伊太祈曾・いたきそ神社2008年4月6日
 


満開の桜の下での木祭り 
JR和歌山駅→わかやま電鉄貴志川線、伊太祈曽駅下車。
紀の国・和歌山は、文字通り木に恵まれた「木の国」です。
この木の国の祖神(木の神様)をお祀りしている神社が伊太祁曽神社なのです。
いたきそ神社では毎年四月の第一日曜日に(木に感謝するお祭り・木祭り)が開催されています。

いたきそ神社には、「古事記のものがたり」の本が世に出るまでにとても不思議なご神縁を頂いて以来、陰になり日向になりお世話になっています。
詳しくはHPトップに連載している「自分の本は自分で売ります」を読んでくださいね。最初にお目に掛かった前宮司さまはご高齢のために隠居され、今は伊勢神宮会館の館長をされていた息子さん、奥重視宮司さまが後を継がれて、ご家族で神社を守っておられます。

今回はこのいたきそ神社の木祭り(平成20年)のご紹介をさせていただきましょう。

 

今年は木祭りの日と桜の満開日がぴったりはまって、境内は大変な賑わいとなりました。木の神さまもとても喜んでおられたようで、宮司様の祝詞奏上の時に風に吹かれた花びらがまるで紙ふぶきでも撒いたように本殿前に舞い上がりました。

余りのタイミングの良さに思わず参拝者一同から感嘆の声があがったほどです。
ご神事の後は恒例の記念植樹。木の苗が大きく育ちますようにと、全員で見守ります!。

ところで、この植樹「木の苗を植える」という文化は日本独特のものだそうですよ。西洋では産業革命をきっかけにして多くの山が禿山に変わったそうです。
石炭などの燃料を燃やすためには大量の木が必要となります。そのために森林は伐採され、その後は放置されたままだったと、C・W・ニコルさんが話していました。

現代の中国でも日本などへの輸出用にどんどん木を切って乱開発が進み、跡地に植林をしないので砂漠化が進み、問題になっているようですね。
日本書紀にはすさのお尊のお子さんたちの三人の神様(いたけるの命・おおやつひめの命・つまつひめの命)が日本中に木の種を撒いて歩かれたというお話が載っています。

この三人の神様が、いたきそ神社のご祭神なのです。
昔から日本では、このように木を大切に育てていたのです。きこりさんたちは、100年後200年後の子孫のために深い山の奥の奥まで分け入って木の手入れをしていたのです。

山に入ったり、木を切るときなど山の神、木の神さまに挨拶してから仕事を始めたそうですね。
古事記にも大国さまが八十人の兄たちからしつこく命を付けねらわれた時に木の神・おおや彦が大きな洞のある木を潜り抜けさせてすさのおの命の住む根の国に逃がしてくれたというお話が描かれています。
木の神様はまさに福の神・大国様の命の恩人なのですよね。

  
境内では植木市や名産の朝掘りたけのこ、イチゴなどのお店が並んでいます。

改装された新しい社務所の二階から恒例の餅撒きが行われました。

今年は晴明さんが、サン・グリーン出版を代表して餅を撒きました!。

「こっちに投げてぇ〜〜!」と大声を張り上げてお餅を拾う大勢の人々にもみくちゃにされながら私も一生懸命拾いました(^o^)丿

拝殿の中には古事記に書かれている「大きな穴の開いた木」が置かれています。思えば9年前・平成11年(1999)6月15日、偶然、この木の洞をくぐってから不思議なことがどんどん起こり始めたのです。

そしてもうすぐ第11刷り目を増版することになりました。
正直言って私たちの本がこんなに版を重ねるとは夢にも思っていませんでした。
それもこれもすべて、ここのいたきそ神社のおおやびこの神様のお導きがスタートです。
みなさんもぜひ一度、いたきそ神社にお参りしてこの木の洞をくぐってみてくださいね。なにか奇跡が起こるかも?

チェーンソー・カービング

午後からは、世界最速の彫刻芸術家・城所(きどころ)ケイジさんのチェーンソーカービングの実演です。

大きな木を切り倒す時の道具、チェーンソーで瞬く間に見事な彫刻が彫り上がります。

龍神村の城所さんは、四年前の木祭りの日から、毎年、来年の干支を彫って木の神さまへ奉納しています。戌(犬)亥(猪)子(鼠)に続いて今年は丑(牛)の登場です。

危険を避けるためにネットの中での実演ですが、轟音と共に木屑が飛び散り、ものすごい迫力です。

今年は樹齢98年という大きな杉の木が選ばれ、約一時間で見る見る牛の顔が彫り上がりました。大小合わせて6〜7本のチェーンソーを駆使して写真のような見事な牛が完成です。

正直言ってこのようなアートがあるということ知りませんでしたが、チェーンソーアートは世界中に愛好者があり、世界各地で大会が開かれているとのことですよ。
ちなみに城所さんは2005年2006年と世界大会でチャンピオンの座を獲得された第一人者なのです。

彼の名前が「きどころ」さんというのも不思議なことですが、まさにその技は神業とでもいうのでしょうか、なんでも木の中から彫ってほしいものたち、龍や動物の声が聞こえるらしいです。

この日も無心で彫り進むうちに、なんと牛の左目のところに黒い節が出てきてまるで墨で黒く書いたようにくっきりと目が入ったのです!

これには観客もびっくり。境内には過去に奉納された干支の四体の動物の他にも、大作の大きな龍神様が祀られています。この龍も時々水をほしがるとのことですから、きっと命が宿っているのでしょうね。
 

 
早春の桃源郷と紀ノ川

さて、快晴のお天気に恵まれた木祭りの帰路。桃の産地かつらぎ市の荒川辺りは一面の桃畑が延々と続き、まるで空気まで濃いピンク色に染まったような錯覚に襲われました。

いたきそ神社で満開の桜を堪能し、今度は、まるで桃源郷に迷い込んだような景色の中をのんびりドライブ〜〜〜〜。
余りののどけさに道の駅万葉の里で車を止めて紀ノ川の水辺に降りてみました。

川辺では、水平に石を投げて何回水面をジャンプできるかを競って夢中になっている親子のほほえましい姿がありました。
私たちはといえば、相変わらず珍しい石集め! 這い回るようにして地面に顔をつけてきれいな石を探していると時間の経つのも忘れてしまいます。

ふと水面近くで向こう岸を眺めると芽吹きだした木々の初々しい姿が!

コンクリートで固められてしまった都会の川を見慣れてしまって、すっかり忘れていた風景が目の前にゆったりと広がります。余りの、のどけさにうっとりしながら、小石の目線でカメラのシャッターを押してみました。川のせせらぎの音が聞こえるといいのですが?


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