かやぶきの里・美山町北山
 


美しい日本の原風景・美山町 

平成20年7月21日、京都府神社庁丹波五支部の総会で、神職の方々に「古事記のものがたり」の講演をさせて頂きました。

普段は聴衆の中に一人でも神主さんが居られると緊張するのですが、この日はなんと全員が神職さん! 

猛暑だというのに、冷や汗ものの講演会となりました。それでも神社界と縁もゆかりも無い、素人の私たちが一生懸命古事記を伝えようとしている姿を見てみなさんとても喜んで励ましてくださって、本当に楽しい集まりとなりました。

会場の「美山町自然文化村」周辺は万葉集にも歌われている由良川の源流域です。

ちょうど鮎の解禁の時期だったので直会会場の料理旅館(沈川楼)では絶品の鮎尽くし会席と美味しいお酒を頂きました。

かやぶきの里

講演会場の河鹿荘に行く手前に、あの有名なかやぶきの里(京都・美山町)がありました。
のどかな山里に茅葺き屋根が整然と並ぶ風景。車をとめしばし呆然!

これまでテレビや雑誌のグラビアでは何度も目にした光景ですが、実際にこの地に立って目の前に広がる美山町の田園風景を目前にして、余りの美しさに絶句! 特に、晴明さんの家(丹波篠山)は小学校高学年まで藁葺きだったそうなので、とても懐かしそうにしばらく見とれていました
 
北山地区は、緩やかな谷間の階段状の傾斜地区に一かたまりになって集落が密集しています。由良川(美山川)の大きなカーブに沿って国道が走っているので、どこからでも一望できます。

平成五年に重要伝統的建造物保存地区に指定されてからは保存会もできて村人が出資して景観を一望できる国道沿いに観光客向けの「お食事処きたむら」や物産店、大型駐車場などが整備され、ここを訪れる人々にくつろぎの場を提供してくれています。

この駐車場に車を止めて村の中を徒歩で散策してきました。

北山の集落では現在50戸の内、約32棟がかやぶき民家だということです。そのうちの数件は民族資料館やかやぶき交流館、藍美術館として家の中を見学できるのですが、あいにくこの日は海の日(祭日)の翌日の為、休館でした。

でも村の中はゆったりとした時間が流れていて、なつかしい木製の電柱と裸電球、お地蔵様、真ん丸のポスト、など、どの景色を切り取ってみてもまるで昭和初期にタイムスリップしたような錯覚に陥りました。


知井八幡宮神社

北山のかやぶきの里の少し外れ、小高い丘の上に地区の総社、知井八幡宮が鎮座しています。

ここの神社の宮司様も講演会に来てくださっていました。なんでもこのお社の本殿の彫刻は丹波地方の寺社建築の代表的なもので、特に本殿四隅に彫られた獏(バク)がご自慢とのことでした。

集落の一番高い所にあるお寺、普明寺とともに神佛に守られてつつましく暮らしてきた山里の人々の生活の根幹が垣間見えた気がしました。

 
ただいま修復中

さて、このようなかやぶき屋根は植物の萱が無ければ成り立ちません。

一時は瓦屋根の隆盛と共に後継者が絶えてしまいそうなかやぶき職人でしたが、観光地として日本中から注目され始めたこともあって、この村から就業を積んだ若い棟梁が誕生。

由良川の対岸に広いかや場が確保され、美山を中心に全国的に活躍しているそうです。

この日も36度を越す炎天下の中、写真のように木の足場を組んでの萱屋根のふきかえ工事が進められていました。かやぶきにとって最大の敵は火。工事現場には「くわえたばこ、たばこのポイ捨て」を厳重に禁止する立て看板が目を引きました。

学校のプールは川の中

美山町から少し上流の川沿いにある「美山町自然文化村」で、なつかしい光景を発見!

なんとこの地域では川にロープを張って小学校の水泳の授業がされているようです。日本の川がまだ美しかった戦前には日本中でこのような光景が見られたことでしょうね。由良川の上流のこの辺りでは、天然の鮎がたくさん獲れるので、子どもも鮎も安心して泳げるほど水がきれいで汚れていないという証拠ですね。

残念ながらこの日はすでに授業を終え夏休みに入っていたので子ども達の姿は見れませんでした。でも、晴明さんは故郷の篠山川で泳いだ記憶が鮮明に蘇えってきたようで、靴を脱いで川の中にジャブジャブ入って子どものようにはしゃいでいました。

私も岡山の田舎の(和気)川で砂の上に張り付いている小魚(ゴリ)を、タオルを広げて友達と一緒になって夢中で追い回したことを思い出しました。

かやぶき民家の集落といい、川のプールといい、まだまだ日本にはこんな場所が残っていたなんて感激ですね。(^o^)丿


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