室町時代の街並みが残る「寺内町」大阪府富田林駅前
 


中世のニュータウン・じないまち 
近つ飛鳥(大阪府南河内郡)に引っ越して、まもなく丸二年目になりました。
ようやくこの辺りの地理にも慣れて最近では隣町の千早赤阪村、太子町、富田林、河内長野などにも足をのばして、うろうろする余裕もできました。

そこで今回は、富田林市の寺内町のご紹介をさせていただきます。

「富田林」と聞いて誰もが知っていることと言えば、一時間に約12万発も打ち上げられる世界一規模の「PL大花火大会(八月1日)」や、清原・桑田などの出身校として高校野球でおなじみのPL学園ではないでしょうか?。

しかしもうひとつ、富田林には隠れスポットがあるのですよ。
近鉄富田林駅のすぐ近くに「寺内町・じないまち」という室町時代からの町割が残る町並みが保存されているのです。

この町は戦国時代に、一向宗の信徒たちが寺を中心にして集まり、石川沿いの河岸段丘の荒地を整備して新しく作ったニュータウンだということです。夜盗や辻斬りなどの横行する世相を反映し、町の周囲には高い土塁や竹林で防御し、入り口には朝晩開閉する木戸もあって、高い自治機能を持った町だったとのことです。

いまでも約180棟ほどが江戸、明治、大正、昭和の建築物で、一歩足を踏み入れると町屋のオンパレードと言った景観に圧倒されることでしょう。町の通りは見通しを悪くするため、まっすぐ通さず半間ずらした「あてまげ」という工夫がされています
。(写真右上)
国の重要文化財「旧杉山家住宅」

中世に宗教都市として発展した寺内町ですが、江戸時代になると河内木綿の生産が盛んとなり、木綿問屋、酒屋、油屋などの大商家が軒を並べる商業都市に変遷しました。

中でも杉山家は寺内町創世記からの旧家で、代々造り酒屋を営み、南河内酒造業の肝煎り役(きもいりやくを務めていたとのことです。杉山家は今は富田林市教育委員会文化財課が所持保存し、一般に開放されているので入館料400円で見学することができます。問い合わせ(0721−25−1000)

重厚な構えの玄関を入るとまず目に付くのが写真の黒漆喰の大きな「かまど」です。私はこんなおおきなかまどを見たことがなかったので、びっくり! いったい何人の食事をこのかまどで作っていたのでしょうね。

かまどの神様の貫禄十分ですね。昔は敷地はもっともっと広かったそうですが・・・時代と共に衰退し、今は往時の半分以下となっているそうです。

杉山家の梁

杉山家からは明治の終わりに、与謝野晶子らと活躍した明星派の歌人「石上露子」本名(杉山タカ)が出ています。

蔵の中には彼女ゆかりの遺品が展示されていますので、和歌や短歌に興味のある方には必見かも?

ところで、「黒漆喰のかまど」の大きさにも驚かされましたが、この梁の大きさにもびっくりです。年輪を数えたらどのくらいの年代か判るそうなので、誰か一度チャレンジして教えてくださいね。

 
勝間家茶室からの眺望は最高

さて、このように中世の町並みを色濃く残す富田林の寺内町ですが、ほとんどの家は今も子孫の方々が住居として生活されています。

一般に開放されて中を拝見できるのは杉山家ともう一軒、この勝間家(拝観料200円)だけなのです。杉山家は市が管理しているのですが、この勝間家は寺内町の有志の方々のボランティアによって支えられています。

杉山家は豪商ですが、勝間家は民家(隠居家)として建てられたとのことで、当時のミシンやたんすなどもそのまま残っていて、こじんまりして人の気配と共になにか懐かしさのただよう雰囲気です。

民家と言ってもそこは河内の商家の方々の住む家なので、広い庭や茶室もある立派な住居です。(ボランティアの方が温かいお茶を接待してくださって、寺内町のお話を聞かせてくださいました)

このような地道な取り組みは約30年前からはじまっていたそうですが、特に2007年からは雛祭りのイベントがスタートし、二年目の今年は多くの観光客で賑わったそうです。寺内町はいま、行政の支援を受けて、ボランティアの人々が集まり、瓦屋根としっくいの白壁、腰板の町並みの保存が着々と進んできています。写真トップは観光客のために新しく建設された「じないまち交流館」です。

実は、今なにかと新聞を賑わしている新しい大阪府のタレント知事の某氏が、この寺内町をとても気に入られて「ここは飛騨高山を越えるだけの可能性のある街だ!」と絶賛されたそうです。杉山家ももちろんですが、この勝間家の茶室にも来られてこの高台からの金剛山〜葛城山の眺めを楽しまれたそうです。

新知事さんは赤字の府立体育館や博物館など予算削減のために廃止案をつぎつぎと打ち出しています。その反面、大阪を活性化するために全国から観光客の呼び込める町にしようと、街角全体をギャラリーに見立てて散策する「石畳と淡い街頭」のある街並として富田林の寺内町を有力候補にあげたそうです。

いままで、隣町の人にさえ余り知られていなかった富田林の寺内町ですが、もしかしたらタレント知事さんによって全国ネットになった宮崎県のように・・・富田林・寺内町も一躍バージョンアップするかも?????

とは思っているのですが・・・・・はてさてどうなることでしょうね。いずれは訪れる人を楽しませてくれる素敵なギャラりーや飲食店も誘致されることでしょうが、ともかくみなさん、まだ寺内町が閑散としている間に一度、ゆっくり町屋散策しに来られませんか?近鉄河内長野線・富田林駅のすぐ目の前にあるのです!

   
大阪の新しい知事は、就任以来、若さを武器にとても精力的にがんばってくださっているようです。はじめは少し引き気味に見ていた市民たちも、だんだん橋下知事の行動力を評価し始めました。私も最初は過去の大阪のタレント知事の前例もあったので、かなり冷ややかに見ていたのですが・・・

つい最近、赤字問題で大阪市のお荷物と化したWTCタワーを府庁舎にしたいという発言を新聞で読んで、大賛成(^o^)丿してしまいました。実は私は、10年ほど前にWTCで1000人で河内音頭を踊るイベントをしたり、一階の大空間で百合祭りのご神事?・イベントをしたりしたことがあります。その他にもWTCに関してはいろいろな思い出と思い込みがある場所なのです。

なにより、最上階の展望台から見る大阪湾・浪速の海と淡路島、明石大橋を望むパノラマの景観はものすごくすばらしいのです。

ある人はこの風景こそが天の浮橋に立って国産みをしたいざなぎ・いざなみさまの視点・古事記の景色そのもだと言う人もいます。

そして万一、関西州が実現したらWTCはその中心として海外からの人々を迎え入れるにふさわしい建物だと思いませんか? 

でも現実は総工費1190億もかかったビルを知事は100億前後で買収したい意向だと新聞に書いてありましたので、はてさてどうなることでしょうね。

写真は8月24日(日)富田林の寺内町の灯篭まつりに訪れて知事の夢である「関西州」と灯篭に書き入れた橋下知事です。その心意気が表われているようですね。

偶然、私もその日に寺内町のお祭りに行っていたので、思わず傍に駆け寄って握手を求め「WTCをゲット! してください!!!」と大声でお伝えしたら。とても嬉しそうな笑顔で「応援してください!!!!!」と大きな返事が返ってきました。一度に橋下知事ファンになってしまった瞬間です。

寺内町を二度も訪れてくださって、どうやら世界に寺内町を発信したい、という大阪ミュージアム構想に知事は本気で取り組んでくださるようですね。今後の展開が楽しみ楽しみ(^o^)丿


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