作図法(2)
証明(2.1)
証明(2.2)
解説(2)

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(作図法(2))
 辺OBの中点をDとする。直線OCに平行な直線と直線OAとの交点をEとする。直線DE上に
   (28)
を満たすように点Fをとる。ただし、AとFは直線OCに関し反対側にあるものとする。直線CDと直線OAとの交点をGとし、直線FG と直線OCとの交点をHとする。
 直線OA上に
   (29)
を満たすように点Iをとる。ただし、AとIはOに関し同じ側にあるものとする。3点A,H,Iを通る円と直線OHとの交点をJとする。 JからOAに下ろした垂線と線分HJの垂直二等分線との交点をKとする。Kを中心としHを通る円と直線OAとの交点をPとすると、 直線CPが三角形OABの面積をニ等分する。
 ただし、作図の過程でPが存在しない場合は、点Cを通りかつ線分OA,OBの両方と交わる直線で三角形OABの面積が二等分されることはない。
 Pに相当するものが2個ある場合は、そのそれぞれをPとし、上の作図を2回試みるものとする。
 線分OAが円Kと交わらないまたは線分OBが直線PHと交わらない場合は、そのPからは条件を満たす直線が得られない。
 同様の作図を頂点O,A,Bを読み替えて3回繰り返せば、三角形OABの面積を二等分する直線でCを通るものがすべて得られる。

(証明(2.1))
 (作図により得られる直線が三角形OABの面積を二等分すること。)
 直線CPと直線OBとの交点をQ、直線HPと直線OFとの交点をRとする。Kを中心としHを通る円と直線OAとの交点のうち、Pでない方を P'とする。
 方べきの定理より、
   (30)
である。(29)より、
   (31)
である。
   (32)
と円周角の定理、対頂角の相等より、
   (33)
である。さらに、
   (34)
であるから、三角形OP'Hと三角形ORHは合同である。ゆえに、
   (35)
(31)(35)より、
   (36)
3点P,Q,Rは同一直線上にあるから、メネラウスの定理より、
     
   (37)
3点P,C,Qは同一直線上にあるから、メネラウスの定理より、
     
   (38)
HCとFDが平行であるから、
   (39)
(37)(38)(39)より、
     
     
   (40)
(36)(40)より、
     
     
     
したがって、直線PQは三角形OABの面積を二等分する。

(証明(2.2))
 ((証明(2.1))の逆、すなわち、点Cを通る直線で線分OA、OBの両方に交わるものが作図により得られること。)
 点Cを通る直線が、線分OA、OBの両方に交わるとし、その交点をP,Qとする。さらに、
   (41)
が成り立っているものとする。点D,E,F,H,I,J,Kは作図方のところで述べたようにとる。直線PHと直線OF、OBとの交点を R',Q'とすると、(証明(2.1))の(36)から(40)まではQをQ'、RをR'と読み替えれば成り立つから、
   (42)
(41)(42)より、
   (43)
ここで、半直線OA上に
   (44)
を満たすように点P"をとれば、
   (45)
(29)(45)より、
   (46)
これと方べきの定理(A,I,H,Jは同一円周上にある)より、
   (47)
であるから、4点P,P",H,Jは同一円周上にある。この円の中心をK'とすると、Kは線分HJの垂直二等分線上にある。また、 (44)より、三角形OP"Hと三角形OR"Hは合同である。これと、円周角の定理、対頂角の相当から、
   (48)
(48)より、
   (49)
したがって、K'はJからOAに下ろした垂線の上にある。
 ゆえに、K'は作図により得られるKと一致するから、この直線PQは作図により得られるものの一方と一致する。

 この作図法のアイデアは、次のような一次変換の性質を知っていると分かりやすくなります。ただし、一次変換は現行の 教育過程では、高校で学ばなくなってしまっています。一次変換の性質についてまったく知識がないかたは、適当な参考書 をご覧下さい。
 ある直線上にある2つの線分を一次変換でうつしたとき、長さの比はその前後で保たれる。
 2つの三角形を一次変換でうつしたとき、面積の比はその前後で保たれる。
このことの証明は他にゆずるとして、これにより作図のアイデアがわかります。以下のようにすると、 ”平面上の任意の点Cを通る直線で三角形の面積を二等分する問題”を”三角形の一つの角の二等分線上にある 任意の点Hで三角形の面積を二等分する問題”に言いかえることができ、作図がだいぶわかりやすくなります。
 いまOを原点とするとき、Aを不動点にもち、かつ、直線OCを不動直線にもち、かつ、直線OBを直線OFにうつすような 一次変換が存在する。この一次変換を f とすると、
   (48)
Hを通る直線を l' とし、これと直線OA、OFとの交点をP,Rとする。三角形OPRと三角形OAFの面積が等しいように l' が定まれば、直線 f -1(l' ) がCを通り、三角形OABの面積を二等分する直線 l となる。方べきの定理より、
   (48)
であるから、
   (48)
とすると、三角形OAFの面積は、
   (48)
となる、三角形OAFと三角形OPRの面積が等しいとすると、
   (48)
より、
   (48)
となる。ここで、半直線OA上にOR=OP'を満たすように点P'をとれば、
   (48)
が成り立つ。Jから直線OA上に下ろした垂線の足をLとすると、三角比の定義により、
   (48)
であるから、
   (48)
   (48)
ゆえに、Lは線分PP'の中点である。さらに、
   (48)
より、
   (48)
ゆえに、4点H,J,P,P'は同一円周上にある。この円の中心をKとすると、直線JLが線分PP'の垂直二等分線であるから、Kは 直線JL上にある。すなわち、Kは直線JLと線分HJの垂直二等分線の交点である。これでK,Pの作図法がわかった。こうして 得られる直線HPを l' として l=f -1(l' ) をもとめればよいのだが、Pは不動点であるから、 l は直線CPに一致する。
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