この作図法のアイデアは、次のような一次変換の性質を知っていると分かりやすくなります。ただし、一次変換は現行の
教育過程では、高校で学ばなくなってしまっています。一次変換の性質についてまったく知識がないかたは、適当な参考書
をご覧下さい。
ある直線上にある2つの線分を一次変換でうつしたとき、長さの比はその前後で保たれる。
2つの三角形を一次変換でうつしたとき、面積の比はその前後で保たれる。
このことの証明は他にゆずるとして、これにより作図のアイデアがわかります。以下のようにすると、
”平面上の任意の点Cを通る直線で三角形の面積を二等分する問題”を”三角形の一つの角の二等分線上にある
任意の点Hで三角形の面積を二等分する問題”に言いかえることができ、作図がだいぶわかりやすくなります。
いまOを原点とするとき、Aを不動点にもち、かつ、直線OCを不動直線にもち、かつ、直線OBを直線OFにうつすような
一次変換が存在する。この一次変換を
f
とすると、
(48)
Hを通る直線を
l'
とし、これと直線OA、OFとの交点をP,Rとする。三角形OPRと三角形OAFの面積が等しいように
l'
が定まれば、直線
f -1(l' )
がCを通り、三角形OABの面積を二等分する直線
l
となる。方べきの定理より、
(48)
であるから、
(48)
とすると、三角形OAFの面積は、
(48)
となる、三角形OAFと三角形OPRの面積が等しいとすると、
(48)
より、
(48)
となる。ここで、半直線OA上にOR=OP'を満たすように点P'をとれば、
(48)
が成り立つ。Jから直線OA上に下ろした垂線の足をLとすると、三角比の定義により、
(48)
であるから、
(48)
(48)
ゆえに、Lは線分PP'の中点である。さらに、
(48)
より、
(48)
ゆえに、4点H,J,P,P'は同一円周上にある。この円の中心をKとすると、直線JLが線分PP'の垂直二等分線であるから、Kは
直線JL上にある。すなわち、Kは直線JLと線分HJの垂直二等分線の交点である。これでK,Pの作図法がわかった。こうして
得られる直線HPを
l'
として
l=f -1(l' )
をもとめればよいのだが、Pは不動点であるから、
l
は直線CPに一致する。