんです。今できないにしても、もし法的に問題があるんなら、ここにこういう問題があるぞということを指摘して、我々もそのことをやらなければいけないと思っているわけでありますが、この辺につきまして法務省の見解はいかがでございましょうか。

政府参考人(大林宏君) お尋ねは、例えば詐欺罪等の財産犯に該当する行為が、同時に生命、身体に対する危険を含み精神的苦痛を生じさせるものである場合に、保護法益財産であるか生命、身体であるか等に応じて個別の罪を設けている刑法では十分な対応ができないのではないかと、こういう御趣旨かと思われます

お尋ねにお答えするためには、実際に問題とされる行為がどのようなものであって、刑法その他罰則により、どのような対応が可能であるか見極める必要があるのではないかと、このように考えております。

 先ほど申し上げたとおり、今回の事案の全体がまだ見えていない段階でございます。刑罰法令の問題が生じれば私どもとしても関心を持っているところでございます。その結果を見てしかるべき対応をさせていただきたいと思っております。

脇雅史君 立法府の問題でもあるんで検討しなければいけないと思っておりますが、全体像がはっきりしないとおっしゃいますが、被害者の全体像はもう非常に明々白々なんですね大変な精神的苦痛、財産的侵害を受けているわけです。ところが、加害者の方がはっきりしていないというだけなんですね。そのことはやはりきちっと裁かなければいけないということで、是非今後、的確に対応していただきたいというふうにお願い申し上げておきます。


 それから、これだけの被害を起こしたことに対する責任論、まあ北側大臣も行政、民民だけの話ではないとおっしゃっておられまして、確かにこの一連の犯罪行為に関係している部分が、特定行政庁ということで直接かかわっているわけですから、これはとても民民なんて言えているわけではないんですが、それが国土交通省、国土交通大臣そのものに響く問題かどうかということは私は若干疑念がありまして、一般行政庁としての責任と、この犯罪、犯罪行為に対する責任は少しきっちり分けていかなければいけない。私は、今回のこの非常に重たい被害を出した犯罪の、この犯罪を償うべき人は正に犯罪者であって、行政が本来、本質的にそれを金銭で償うような性質ではないだろうと私は思っています。

 一義的に犯罪者に責任がある。しかし、犯罪者が、だれがどういう犯罪をしているかは今の時点では明らかになっておりませんから、大臣も言われるように、これは正に司法当局の裁きを待つしかないのかもしれませんが、一義的な責任論でいえば間違いなく犯罪者に責めを負わせるべきだと思うんですが、いかがでございましょうか。

国務大臣(北側一雄君) 今委員のおっしゃっているお話は民事の責任のお話をされていらっしゃるというふうに理解しておりますが、そういう意味では、おっしゃっているとおり、第一義的には契約責任が売主にあるわけでございます。

 売主は、そもそも建て主として施工者を選び、そして設計者選び、その建物ができ上がるまでの全責任を担った上で、そして買主の方にその物件を売っていわけでございます。

そういう意味で瑕疵担保責任というのが規定されているわけでございまして、第一義的に責任があるのは当然のこととして売主であるというふうに私どもは理解をしております。しっかりと、この売主に対しましては、誠実にその責任を果たしてもらいたいということを昨日も改めて文書で通知をしたところでございます。

脇雅史君 非常に明快にお述べいただいたんで、私もそのとおりだと思うんですが、民事上の話かもしれませんが、この責任論をきっちりしておかないと、行政の責任だとかなんとかというと非常にその犯罪者の行為を薄めちゃうんですね。何となく日本じゅうで行政が悪いのか、何とかが悪いのかと。そうじゃない。犯罪を犯した人が一番悪いんですから、間違いなくその人に償わせなければいけないと私は思います。

 よく、国の責任がある、国家賠償なんかを要求して、要求した人が勝つと、勝った勝ったと言ってまあお喜びになるのは当たり前ですけれども、よく考えてみれば、国家が負けたということは我々の税金で払っているだけの話なんですね。ある意味じゃ自分で自分に払っているようなものですから、喜んでいる場合じゃないんです

 そこで、国家賠償法という意味でそういう補償責任をもし仮に取るケースで、私は組織的な責任と個人的な責任は峻別すべきだと思う。現実に国家賠償法上では、故意又は重大な過失が公務員にあれば、それは国として償ったものをその人に請求できるということになっているわけですね。つまり個人責任があるんです。

