石上神宮・特殊神事「鎮魂祭」レポート 2007年11月22日 |
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ろうそくの明かりに先導される神官たち |
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物部氏の祖神・謎の大王「ニギハヤヒの命」 奈良県天理市布留の石上(いそのかみ)神宮では新嘗祭前夜の11月22日「鎮魂祭」という特殊神事が行われています。 物部氏の祖神・ニギハヤヒ命の御子、ウマシマジ命が十種神宝を献上し神武天皇と皇后のお命の長久を祈られたのが始まりとのことです。 新嘗祭前夜のこの日は宮中でも真夜中にご神事が行われるようですが、本来は衰えかけた太陽の御魂を振り動かして蘇生させ、復活させる冬至の儀式だったのでは? 十数年前から消された大王・ニギハヤヒ命の謎を追っていた私は、11月22日は、もしかしたらニギハヤヒ命の命日、もしくは王朝交代の象徴の日なのでは? とも思っているのですが・・・・。 |
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ご祭神は布都御魂大神(剣の神さま) もののけ姫やもののふなどの語源でもある物部氏(もののべ)の氏神が祀られている石上神宮ですが奈良時代以前、伊勢神宮が創建されるまでは「神宮」の名前は、この石上神宮だけにしか許されていませんでした。 奈良には観光客が大勢押し寄せる神社や有名な式内社などがたくさんあるのですが、なぜかこの石上神宮の神寂びた神域の魅力に惹かれて、もう四十年以上も前から通っています。 もしかしたら、私にも物部の血が流れているのかも知れません? 鎮魂祭は本来は真夜中のご神事だったようですが、今は午後五時〜七時すぎまでです。氏子、崇敬者の方々の参加はもとより、事前に申し込めば、一般の参加も許されています。 これまでは御田植神事、夏越大払、初詣など、事あるごとにお参りしてきましたが、鎮魂祭だけは時間がかなり遅くなるので参加できませんでした。 今回は車が手に入ったので、ようやく参列することができました。 ということで、少し早めに着いたのでいつもと少し違った雰囲気の夕方から夜にかけての境内を散策してみました。 黄昏時が近づき、ご神気が漂い始めた境内の暗さと、西に沈む寸前の太陽の残照で輝く銀杏の大木との明暗がくっきりして、これから始まる特殊神事「鎮魂祭」への期待が高まります。 |
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午後五時、いよいよ「鎮魂祭」の始まりです 石上神宮は石の端垣に囲まれた禁足地が聖域です。 鎮魂祭は開け放たれた国宝の拝殿で行われます。 日暮れと共に寒さが増し、受付を済ませた崇敬者の方々は厚いコートを着たまま神妙にご神事を待っています。 神社側のご配慮で参列者に配布されたホカロンがとても役立ちました。そうこうしているうちに午後五時ちょうど、払所に集まるように指示があり、全員で下に降りて、お払いを受けました。(写真上) 境内はすでに暗く、提灯の明かりに誘導されて整然と歩く神主さんたちに従ってまず、境内の中でも一段高い場所にある出雲建雄神社横の天神社・七座社の例祭に参列。ここには、天皇陛下がご神事をされる宮中の神嘉殿とまったく同じ神々・鎮魂八神と大直日神がお祭りされているとても重要な場所なのです。(トップの写真) |
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ふるべ・ゆらゆらとふるべ さて拝殿に戻っていよいよ鎮魂祭の始まりです。 祝詞奏上、宮司一拝などの一連の儀式に続いていよ、いよ鎮魂の祭具の入った箱と玉の緒と神鈴の付いた大ぶりの榊が運ばれてきました。 たぶん、あの箱の中には1700年以上も前から石上に伝わる秘宝十種の神宝 「おきつかがみ・へつかがみ・やつかのつるぎ・いくたま・たるたま・まかるがえしのたま・ちがえしのたま・へみのひれ・はちのひれ・くさぐさのもののひれ」が入っているのでしょう。 やがて御簾が開き、森宮司と介添え役の神官が静かに拝殿奥に進み御簾が下ろされ、ろうそくの明かりも消されました。 「一ニ三四五六七八九十(ひと、ふた、み、よ、いつ、むゆ、なな、や、ここの、たり、ふるべゆらゆらとふるべ)」 森宮司のゆったりした呪言とかすかな鈴の音が、闇の中から厳かに響きます。 物部氏の祖神・ニギハヤヒ命が十種神宝を授けられて天降られた時に、「痛むところがあれば「一ニ三四五六七八九十、と唱えつつ振るえば、死人も生き返るであろう」と伝授された呪言です。 真っ暗な拝殿の中でどのような鎮魂のご神事が行われているのかは参拝者にはまったくわかりません。その間、全員が頭を垂れて息をのんだように静まり返ります。寒い拝殿の中は暗闇と静寂に包まれて物音ひとつしません。 そのうち、あまりの気配に恐れたのでしょうか、参拝者が連れて来ていた幼い子どもが怯えたように小さな声で泣き始めました。魂は出たり入ったりするそうです。子どもはとても感性がするどいので、もしかしたら私たちに見えないもののけを見たのかもしれませんね。 こうして無事に鎮魂祭を終えた後、明かりが付けられ参列者全員、同じ榊で「ひ・ふ・み・よ・い・む・なな・や・こ・と」とミタマノフユを祈念して頂けました。そして雅楽、人長舞の後、参集殿に移って宮司さんを交えて崇敬者の方々と頂いた直会のお弁当が美味しかったことを最後にご報告させて頂きます。あっ、そうそう、それから、ここの社務所でも「古事記のものがたり」を領布してくださっています。みなさん石上神宮に参拝されたらぜひぜひお買い求めくださいね。 |
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