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蝉時雨

 毎年この時期になると、庭の桜の木で沢山の油蝉がいっせいに鳴き出す。この蝉時雨を聞くと、クーラーにどっぷりの生活をしていても「アー夏だなー」と、盛夏の訪れを実感する。
 30年近く前から、代々この庭で孵っている蝉なので、キジバトとともに我が家の歴史を彩っている一員だ。草花に水遣りしていると、地面にポコポコ穴が開いていたり、そこから顔を覗かせていることもある。羽化するのは早朝で、つつじやゴルフのネットはごらんのように、抜け殻だらけになる。全部が無事に羽化するわけではなく、何匹かは、何年も地中で待っていた甲斐も無く,立派な蝉の姿に変身する事もなく死んでしまう。
 無事に育ったオスは、子孫を残すべく相棒を求めて必死で鳴く。羽化してからの命は一週間くらいだ。鳥やカマキリの餌食になるのもいる。多分相棒にめぐり合えずに、ただ死んでいくほうが多いのだろう。
 何かをやり遂げて死んでいくことの難しさはどんな生き物にもあるようだ。

(写真)無事、羽化に成功!でもこの後に戦いが待っている。

Last Update : 2002/08/05 13:51 << back