当麻寺の中将姫をイメージした新キャラクター
 


あの、せんと君にラブレターを出した女の子 
なにかと暗い話題の多い中で、人々を癒し和ませてくれているのが、地域活性化のために制作された彦根のひこにゃんを代表とする「ゆるキャラ」たちですね。

その中でも気持ち悪いとか、かわいくない! とか・・・何かと物議をかもして一躍全国区になったイメージキャラクターが平城遷都1300年祭(2010年)のために公募された「せんと君」です。

小さなお坊さんの頭に鹿の角を生やした、かなり変てこな? キャラクターなのですが、地元では評判がイマイチの「せんと君」にラブレターを出したちょっと悪趣味? な、キャラクターが写真のかわいい女の子です。

奈良県葛城市の地域活性化のためにデビューした新しいゆるキャラなのですが、名前を公募中のため、目下、名無しのゴン子ちゃんです。イメージとしては葛城市にある当麻寺の伝説のお姫様「中将姫」をイメージしたそうですが、服装が中将姫の時代(奈良時代)と異なっているので、中将姫にあこがれる女の子という方が無難かも? 

当麻寺はわたし達の住む近つ飛鳥から竹之内街道を越えてすぐです。それにしても・・・あのせんと君にラブレターを出すとは!!! ということで、今回はこの当麻寺をレポートすることにしました。

当麻寺には小学校時代の遠足を皮切りに、これまで何度も足を運んだことがあります。
ここは、いつ行っても閑散として何か寂しいお寺という印象が強い場所でした。

当時の都・平城京から見て西の端、西方浄土とされた二上山の麓にひっそりとたたずみ、観光客から見放されたお寺、というのが正直な感想でした。

いつもはローカルな近鉄線にのって二上山を越えて駅からのんびりと徒歩で当麻の里に行っていました。今回は車なので日本最古の国道、竹之内街道を越えればすぐ奈良。おかげで家から30分もかからずに東大門の前の駐車場に到着することができました!当麻寺は我が家からこんなに近かったのですね。

この日はゴールデンウイーク前の平日で、ちょうど牡丹の花の真っ盛りでした。花のおかげもあったのでしょうか? 今までの暗く寂しいイメージがすっかり消え去りました。以前、同じように有名な奈良の長谷寺の牡丹見物に行ってものすごい人ごみにうんざりして帰ったことを思えば、当麻寺はゆっくりと牡丹見物ができる穴場スポットと言えますよ。


当麻寺の牡丹園を見学するには境内にある四箇所(中の坊・護念院・西南院・奥の院)にそれぞれ300円〜500円の拝観料を払わなくてはなりません。

あとで判ったことですが。当麻寺は聖徳太子の弟の麻呂子親王が南河内太子町(磯長谷)にあったお寺を奈良側に移して創建されたとされています。
豪族の当麻氏の氏寺として栄えましたが、タイマノケハヤがノミノスクネに相撲で負けて(殺されて)領地を没収されて以来、衰退し、平安時代には真言宗、中世に浄土宗(法然上人)の寺も共存してひっそりと命をつないできたようです。
そのため、境内の寺院は独立採算制? となっているそうですよ。
いつの時代も経済の基盤を支えていくのは大変なようですね。

とにかく、せっかく牡丹のシーズンに来たのだし、お天気も良いので、全部のお庭を拝見しよう! ということに。
まず、一番奥の「奥の院」から拝観することにしました。

ところが、あまり、大きな期待をしないで入ったのが良かったようで、奥の院のお庭はとても広くて背後に二上山を控えてたくさんの石組みが配置され、その一番奥に阿弥陀如来が置かれて極楽池にお姿が映る浄土庭園となっていました。

私は学生時代、天王寺駅の近くの美術館の裏にある慶沢園(元、住友家の庭)が大好きで何か考え事があると、ふらりと独りで行っていたのですが、この奥の院の池と庭を見たとき、その思い出がありありと浮かんできました。本堂には法然上人の像もあり、書院でお抹茶も頂けるようです。この日は牡丹がメインなので近いうちにまた訪れて方丈でゆっくりお茶を呼ばれたいものです。

お寺に塔は付き物ですが、平重衝の南都焼き討ち(中世)の難を逃れて二つの三重塔(東塔天平時代・西塔平安時代)が創建当時のまま現存するのは当麻寺だけだそうですよ。

東大門を入ってすぐのところにある梵鐘も白鳳時代(日本最古)とのことです。それもこれも、当時の都、藤原京や平城京から遠く離れて夕日の沈む西方浄土、二上山の麓という立地条件が幸いしたのかもしれませんね。

お天気に恵まれて、境内には色とりどりの牡丹が咲き乱れていました。真っ白の大輪、薄いピンク色、色鮮やかな黄色、余りにたくさんなので、本物の牡丹色というのはどの色なのか質問したら、「少し、赤紫がかった深みのある色」ということで、写真の牡丹を教えていただきました。

やまぶき色、薄くれない色、もえぎ色、さくら色、すみれ色、うぐいす色、などなど・・・日本の色の多様さと、その一つ一つに付けられた名前の優しさは世界一かも? 牡丹の花びらは薄くて大きいので一株ごとに和紙の傘がさしかけてあるのが風情がありますね。


ところで、トップの写真の女の子が同じ奈良県のマスコットキャラ「せんと君」に出したラブレターですが「5月14日に当麻寺の練供養式で私とデートしてください」という内容だそうです。時間は午後三時に本堂前らしいので、ゆるキャラファンには必見かも? 私たちも行ってみようかな?

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