耐震強度偽装問題 審議 内容 を見やすくしてみました   home
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    163閉-参-国土交通委員会-1号 平成17年12月08
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政府参考人(山本繁太郎君) 今回の事案への対応の中で今現在の時点で一番重要なことは、分譲住宅居住者などの安全の確保と居住の安定の確保であると認識して対応してまいっております。今、現に目の前に危険のある建築物に居住しておられる居住者の方々に速やかに転居していただいてその安全を確保するとともに、その建物自体危険なわけでございますので、これを早急に解体して近隣の住民の方々の安全と安心を確保するということが、何といっても目前の危険でございますので、極めて緊急性が高く、なおかつ公益性が高いという点がまず第一でございます。

 それから、それに対して、その目前の危険を除去するという責任は、何といっても第一義的に責任を有する売主、建築をした建築主でございますけれども、これが買主である居住者との関係で瑕疵担保責任という契約上の責任を負っているわけでございますけれども、そういう契約上の責任にもかかわらず、この責任が誠実に果たされて居住者の移転と建物の解体が円滑に進んでいくという見通しは残念ながら今現在では全く立たない状況でございます。そういう現状を打開するために、その居住者の移転と危険なマンション等の除却を速やかに進めるためには、その部分だけでなく、居住者の方々全体に対する相談も含めまして、除却、建て替えまで総合的な支援策を一つのパッケージで提示するということが大事なことだと考えたところでございます。

 その際の支援策の中身についての御質問でございました、考え方の御質問でございましたけれども、今回の事案は、民間検査機関の検査ではあるわけでございますけれども、この建築確認の中で結果として建物の安全性について重大な見落としがあったということから出発しているわけでございまして、このような特別な事情を考えますと、純然たる民民の問題と割り切って、この時間リスクも含めてすべてを分譲住宅の居住者に負わせるということは適当ではないと考えて総合的支援策の中身を政府の中で検討してまいりました。

 その際、行政として、先ほど引用していただきましたような大規模な自然災害の場合の支援の枠組み、被災者生活再建支援法もございますし、そういった類似の財政制度ございます。それから、現実に災害がなくても、住宅行政の世界では、非常に危険ながけ地に近接して存在している住宅に対してこれを移転していただくというために講じております支援措置もございます。

 そういったような類似の財政措置とのバランスをトータルに配慮しまして、先ほど二つ申し上げましたけれども、そういった事情を前提に、できる限りの支援をするという観点から今回の支援策を取りまとめたものでございます。

魚住裕一郎君 行政の責任は全くないというわけではないという点であれば、例えばこれはホテルであろうと同じだと思うんですね。ただ、居住者の安全というふうに考えると、今度じゃ戸建ての場合も何か三棟ぐらいありましたね。それは等閑視するということなんですか。

国務大臣(北側一雄君) ここで責任と言ったときに、言葉を正確に言っていかないといけないと思っているんですが、その法律上の責任が行政にあるやなしやという問題については、これは私は最終的には司法でやっぱり決着していただくしかないと考えているんです。

 そういう意味で、先ほど住宅局長が申し述べましたのは、行政としての責任、行政責任としてしっかり果たさないといけない。理由として、緊急性、公益性の問題、また建築確認という公の事務にかかわるところで重大な見落としがある、そうした事情をかんがみるならば、行政としてしっかり中に入って、積極的に入っていって居住者の方々だけに時間リスクを負わせてしまうのではなくて支援対策をするべきであると、こういう判断をしたわけなんです。

 特に、マンションの場合はこれ区分所有権でございます。例えば、その建物のマンションを解体するにしましても、これ売主には所有権はないわけですね。解体する人は区分所有者なんですよ。区分所有者の方々の了解なければ解体もできないわけです。解体ができなければ近隣住民の不安も取り除けないわけですね。

