神話の伝承地をたずねて(いなばの白兎、白兎神社) 2005年4月5日
 


大きな袋を肩にかけぇ〜♪ 

顔をいれるボードをみつけたら、必ず記念撮影しています。

♪大きな袋を肩にかけぇ〜、大国さまが来かかるとぉ〜、そぉ〜こにいなばの白うさぎぃ〜、かぁ〜わをはがれて赤裸ぁ〜♪

講演会や勉強会でいなばの白兎の章のところでこの歌を歌うと、必ずと言っていいほど皆さんが楽しそうに大合唱してくださいます。(~o~)

この歌は四番まであるのを皆さんはご存知ですか?

じつは三番までしか私は知らなかったのです。ところが、昨年秋の「にっぽん丸・秋の日本一周クルーズ」船内での講演で歌ったとき、「四番まであるのよ」とわざわざ全部の歌詞を書いて届けてくださったお客さまがいて、とても感激しました。

私はおばあちゃんからこの歌を教えてもらったのですが、戦前の教育を受けた方たちは学校でこの歌を習ったのだそうです。しかし四番まであったとはネ。

講演会では、気持ちよく大合唱した後、必ず晴明さんがこう言います。
「この歌を知っているのと、いないので年齢が判るんですよ! ちなみに僕は知りません(笑)」憎らしいでしょう!!!

とにかく年齢が判ってもなんでも、私はこの歌を歌うとなぜか嬉しくなって大声で歌いたくなるんですよね!
 
白兎大神(白うさぎ)を祀る白兎神社じゃ〜

歌は知らなくても、誰もが知っているという、おなじみのいなばの白兎のお話ですが、古事記のものがたりの本を書くまでは、このお話が『古事記』の中に書かれているとはぜんぜん知りませんでした。おはずかしい。(@_@)

「えっ〜??? これって古事記の話やったのぉ〜???」 という感じでした。
これを読んだ皆さんの方が「えっ〜! そんなことも知らないで… よく古事記が書けたねぇ〜!!!」 と驚かれるかも?

正直言って、私たちは、本当に古事記のことをあんまり知らずに連載の仕事を引き受けたのです。(7年前の話)でも、今になって考えてみると、何も知らない方が良かったかも? と思っています。パソコンの解説書も初心者が書いた本の方がわかりやすいと言われているのと同じ理屈ですね。ね、ねっ、そうですよね。

と、言うわけで勉強会や講演会でお話させて頂くために、まず何はさておき現地取材をして勉強しなければと、日本全国の古事記ゆかりの地を二人で一生懸命徘徊しています。どこかでみなさんに出会えるかもね。

さて、この写真はいなばの白兎に登場するうさぎさんがお祀りされている、鳥取県の白兎神社本殿です。

古事記が忘れ去られかけているので、訪れる人も無く、宮司さんも禰宜さんも居ませんでしたが、境内は白い砂の上に建っていて大変きれいに掃除されていました。

うさぎが身体を洗った池?

本殿のすぐ前の池には写真のようにうさぎが身体を洗ったとされる「御身洗池」がありました。しかしこれはあくまで観光用だとおもっています。

古事記の中では大国様はうさぎに「水門(みなと=河口)に行って身体を洗いなさい」と教えています。この近くで河口といえば、そう! 鳥取県の一級河川「千代川」です。ここが古事記でいう「水門」。

川が海と出会う非常に重要な場所、「汽水域」というところなんですね。


「汽水域」の大切さは環境問題が注目され始めてようやく再認識されていますが、古事記にはすでにこの場所「水門・みなと)が命を再生するために重要な場所だということが書かれていたのです。(詳しくは、畠山重篤著、日本(汽水)紀行)。

白兎は海水と真水が入り混じる河口で身体を洗い、そしてガマの穂黄(花粉)でくるまり、身体を治したのでした。この話は、汽水域のことや日本古来の薬草療法{和法}の知恵を伝えているということ。さすが古代人は解ってらっしゃる。



おきの島はいずこに?

