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工事金額が一千万円で完成したわけではないが、発注者からの条件として提示された計画当初の建築工事代金が1000万円であった。野蛮な思考をもってしても、平面計画が10、000、000はやはり仰天モノであろうか。笑う人がいても当然、否・10‥が平面に直結していると思い込める人の約束事の存在が可笑しいのである。単に与えられた条件を満たせばよいと思える建築家ではないのが哀しい。完成された形態がどうであれ自らの生を、金額の枠の中に納めて安心できる人の存在はとても腹立たしいことです。建築設計を生業としてるので・・。
 そこで私は与えれれた金額ではとうてい完成しえない、つまり与えれれた金に生を封じ込めない建築を作ろうとしてのでした。少ない金額で家ができないのはだれのせいなのかを想えば解るであろうか…。もちろん発注者の経済力などではないのである。たまたま金額を払えたからといって家を持ち歩くことが出来るわけもない。持ち家とは人が仕立てたモノと制度の仕掛けにすぎないのでした。人がそのことに解放されるためには再考が必要と思うのですが・・。
 自力建設であれば材料費のみですから完成するとおもうのです。分棟形式を選んだのはそのためでもありあます。一棟ごとに腕があがつていくかもしれないし・・まあー完成までは100年かかるかも・・はたまた完成型さえすっかり忘れ去られ、生々しい現世のモノモノを吸着・獲得して生きて行くのかは建築家が知る術もないがそれもいい。死んでしまって春の風にのり千万家を訪ねてみたら、筒状の家がポッホッと草原に頭を出して天辺から吐き出す息はどんな色なのだろうかと想うのもいい・・。
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