 その点、ホテルの場合だとかそれからワンルームマンションだとか、こういうのはある意味はもう事業者なんですよね、所有者は。危険な建物の所有者は事業者です。事業者である場合は、ここはやはり事業者間で、今回かかわりのある事業者間でまず責任を明らかにし、対応をきちんとしてもらいたいということでございまして、そこで峻別をさせていただいているということも是非御理解をお願いしたいと思うんです。
 ですから、私どもは、現時点では危険な建物のマンション、分譲のマンション、その7棟ということに絞って支援策を取りまとめをさせていただいたわけでございます。


魚住裕一郎君 話は分かりましたけれども、じゃ戸建ての場合はどうなりますか。戸建ての場合も所有者は、来てますね、こちら、買った側に。

政府参考人(山本繁太郎君) 戸建て住宅の場合は、今大臣も御説明申し上げましたけれども、まず建物の取扱いについていろんな方々の合意形成の必要はないという事情がございます。それからもう一つは、要するに一定の敷地の中で戸建て住宅建てられますので、周辺の近隣住民に対する目の前の危険というのも、ないとは言いませんけれども、少ないといったような事情もございます。そういったことから、分譲マンションとは相当事情が異なるという認識でございます。

 ですけれども、戸建て住宅も、自分で住んでそこを生活の本拠にしておられるという点はありますので、例えば戸建て住宅を建て替えられる場合のいろいろな融資とか既存のローンに、もうローンを借りて戸建て住宅を建てられた場合であれば既存のローンについてのいろいろな返済困難者対策とか、そういったものは必要に応じ同様の適切な措置を講じる考えでございます。


魚住裕一郎君 それで、今回のスキームの中で、建築主の責任、論を待たないというのはそれは当たり前の話でありますけれども、時間的なリスクを含めて、分譲で居住する方に忍びないというところで発生してはいると思いますけれども、ただやはり、ヒューザーであれ、もうけが一番あるところに、建築主でありますし、しっかり責任を取らせていくべきであるというふうに思うわけですね。

 ただ、一時的であれ、行政で背負ってあげるといいますか、そういうふうなことをやっても、実際、将来的に求償していくんだろうと、解体費用であれ、いろんな利子を負担してあげようとかあるわけでありますけれども、そうはいっても結構時間が掛かるし、それまで建築会社が火だるまになってしまう可能性がある。破産に逃げ込まれたら、本当に行政が一時的に背負った負担というものをどうやって求償するのか。

あるいは、不当利得なんていっても、これは実際にやった後発生するから、破産財団にも届出もできないんじゃないですか、破産宣告時点にはないわけだから。だから、この分譲で買った人たちの本来建築主に持っている債権というものはあらかじめこちら側で代行的にやっていくという方法、何らかの形で持たないと、あらかじめの求償権というのはどこでできるか分かりませんけれども、そんな形で今から建築主に対する差押えといいますか、そういう保全処分をしていかないと厳しい仕組みになるんじゃないですかね。全部公費負担になってしまうんじゃないですか。その辺、どうですか。

国務大臣(北側一雄君) まず、行政上の措置として、昨日もヒューザーに対しては文書で、今までも言っているんですが、文書で売主としての責任を誠実に実行してもらいたい旨の指導をさせていただいておるところでございます。

 今委員のおっしゃっているのは、むしろ国並びに地方、このような支援策を出す以上、予算が掛かるわけじゃないか、税金使うんだろうと、それをしっかりと、本来一義的に責任がある売主に対して求めていかないといけない、そのためにはどうやってやるんだと、こういうお話だと思うんですね。売主に対してしっかりと私どもも責任、請求をやらせていただきたい、当然のこととしてやらせていただきたいと思っています。その法律構成について、今法務省の方と協議をさせていただいている最中でございます。

