出雲にすばらしい博物館が出来ましたぁ!
 2007年7月26日
 


島根県立古代出雲歴史博物館 

2007年5月1日、「にっぽん丸日本一周クルーズ」の仕事で出雲に行ってきました。

出雲には過去にも数回、取材をかねて参拝していたのですが、伊勢に比べていまひとつ人気が盛りあがらない、というか人影がまばらで淋しい感じがいなめませんでした。

ところがこの三月、島根県が、神話や歴史に力を入れて再生を図ろうと総力をあげて島根県立古代出雲博物館を完成したこともあって、出雲に多くの人が訪れるようになっているとのことでした。

その記念すべき開館記念特別展が3月10日〜5月20日まで開かれているというので、大社に参拝してすぐに博物館を目指しました。新しい博物館の建物は出雲大社のすぐ隣り、右横に建っています。この日はゴールデンウイークの真中ということもあって大社の境内はいままでにない人出でした。

テレビで某霊能者がパワーのある神社の一つとして紹介した影響もあるのでしょうか? 若いカップルや家族づれの姿もずいぶん多く見受けられました。ようやく国つ神の地・神話と伝説の郷、出雲が開き始めたようですね。

もちろん博物館もたくさんの人が押しかけていました。敷地はとても広くて(駐車場244台大型バス15台収納可能)周囲の景観にゆったりと溶け込んでとても出雲らしいと思いました。
開館記念展神々の至宝

第一章・神宿る島。宗像大社沖の島。
海の正倉院と呼ばれる沖の島の神宝、国宝が圧巻。厳選された国宝が出展されていたのと、展示方法が洗練されていたので現地の宗像大社の宝物館で見るよりも重厚に見えて古代人の祈りの心が伝わるような気がしました。

第二章・熊野速玉大社の神像と神宝
熊野が世界遺産になった時に、大阪でも展覧されたので、ご神像とは二度目のご対面でした。これらの熊野の国宝や神像が出雲で展示されることに深い意味があるような気がします。

第三章・春日大社の舞楽
神への捧げ物として形のある神宝も古代人の心が伝わるけれど、神々によろこんでいただくための歌舞音曲もある意味での神宝といえるのではないでしょうか? 昔、春日大社の神庭で新しい神楽面を奉納するための神楽を取材した時、神楽が終わった直後にほんの少しだけ雨が降った。神意が神に届いた印だと教えられて感動しました。

第四章・祇園、八坂神社の神宝
京都の夏は祇園祭りに代表され、多くの観光客であふれ返ります。この祭りは元はといえば疫病退散のため、すさのおの命のご神霊をお祀りする儀礼なので、本来は河原町界隈で展示される山鉾見物より神社の境内に参拝するのが本筋かも?その八坂神社の神宝を見るのは初めてなので興味深いものがありました。

第五章・伊勢神宮の遷宮と神宝
伊勢の神宝が出雲で展示されるなんて! いよいよ伊勢と出雲、天つ神と国つ神の融合が始まった印のような気がします。そういえば出雲の国造は天の穂日の命の末裔なので本来は天つ神の系統のはずなのですね。

第六章・島根の神宝
出雲大社、佐太神社、日御碕神社、物部神社、須佐神社、賀茂神社、高野寺に伝わる神宝が展示されていました。古代からの出雲の複雑さをなんとなく感じます。それにくらべて常設展の荒神谷遺跡出土の大量の銅鐸、銅剣、の展示方法に圧倒されました。出雲の本当の神宝はきっといまだに、どこかに隠されて埋もれているのかも?

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博物館の中央ロビー玄関にあるうず柱

2000年、出雲大社の境内から、一本の太さが1,35mの杉の木を三本組みした直径3mもある鎌倉時代の巨大な柱が三本も発掘されて話題を集めました。柱の周りにはひとかかえもあるような大きな石がぎっしりと詰めてあったそうです。

このような掘建て柱の地下構造は史上最大で世界でも類を見ないそうです。古代人の知恵の深さと古代出雲のスケールの大きさを実証する遺物として博物館正面玄関に展示されていました。

青森県の三内丸山遺跡の巨大柱もそうですが、現代の重機を駆使しても建築不可能な壮大な高さの神殿「上古代は十六丈(48m)と伝わる」を古代人はどのようにして建築したのでしょう?

この他にも出雲風土記の世界、出雲大社と神々の国のまつり、青銅器と金色の太刀、神話回廊、神話シアターなどのコーナーがあります。

また綜合展示室ではたたら場の再現や石見銀山も展示されています。館内にはボランティアの解説員さんが常駐されていてお願いすれば親切に説明をしてくれます。島根の方々の神話への意気込みを感じられるすばらしい歴史博物館でした。、時間が足りなかったので、また近いうちに再訪したいと思っています。

カフェ 阿礼

博物館の目を見張るようなすばらしい展示品の数々にに圧倒された方はぜひ、館内の隅のカフェ、阿礼で一休みしてください。

そして一階のミュージアムショップ一畑へ! 私たちの本「古事記のものがたり」も書籍コーナーで販売してくださっています。出雲の地でようやく古事記のものがたりを広めていただけることになり、ほんとうにうれしいかぎりです。


出雲そばなら「荒木屋」さんが一押し!

大阪に帰る前に出雲の友人で隠岐の島在住のSさんおすすめの出雲そばを食べに行きました。ここのお蕎麦は数ある出雲そば屋さんの中でもピカ一だそうです。この日もお店の前で行列が出来ていましたよ。

そうそう、今回のにっぽん丸クルーズのメインショウのゲストは今をときめく「千の風になって」の秋川雅史さんでした。生の歌声で千の風になってを聞けるなんて思ってもいなかったので、感動しました。秋川さんはとても気さくな方で私たちのマネージャー、H氏のプロデュースということもあり、船内で一緒にお茶を飲んで気軽に仲間内としての話が出来て彼の大ファンになりましたぁー。





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