ところで白兎神社の前にある海岸には、
うさぎが住んでいたとされる沖の島があります。この島からこちらに渡るためにサメをだまして並ばせたというわけですね。

島の中央には鳥居も建っていて、いかにもそれらしいのですが、これは地元伝承として伝わっているお話。

この島は沖合い100メートルほどのところにあるので、干潮時に顔を出す岩礁を渡ってうさぎ飛びをすれば、サメを並ばせなくてもこちらに渡れるのでは? と考えたりします。

「いなばの白兎」のお話の中で、うさぎが居たとされる島がもうひとつ存在します。それは、ここよりも100キロほど沖にある島根県の隠岐の島。こちらの方が説得力があるような気がしますがみなさんはどう思われますか?。

白兎海岸バス停留所

ところで、白兎神社と白兎海岸の間には、ご覧のように国道が通っています。ものすごく交通量が多いので神社から海岸、海岸から神社へと行くのにハラハラドキドキ! というか渡れません。

ワニをだましてでも向こう岸に渡りたかったウサギの気持ちがここで味わえるようにつくってあります。神話の実体験ですね。

ここは夏には海水浴客でにぎわうらしく、赤裸になった人間が転がっているのをよく目にするということです。もし今、大国様が海岸を通りがかったら、どれが本物の赤裸のうさぎか見分けがつかなくなるかもね。

後で気がついたのですが、この国道には50メートルほど先にちゃんと地下道が設置されていました。みなさん地下道、通ってね。

サメが現われた!

駅の観光案内の叔父さんに鳥取駅から白兎神社に行く方法を尋ねたのですが、電車で行くよりバスで行ったほうが時間も速いし神社のすぐ前にバスが着くので、歩く距離も短いよ、と親切に教えてくれました。

そして今日みたいに良い天気だったらサメが何匹か海岸に出没しているかも? と笑いながら話してくれたのです。

白兎海岸につくと、沖で大勢のサアーファーが楽しそうに遊んでいました。現代のサメとはサーファーだったのですね。あとで聞いたのですが、ここ白兎海岸は日本中のサーファーにとって穴場の海岸で、ときどきあのキムタク!も波乗りに来ているとのこと。

もしかして、この日、颯爽と波に乗っていたのはキムタクだったかも?

かに弁当

鳥取の観光案内所のおじさんはほんとうに親切な人でした。「いまから白兎神社にいったらちょうどお昼になるだろうが、あそこは何も店屋がないから弁当を持っていったほうがいいよ」と教えてくれました。

そこでキオスクで買ったのが写真の駅弁(特上かにめし)です。お天気が良かったので海岸で岩の上に座ってランチタイム!  いままでいろんな駅弁を食べましたが、蟹が新鮮で10本の指に入るぐらいの美味しさでした。

箱もすごくかわいらしい大国さまとうさぎの絵が描かれてます。

ちょうど正午頃に、青い空の中を飛行機がこちらにやってきたかと思うと、すぐ目の前の海上で大きく旋回して海岸沿いにある鳥取空港にすべるように吸い込まれていくのを見ることができました。そのとき一瞬ですが、その飛行機の窓から白兎がこちらに手を振っていたのを見ることができてとてもラッキーでした???(^o^)丿

さあ! みなさん一緒に歌いましょう!
1、大きなふくろを肩にかけ
 だいこくさまが来かかると
 そこにいなばのしろうさぎ
 皮をむかれて赤はだか

2・だいこくさまはあわれがり
 きれいな水に身をあらい
 がまの穂わたにくるまれば
 うさぎはもとの白うさぎ

3・だいこくさまの言うとおり
 きれいな水に身をあらい
 がまの穂わたにくるまれば
 うさぎはもとの白うさぎ
 
4・だいこくさまは誰あろう
 おおくにぬしのみこととて
 国を開きて世の人を
 助けなされた神さまよ
作詞・石原和三郎 作曲・田村虎蔵 

歌ではガマの穂わたとなっていますが、古事記原文では蒲黄(ほおう)のこと。パウダー状の蒲の花粉は止血剤・鎮痛剤などとして古代から使用されていました。


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