現時点では、こういう支援策を取り決めたからといって、まだ現実にお金を出したわけでも執行したわけでも何でもないわけなんですね。また、私は、この問題についてはこれから居住者、分譲マンションの居住者の方々ともよく相談させていただきたいと思っているんです。というのは、それは分譲マンションの居住者の方々は買主として、当然の権利として様々な権利を売主に対して今既に持っているわけですよね。ですから、そういう意味では、買主である居住者の方々とも、この売主との関係をどうしていくのかということについては、よく相談をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。


魚住裕一郎君 今回のこのスキームの中で耐震強度〇・五以下ですかね、で、〇・七八とか、そういうのはどういうふうな扱いになるんですか。

政府参考人(山本繁太郎君) 国と関係地方公共団体から成ります構造計算書偽装問題対策連絡協議会で、この建築物の今の地震に対する耐力の比が〇・五未満になることを目安として使用制限とか除却等の建築基準法上の命令を行うということを申し合わせたわけでございますけれども。したがいまして、今回の支援策もそういう具体的な物件を対象に総合的支援策を講じていくんだということを要件として明確に定めております。

 御質問の〇・五を超えて〇・五以上一未満と、新耐震基準未満のものについては、確かに、特に境界線上のものについてはいろいろ詳細に調べなきゃいかぬ事柄がたくさんあると思いますけれども、要するに、どうすれば当該具体の物件について基準法上許容できる範囲にまで安全にできるのかと、どういう方法が取れるのかというのは現物に即して調査をした上でやっていく必要があると思います。その上で、先ほど総合的支援策の対象としましたものとの関係でどういう施策をその具体の物件に居住している方々に講じる必要があるのかは、具体の案件に応じて必要に応じた対応を取っていかなきゃいかぬという認識でおります。


魚住裕一郎君 それで、建築主の責任に関連してでございますが、品質確保法で、瑕疵担保責任の特例ということで引渡し後は10年間責任、売主の責任を追及することができるというふうになっているわけでございますが、それとの関連で住宅性能保証制度というのがあるというふうに伺っております。特に売主が倒産等によってこの瑕疵担保責任の履行が困難となった場合にも売主に代わってフォローするというそういう制度でありますが、残念ながらこの制度は任意加入のようでございまして、正にこういうときこそこれは利いてくる制度ではないのかなというふうに思います。

 これ、せっかくいい制度でありますけれども、どのぐらいの加入状況になっているのか、また何でそういう数が低いのか。ある意味ではこれは自動車の自賠責と同じような制度にしていくべきではないのかなというような意見もあろうかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

政府参考人(山本繁太郎君) 住宅性能保証制度、民間保証会社によるものもございます。それから、財団法人住宅保証機構によるものもございます。平成16年度の利用実績でございますけれども、民間のものも含めまして、新設住宅着工戸数との割合を見ますと、13%にとどまっております。

 利用が低位にとどまっている理由といたしましては、まず事業規模の大きなハウスメーカーあるいはディベロッパーなどは、自分のところの事業収入とかそういったことで、自社で保証することが可能であるというふうに考えておられてこの制度を御利用にならないということがございます。

それから、逆に、地域に密着した工務店とか大工さんがお造りになるものは自分の技術との関係ですので、あるいは引き渡した後、住宅のメンテナンスとかも含めて非常にきめの細かい密着したサービスをしておられますので、こういう形を取る必要がないというふうに考えておられるんじゃないかと思います。

 戸建て住宅よりも共同住宅について普及率が少ないと、で、今回の事態ということがございますので、この問題は、今度制度的な検討をやってまいりますけれども、もちろん最終的には売主と建築主と買われる消費者の関係、その間で瑕疵担保責任をどうやって的確に担保するかということでございますけれども、住宅供給事業に関与するあらゆる事業者ですね、建築士、設計者、あるいは施工者、それぞれ的確に責任を果たして、最終的に責めのない消費者が経済的負担を被ることのないような消費者保護の市場インフラをトータルに議論していただく必要があるなという認識を持っております。

