長唄 「賎の小田巻」
立方 萩井ゆう子
作詞 菊池武徳。作曲 五世杵屋勘五郎。明治41年十二月、東京有楽座初演。
吉野山で義経と別れた静がその後捕らえられて鎌倉に送られ、頼朝の所望で鶴岡八幡宮に法楽舞を奉納しますが、義経を恋い慕うという心持ちを表すという、上品な舞踊です。
最初から踊り地として出来た曲のため、次第に始まり、道行、名乗り、チラシと手順も運びよくまとまっています。
振りも曲に伴って大変品良く、義経を偲ぶ哀れさや、二上がりの舞地の詠嘆的な美しさ、また節操正しい信念の女性としての片鱗を示す末段など、内面的な表現を伴う深みを併せ備えている舞踊です。