河内音頭
  
ひょんなことから(話せば長くなるのでその間の事情は省略)大都市(大阪市内)の巨大空間の中で河内音頭を踊る場をつくるというイベントを仲間と一緒にボランティアでやってきた。最初は踊り子さんも1000人規模だったが今年の夏は一万人に膨れ上がり、目覚ましテレビの特別企画として全国放映もされたのだ!

そのボンダンス推進市民会議の代表が元天王寺高校の教諭で音頭研究家の村井市郎先生。河内音頭は大阪の代表的な庶民芸能なのに、なぜか大阪市のお役人さんたちの評価が低い。だから、いままで四年間ほどボランティアでイベントをしてきたけれど、行政の対応は冷たく「あれは河内地方の盆踊りでしょ、大阪市内でやりたいのならどうぞご勝手に!」みたいな感じでほとんど無視されてきた。

ところが、ところがである。9月28日WTO(世界観光機関)の総会が大阪で開かれ世界120ヶ国から1500人の観光大臣たちが参加して大阪の国際会議場で総会を開くその歓迎イベントで「河内音頭を披露してください」という申し出が大阪府の観光課からあり、おまけに皇太子殿下が河内音頭を見てくださることになった。

これで、村井先生の長年の苦労が実ったというか、こつこつ自転車で府下一円を走り回って音頭の研究をされてきた先生を神さんは見放さなかったというか、つまり河内音頭が大阪の庶民芸能としてやっと行政に評価されたということなのだ!

写真はテロの直後でもあり、警戒網の中、河内音頭をご覧になる皇太子様。(とにかくすごい警官の数と厳重な警備で身分証がなければトイレにも控え室にも行けなかった)皇太子さまのすぐ横で河内音頭のご説明をしている村井先生。

太田大阪府知事と扇千景、国土交通大臣の顔もみえる。私は目と鼻の先の位置で「ほんまもん」の皇太子さんのオーラを受けて(めちゃ、めちゃ澄み切っていて邪悪なものが一切感じられないほど透明だった!)に圧倒されそうだった。死んだおばあちゃんとおじいちゃんが、知ったらどんなに腰を抜かして喜ぶことだろう。

河内音頭のイベントのお手伝いをしていてほんまもんの皇太子さんに会えるとおもえへんかった。村井先生ありがとう。
 
皇太子殿下に「河内音頭と踊り」ついてご説明した原稿

只今ご覧いただいておりますのは、
大阪の庶民芸能であります「河内音頭」とその踊りでござます。

河内音頭は普通の民謡とはチョッと異なりまして、本来、物語を節に乗せて聞かせるという「唄いもの」であり、「語りもの」でもある音曲でございます。いわば「民謡と浪曲との中間芸能」といったところでございます。

従いまして、河内音頭の歌詞というのも決まっているわけではございませんし、また、節の方も途中で聞き手に飽きられないように各番各節それぞれどこか異なった節付けで唄われます。

ハッキリ決まっていますのは、基本的なリズムがスイング調でありますことと、節の切れ目などに、踊り子または囃し手によって掛けられる「囃し」だけでございます。

その上更に、音頭の中へ河内音頭以外の音曲、たとえば江州音頭の節をチョッと使ったり、歌謡曲などを挿入することもいたしますし、全く節のつかないセリフが入れられることもございます。

マア変幻自在「何でもあり」のホントに自由な音曲と申せましょう。その面白さ楽しさの故に、河内音頭による盆踊りが年々盛んになりまして、大阪府はもちろん、近畿各地やその他にも広まっております。

踊りの方は基本的には二種類ございまして、時計とは反対方向に回りながら、手の振りに重点をおく「手踊り」と申しますのと、時計方向に回りながら、足のステップに重点を置く「豆かち」と申すものでございます。ただこの頃は、踊りファンのグループがいろいろ新しい振りを創作したりして、踊り場に持ち込みまして、踊りの方も「何でもあり」の情況でございます。

以上を三分間でご説明し。殿下からは「踊りのグループはたくさんあるのですか?」など二・三のご質問があり、五分間ほどご高覧頂きました。

平成13年9月28日、WTOサミット歓迎イベントにて。
   

もどる