魚住裕一郎君 今回の事件に関連して勉強していきますと、ああ、一級建築士の中でもいろいろ得意分野があるんだなというふうなことが分かりました。しかも、意匠であるとか構造とか設備とか、いろんな専門分野というんですかね、資格としては同じかもしれませんけれども、あると。特に構造の方々は、話を伺っておりますと、何か非常にフィー、料金が、報酬が低いというような声も出てきて、だから姉歯氏が何かプレッシャー、プレッシャーと言っているのもその辺にも起因するのかなというふうに思った次第ですが。

 やはり別個に、設計会社から下請ということじゃなくって、別個に構造計算の設計をする、発注であるとかあるいは計算書に独自で署名をしていくような形、今まで設計の元請に全部やるんじゃなくて、やはり構造なり設備とか、ちょっと責任の所在がはっきり分かるような、あるいはプレッシャーを掛けられないような何か仕組みをつくっていくべきではないかなと思いますが、この点はいかがですか。

政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘のとおり、建築物の計画を作る、建築の設計をするという過程ではいろいろな職能を持った方々が、今デザインと構造と設備設計、引用されましたけれども、そういった各分野の得意な方々が共同作業でやっていくと。特に、大規模な建築物については、それぞれの分野を専門としておられる建築士の方々が共同作業でやっているというのが現実でございます。

 今の御指摘は、そういう現実を踏まえて分担した仕事についてきちんと責任を持つ、責任を持っていることが取引の過程でも分かるような仕組みを講じるべきじゃないかという御指摘だと受け止めました。そういうことが市場での取引で的確に対応できるように、社会資本整備審議会の検討では御指摘の点も踏まえまして広く意見を伺って検討していきたいと思っております。


魚住裕一郎君 是非お願いしたいと思います。そうしないと、これ姉歯氏の資格を剥奪したといいながら、このままいったらまた関与できますよ。もちろん個々人の職業選択の自由があるでしょうけれども、やはりそこはきっちり截然とすべきであるというふうに付言をしておきたいと思います。

 それで、今回、民間検査機関ですか、本当に素通しで判こを押したんだなというような気もしますけれども、これ行政庁もそういう部分が、見過ごしたということがありますが、平成10年の建築基準法の改正でこの民間機関による建築確認検査制度を導入したということでございますが、何か截然としないといいますか、景気が良ければどんどんどんどん申請が一杯あるだろうから民間機関に一生懸命やってもらうということもあるでしょうけれども、何か中途半端だなという気がいたします。思い切ってもう民間機関にしっかりその辺はやらせることにして、行政庁はもう手を引いて、指導監督にもう特化するということの方がいいのではないのかなというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。

政府参考人(山本繁太郎君) 平成10年の基準法改正でこの制度を導入しましたときの問題意識でございますけれども、要するに、いろんな技術革新で建築確認の事務が右肩上がりでどんどん増えていく、しかし建築確認の審査体制というのはなかなか、例えば人数を増やすとかそういうことが全くできない環境の下で、どうすれば的確にこの仕事をこなすことができるかということを検討した上で導入したものでございますけれども、要するに、きちんとした審査能力を備えた公正中立な民間機関でこの検査、確認検査はできるんだという判断の下に、要するに、行政と民間が相互に補完し合ってこの事務を的確に遂行していこうという問題意識で導入されたと認識しております。

 今の御指摘は、そういうことであれば、きちんとその道を究めて、公と民間との役割を、民間が具体的な確認事務をやる、公はこれを監督するということで役割分担できないかということでしたけれども、現実の問題といたしまして、民間機関はもちろんサービス向上のためにいろんな工夫をしますし、仕事はしていくわけですけれども、効率が悪い地域ではこの確認事務のサービスを行わないというようなことも想定されるわけでございまして、そういう観点で建築主事による確認制度も残しているわけでございます。