 私は、今回起こったこと、つまり特定行政庁等でその確認の審査をした人、これは私は簡単なものじゃないと思いますよ極めて重大な過失だと思う。こんなものが、所定の四分の一ぐらいしか鉄筋が入っていないようなものが見過ごされるようであれば、そんなものは確認行為とは言えない

ここは大変大事な問題だと思うんです。やっている人に責任感がないんじゃないかと。本当に人の命にかかわるということであれば、そんな見逃しなんかあり得ないですよ。なぜそうなるのかと。そこで、組織と個人の責任なんです。だから、個人に責任を持たせないと駄目なんです日本という国の役所はできる限り個人責任を薄くするんです

 例えば、こういう話は、まあ余り人のことは言いたくないんですけれども、民主党の菅さん、こういう責任論については極めて厳しい意見をお持ちの方だと私は尊敬もするんですけれども、あの方が厚生労働大臣やられたときにカイワレ事件というのがあったんです。カイワレ訴訟というのがありまして、これは最終的に判決が出て、国が負けているんですね。その判決を読むと、あの時点でカイワレが、特定の業者の疑いがあるということを公表する必要があると。(「この件とは全く関係ないじゃないか」と呼ぶ者あり)そういうことがあったわけです。いや、重大な関係があるから言っているんだ。よく聞いてください。

それで、そのときにどうなったか。負けて国が損害を償うべきだということになった。その判決の中には、中身が悪いということと、それの発表の仕方が悪いと、両方言われているんですよ、判決で。それで、そのことで国が我々の税金で賠償しているわけです。

 本質的にやはりどれだけの責任があるか分かりませんが、私は少なくとも検討して、個人責任というのはどれくらいあるのが妥当なのかという検討は要ると思うそうでなければきちっと責任を取るという状況は生まれないんですね。そのことを、まあ例えは皆さん方にとっては不愉快かもしれませんが、しかし、例えば大臣という人の責任はそれだけ重いんです。そのことをしっかり認識をしていただきたい。

 だから、この確認をした人の責任というのは個人的にもあるんですよ間違ったら税金で払ってくれるんですよ、そういうふうに思わないでいただきたい。僕はそこが言いたいところなんです。そのことをはっきりしておかないと、いつまでたっても本当の意味での責任論なんか出ないんですよ。いかがでしょうか。

政府参考人(山本繁太郎君) 制度をつくりましても、その運用に当たってそれを運用する者が責任感を持って進めるのでなければ、どういう場面でも問題が生じてしまうと。御指摘のとおりだと思いますので、今回、建築確認事務全体の過程を通じてどういう問題があるのかというのを総点検をしておりますので、それを踏まえて検討する中で、しっかり今の御指摘を受け止めて取り組んでまいりたいと思います。

脇雅史君 人を責めるというふうには受け取っていただきたくないんですが、やはり私も行政にいた者として、国民に対して責任を取るという非常に重たい部分があると思うんですね、特に人の命にかかわる部分。そのことについて最終的には自分が償わなくてはいけないというような思いがなければ本当の責任は生じないわけですから、仲間から犯罪者を出したくない、仲間がそんな償うことは見たくない、みんなでかばい合いたいという心情があるのも、これは悪いことだとは思いませんけれども、当然の人間の心情ではありますが、しかし、事安全にかかわる問題はそういったことを振り切ってでもきちんと個人的な責任を追及せねばならない、私はそう思います。

 それから、今回非常に北側大臣の肝いり、大変な御努力で対応策というのが出ているわけであります。私も、全く責任のない、今回マンションを買った方には責任ないと思うんです。全く責任のない人がああいう目に遭っているということは、是非救ってあげたいと、これはもうだれしもが思うことでありますが、今回の一連のその国の政策に対して、よく説明をしていかなければいけないと思うんですが、説明をしていただきたいと思うんですが

、やはり、さきの阪神・淡路大震災、あるいは新潟地震、様々な震災で家をなくされた方から見ると、何で私たちには助けてくれなかったんだろうか。類似の事例は一杯出てくるんですね。自分の責任ではなくて家を失ってしまった、二重のローンを払わなくちゃいけない、そういうことはあちこちであるんですよ。

 その辺の公平性の担保といいましょうか、国民全体として納得のできるやり方、これ極めてこれまでも、これをおやりになるときに当然大変な議論がなされていると思いますし、一番大変な部分なんですが、どんなふうにお考えになって今の案が出てきたのか、その辺の御苦心もあったと思いますので、御披露いただきたいと思います。


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