長唄 「吉原雀」
    特別出演
立方 猿若吉代 萩井栄秀

題名の「吉原雀」とは、吉原の冷やかし客という意味です。それを登場人物の鳥売りの夫婦に掛けた、しゃれた題名になっています。
振付 猿若清方。
吉原の放生会(捕らえられた生き物を放って功徳を与える儀式)へやって来た鳥売りの夫婦が、廓の風俗や遊女の生活を描写するという内容です。
まず、壮重な放生会の由来に始まり、一転して吉原情緒となります。客と遊女のやり取り、鳥尽くしのチョボクレ、艶やかな光景を組み合わせたところに、この踊りの面白さがあります。
「吉原」とは、言うまでもなく江戸で公に認められていた、唯一の遊郭でした。
廓でありながら、日本舞踊は吉原とは切っても切れない縁があります。吉原との縁は、日本舞踊ばかりではなく、当時の演劇・文学・絵画など、江戸の文化全体がそこから発祥したといってよいでしょう。それは吉原が、当時の富豪や文人、そして大名も出入りするほどの上流社交場であったからです。