 この事情はこれからも変わらないと思いますので、建築主はそういう意味で自分の自由な意思でどっちを選ぶかということができるわけでございますが、民間に仕事が行くということで、地方公共団体の建築行政を進める体制は、より行政でなければできない既存不適格行政でありますとか耐震化を進める行政でございますとか、そういった方に力を加えていけるわけでございますので、そういう形で前に進めていくという、そういう方向であろうと考えております。

魚住裕一郎君 その民間指定機関でございますが、これは平成10年の改正に基づくからまだそんなに古い制度ではないと思いますけれども、出発時は恐らくこの建築主事のOBだとか、天下りというか横滑りというか、そんなことが多かったのではないのかなというふうに私は思っておりますが、その点はどういうふうに確認をされているのか。

 それから、それよりも、この指定機関に建築会社とか住宅会社業界とか、そこから行っている人も多いんじゃないのかなと。そうなると、出身の建築会社から来たのは、まあまあ、めくら判押すみたいな世界にはならないとは思いますけれども、その辺の癒着というのがやっぱり問題となるんではないのかなというふうに思います。

 建築基準法第77条の20というところでは、この建築確認検査の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないことというふうに明記されておりまして、その点をどう担保していくのか。担保されているんでしょうね、もう。どういう担保になっているのか、あるいはどういうふうに担保していくのか、併せて御答弁いただきたいと思います。

政府参考人(山本繁太郎君) 今のその指定建築確認機関の第三者性といいますか、第三者、公平にして中立な立場で建築基準関係規定の適合性を判断すると、そういう行為能力があるかどうかという点の要件でございますけれども、

やはり建築確認の事務に関連する利害関係を有するところと、例えば資本関係、それから経営者の関係については明確に規定されておりまして、もちろん利害関係のところが過半を資本を持つということは禁止されておりますし、あるいは一社でなくてもそういう関係者が半分まで、半分以上になってはいかぬという準則を持っております。

 しかし、どうしても半分以上になる場合は、三分の二未満までは許容するけれども、指定機関の中に行動をきちんと見る客観的な監視委員会をつくって業務を行いなさいという準則を持っておりまして、そういう意味で、利害の関係のあるところが具体の建築確認の審査に影響を及ぼすことがないように公平中立性を確保するという観点で基準を設け、指導しているところでございます。

魚住裕一郎君 終わります。

委員長(羽田雄一郎君) 速記を止めてください。
  

委員長(羽田雄一郎君) 速記を起こしてください。


仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

 今回の耐震強度偽装事件の発覚後の経緯の中で、問題が一部の無法者の重大、悪質な犯罪行為というにとどまらずに、我が国の建築行政そのものを根本から問う大問題であるということが明らかになりました。私は、被害者の救済を最優先に、原因と責任の徹底究明、再発防止の抜本的対策を進めることによって国民の不安を解消することが急務だと思います。

 今日は限られた時間ですので、幾つかの点に絞って質問させていただきますが、まず、今回の事件の分譲マンション所有者、被害者の立場について政府がどのように認識をしておられるのか、大臣にお尋ねをしたいと思うんです。

 この点で、世間には、広くて安いという売り文句に対して、買主、被害者の側も警戒すべきだったんじゃないかというようなたぐいの意見が現実にございます。ですけれども、建築物の安全性や構造計算について買う側、消費者の側でチェックをするというのは、これは不可能です。同等同種の物件よりも多少安かったとしても、建築基準法違反の物件が市場で売られているとはこれはだれも考えないことであって

、だからこそ、仮に、大臣が今日、最高裁決定を踏まえて繰り返し述べられたように、多数の関係者の責任の有無及び責任割合は最終的には司法の場での決着にゆだねるしかないという立場に立ったとしても、その責任というのは原因企業と業界、指定検査機関と自治体、そして国にあるのであって、分譲マンションの所有者、被害者には何らの落ち度もないという認識を対策の出発点としてはっきりさせる必要があるのではないかと思います。
 この被害者に何らの落ち度はないという、この点は当面求められる緊急対策の中で、被害者がどれだけの自己負担とリスクを負うのかという問題とは私は別の問題だと思うんですけれども、この点での大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

