自閉症について(ドラヴァージョン)


自閉症という障害は、簡単に説明するのがとても難しい障害です。
「脳障害」である事は間違いがないのですが、症状と言われるとひとりひとり全く違い
現在の日本では、医療現場ですら混乱している状態だといっていいと思います。
ですからここに書かれている事は、ひとつの臨床例に過ぎないという事を頭に入れておいて下さい。
他の特に我が家のドラは自閉症児の中でもかなり珍しいタイプのようなのです。
自閉症の中でも「へんなヤツ」なのです。自閉症についての説明はこちら

ドラの自閉の特徴を例えて言うと「バソコンにいくつかのソフトが抜けている状態」に近いと思います。
本来バソコンというのは単なる箱です。その中に使いやすいソフトが入っているから便利に動いてくれるのです。
重要なソフトがひとつでもないとパソコンがどんなに不便になるかはわかっていただけると思います。
それは、例えば、MS-IMEやATOKのような文字変換ソフトがなかったり、
WindowsやMacのようなOSが抜けていたりするような状態なのです。
ですからドラは、無いソフトを補う為にパソコンの中にある言語と使用できるソフトを駆使するしかありません。
既製のソフトを使えば簡単にできる操作も、ドラパソコンの場合は、言語を使用してまず独自のソフトを造る作業が必要になります
(これを
療育といいます)。
でも1度オリジナルソフトが出来てしまうとパソコンの性能自体は悪くないので、高速の処理をする事も可能だと私は思っています。
しかしオリジナルソフトを造る作業は並み大抵ではなく、もしそれが完成しても問題点は山のようにあるのが現実です。

まず「他のパソコンとの互換性を持つ事が大変」という事です。
一般的に自閉症者は、普通の人と違った感性を持っている人が多いのです。
健常者には聞こえない音が聞こえる人(聴覚過敏)、モノの見え方が普通と違って見える人(知覚の歪み)。
その他にも、モノを触った時感じ方が違う、味覚が違う。いわゆる五感が普通の人とはかなり違うようなのです。
ただし、その症状が「全て」「決まった形で」出てくるわけではなく、「何と何が」「どのように」
「どの程度(かなり重症なものから、ほとんど表面にでないものまで)」普通とちがっているかの組み合わせは
その人によって違うのです。そこで、これらの「違い」を総称して、「自閉症スペクトラム(=領域、連続体)」という
言い方をします。詳しい説明はこちらをご覧ください。

ですから独自のソフトを作成するのも、その障害の事を考慮しひとりひとりに合ったプログラムを組まなければいけません。
(このプログラムを組む為に必要なモノをIEP(個別指導計画)といいます。プログラムの骨子にあたるモノです)
高速の処理が出来なかったり、いちいち指示をしてやらないと動かなかったりもします。メンテナンスも大変です。
その上独特な感性故に、たまに暴走して独自の言語だけを使い、一般人には理解不能の行動をする事も多々あります。
(こだわり行動、奇声、自傷行為などなど)

要はとても完成度の高いプログラムが出来て、ちょっと見ただけでは普通のバソコンと変わらなくても
スペックが違うので型番も違うという事なのです。
でもこういったバソコンたちは普通のパソコンに劣っているとは一概に言えません。
何故なら普通のバソコンにはできない事が出来てしまうバソコンも存在しているからです。
例えば、普通の人がとても時間のかかるパスルなどを瞬時に解いてしまう子や
一度通った道は絶対覚えていて、道に絶対に迷わない子とか(コレはドラです。方向音痴の母は、何度も助けられました)。
それ以外にも「サヴァン症候群」と言われる特殊な才能を発揮する人たちも稀にいます。

現在私はドラには「メンテナンスが大変だけど、どうにか使えるバソコン」になってもらいたいと思っています。
でもただの普通のバソコンに近づける気は断じてありません。それは「持って生まれた性能」を否定する事になるからです。

でも一からプログラムを作らなければいけないのですから、何年というスパンの作業ではありません。
成人するまで、いやもっとかかるかもしれません。
でも少しずつ軌道修正しメンテナンスもしながら、本人と一緒に作っていきたいと思っているのです。

この文章は
Mさん、朝倉玲さん、まつこさん、こくっぱ母さん、ちびくまママさん、ケロさんたちに、一緒になって考えていただいて
どうにか出来た文章です。皆様、どうもありがとう!!