国務大臣(北側一雄君) 今回の危険なマンションが建築されたことにつきまして、分譲マンションの居住者には何ら過失はないと私は考えております。だから、そういう前提があって今回の支援スキームも成り立つものであると考えております。

仁比聡平君 被害者には落ち度はありません。ですから、救済策には、現時点ではなお被害者が負っているリスク、これをできるだけ軽減するということが求められると思うんですね。つまり、関係者に民事上の瑕疵担保責任や、あるいは国賠法上の賠償責任があるとして、その責任を明らかにして賠償を現実に受ける上での原因企業の倒産や無資力のリスクがあります。あるいは、交渉や訴訟、債権保全に要する手続の負担があります。あるいは、再建に掛かる長期間の時間等、精神的な負担などがある。こういった有形無形の様々な被害者のリスクをできる限り軽減することが私は必要だと思うんですね。
 政府が当面の対応策やあるいは総合的対策を発表される前のことなんですけれども、私自身、被害マンションの一つでありますグランドステージ川崎大師というマンションを訪ねてまいりました。実際にお話を伺いますと、問題が発覚をして後に、連日連夜、仕事を終えてから住民の皆さんが協議を重ねてこられて、その間にヒューザーやあるいはイーホームズ、いろんな対応がある中で振り回されていろんな経過があったけれども、先週12月2日二十三戸全員の賛成で建て替え推進の決議を上げられたというお話でした。

 それは、責任のなすり合いをやっている姉歯建築士やヒューザー、あるいはイーホームズなどの業者に振り回されるなら再建の展望がもう見えないと、今は問題解決のためにみんなが必死で頑張っているんだけれども、精神的にこれ以上もつはずがない、だから再建の展望なしに退去だけが強制をされるなら、住宅ローンと転居先家賃などの二重負担で支払不能になってしまう、サラ金自転車操業に陥って死ぬしかないというような言葉まで聞かれました。

それを踏まえて、一刻も早く自治体、ここでは川崎市になるわけですけれども、市の責任で、そして国の支援で再建のめどを立てたいという痛切な声を伺いました。当事者の気持ちになれば、いつ明けるか分からないやみの中で光が見える状況を一刻も早くつくりたいというのは当然のことだと思うわけです。

 一昨日、政府が発表されました総合的対策の枠組みによる支援というのはもとより、これ実際にマンションを建て替えていくということを考えますと、一棟一棟ですね、それぞれの土地の条件や近隣との関係や、あるいは所有者の思いが複雑だろうかと思います。その一棟一棟の管理組合や所有者の積極的な提案を踏まえた再建の道、これを自治体、そして国として責任を持って支援すべきだと思いますが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

国務大臣(北側一雄君) 一昨日、解体後の建て替えの支援も含めた取りまとめをさせていただきました。私はこれからが本当に大変だと思っているんですが、これからも。
 一つは、地方自治体、特定行政庁でございます地方自治体の皆さんの協力なしにはこの支援スキームは実行できません。そして、更に重要なことは、その居住者の方々、分譲マンションの区分所有者でございます居住者の方々、といっても、そこには当然何十人、何十戸のおうちがあるわけでございまして、置かれている状況等も様々でございます。そういう中にあって、解体をし、そして建て替えていくという中で、その方々の意思が合意をされていかないといけないわけですね。

 これは、こういう事件ではなくても、マンションの建て替えというのはなかなか大変なことなわけですね。ましてや、こういう事件があって建て替えるという状況の中で、その区分所有者の方々、居住者の方々のコンセンサスを形成していくというのは大変なことだというふうに私は思います。

 そういう意味で、私どもも地方公共団体と一緒になって、また地方公共団体が御了解いただけるならば、都市再生機構等も専門家集団ですから、彼らも入っていって、しっかりとその合意形成ができるように全力で取組をさせていただきたいというふうに思っております。

仁比聡平君 その際に必要なのが責任ある窓口の一本化だと私は思うんです。といいますのが、建て替えを含めた救済を図っていく上で、大臣今おっしゃられましたように、大小様々なこれから問題あるいはハードルというのが生まれてくると思います。

 例えば、これまで明らかになっているところでも、マンションの既存の権利関係の確認に関してですね、例えば駐車場の所有権がヒューザーにあるとか、あるいは現実には存在していない部屋が存在しているかのような登記がなされているとか、そういう問題がございます。

あるいは取壊しや除去に関して、それをどうやって進めるのか、あるいは転居先の手配やそこについての支援ですね。あるいはその再建に当たって実際に戻り入居をする際の条件の設定や、再建をする建物の設計の問題というのが当然生まれてくると思います。

あるいは融資、税務に関して言いましても、固定資産税に関することのみならず、不動産取得税をどうするのか。あるいはローン減税が今は現行適用されていますけれども、これが建て替えという期間が掛かる中で一体どういう適用関係になるのか。様々な不安を重大な利害関係を持って、被害者の方々お持ちになっていらっしゃるわけですね。

 これ、今現実には、それぞれの被害者が個々別々にそれぞれの今縦割り行政の下での窓口を訪ねて、言わばたらい回しにされるという現状があって、窓口体制はつくっておられるとおっしゃるのかもしれないけれども、そこでは問題が解決できないという実態が私あると思うんですね。その負担というのは本当に大変ですし、またこれから従来にない支援がなされる中で、従来の所管事務を超えた総合的なコーディネートが必要になっていると思います。ですから、こういったコーディネートがしっかり迅速に進まなければ、退去の前提になるその再建の展望というのが明らかにならない。それも、その展望そのものをここ一週間程度で明らかにしていかなきゃいけないというようなことかと思うんですね。
 政府としてそういった意味での全体をコーディネートする担当者を置くべきだと思いますし、各自治体にもそのような対応を要請すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(山本繁太郎君) 居住者の方々が本当に安心できる対応を現実に実務の世界で進めていく上で、非常に大事な御指摘だと受け止めております

 まず、居住者の皆様方に対しまして、建物を解体するためにまず転居をしていただく、それから新しいマンションを再建する、それに戻り入居をしていただくといったような居住者の方々の具体の相談につきましては、何といっても地域の状況に精通した地方公共団体が対応することがまず第一に適当だと考えております。

 このために、居住者等への相談窓口を特定行政庁に設置いたしまして、当該物件の居住者等と、それから先ほど売主が駐車場の所有権を留保しているというような事例を御紹介いただきましたけれども、居住者等と建築主ときちんとやり取りをする場を設けるといったような居住者に対する支援でございますとか、

それからこの当該物件の周辺の方々の住民の不安、あるいはそのほかの住民に対する相談なども含めてこの特定行政庁の相談窓口で対応していくこととしておりまして、その総合相談窓口の設置運営経費については地域住宅交付金の助成の対象とすることとしております。

 その上で、今御指摘がありました国としての対応でございますけれども、これは特に国と地方公共団体にまたがる問題について、この総合的な支援スキームについて、極力統一的に対応するということが大事でございますので、この偽装問題対策連絡協議会の中に危険な分譲マンション対策検討ワーキンググループを設置しまして、緊密に連携して対応していくと、いきたいと考えております。


仁比聡平君 次に、住宅ローンの問題についてお尋ねをしたいと思います。

 国交省の救済スキームでいきますと、自治体に、被害者の側でいえば、土地価格相当分を買ってもらうと。これを、ある試算によりますと既存住宅ローンの四分の一程度にしかならずに莫大な残債が残ってしまうと。戻り入居について新たに一千万円から一千五百万円ものローン、自己負担が生まれるのではないかというような見方もあるわけですね。

これはもうそれぞれ区々だとは思いますけれども。加えて、再建費を捻出するために再建後の専有部分が大きく削減されるということにもし仮になるなら、多くの被害者にとって希望の道が閉ざされてしまうということにもなりかねないと思うんです。

 そこで、まず住宅金融公庫の公庫融資とフラット35、この利用者について、ローン負担の軽減策をどのような特例措置で検討しているのか、現実に何月分から返済据置きなどの措置を受け得る見込みなのか、このことを伺いたいと思います。

政府参考人(山本繁太郎君) 個々の融資につきましては、これまでできるだけ利用者の方のきめ細かい返済相談に応じまして、返済困難になった方につきましては元金返済の一部繰延べといったような返済条件の変更に応じるということで対応してまいったわけでございますけれども、

さきの関係閣僚会合で定めました総合支援策の中で、さらに地震等の災害の現実の被災者に対して適用されております措置、具体的には償還期間、償還期間最長三十五年ですけれども、これを超えて償還期間を設定すると最大三年

それから、返済据置期間を設定すると。これも最大三年。それから、この据置期間中における金利を一部減免すると。これ最大で一・五%ポイント金利を引き下げるといったようなことを内容とする措置について今回の案件に適用するという方針を定めましたので、これが適用できるように今関係当局とやり取りをして準備を進めているところでございます。できるだけ早期に適用できるようにしたいと考えております。

 いつからこれ活用できるかという御指摘でございますけれども、居住者の方々から御要望いただいた場合に、本措置の適用は一月分からは適用が可能になるように早期に対応したいと考えて今鋭意折衝しているところでございます。

仁比聡平君 できるだけ早く、できれば12月分からでも適用できるように努力をいただきたいと思うんですね。
 ですが、残念ながらその住宅金融公庫関連の利用者というのは全体の戸数の中ではわずかになっていまして、多くは民間金融機関の住宅ローンを利用しているわけです。

今日も他の議論もありましたけれども、私、ここで金融機関が売手の側と言わば一体化しているんだということをしっかり踏まえた対応が求められるんじゃないかと思うんですね。

 といいますのは、例えば被害マンションの契約に当たってヒューザーの側は審査を要求するわけですが、ここには提携をしている大手の銀行がその審査を担当すると。それを経なければ契約はできないという仕組みにどうやらなっているようです。

ですから、被害者の方々は、最終的にどこの金融機関から借りたかは別として、その銀行を紹介をされ、そしてその審査を受け、多くはその方々、その銀行から借入れをしている。あるいは被害、これはホテルの関係ですけれども、経営者によれば、総研を銀行から紹介されたという証言がございます。つまり、売手の側との提携関係というのが強く疑われるし、現実にそれを示す事実が出てきているわけですね。

 そういった中で、全体としては金融機関は大きな利益を上げているわけで、にもかかわらず、法的に債権債務関係が今現状違うからといって、過酷にこのマンション被害者に対して取り立てるということは、これは信義則に反するんじゃないでしょうか。私は、そういう観点に立って政府全体として、支払を強要することは許されないということを強く迫るべきだと思います。

せめて、先ほど御紹介いただいた住宅金融公庫における特例措置、これと同等の軽減措置を速やかにとるように政府全体として対応を強めるべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(北側一雄君) 今回の居住者の方々、もう当然のこととして住宅ローンを設定をされておられます。住宅金融公庫を活用されているのはむしろ少ない方でございまして、民間金融機関から住宅ローンを借りている方々が大変多いわけでございまして、これにつきましては、全銀協を始めとする民間金融機関関係の団体に政府からも金融庁を通してお願いをいたしまして、本件に係る住宅ローン債務者からの返済の一時繰延べ等の要請があった場合には真摯な対応に努めることを内容とする申合せをなされまして、そういう公表もなされているところでございます。この申合せを踏まえて、民間金融機関は私は前向きな対応をしていただけるものと考えております。

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