平成12年5月 選句結果

得点 雑詠 作者 戴いた人

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笹鳴きや背戸の雨戸の重きこと

嫁ぐ荷の中で向き合う夫婦雛

舌あらい新茶のできをためし呑む

瓜苗を手にしたままの立ち話

手のひらは淋しき坩堝水芭蕉

春の月何故か身近にある今宵

よちよちの孫の頭に散る桜

遠蛙スポーツのあとの睡魔きて

麦藁帽鍬掴む手に黒き土

五稜郭今に残りて春愁ふ

亡き友に樂の音届く月朧

人波に追われ安堵の春炬燵

城跡にさくらのひと日もらいけり

静歩

福助

静歩

和吉

湖底

洋司

和吉

あけみ

和翁

あきこ

あけみ

洋司

あきこ

あけみ

檸檬

和吉

あきこ

あきこ

ちあき

静歩

和泉

檸檬

ちあき

洋司

静歩

湖底

和翁

和吉

湖底

和翁

あけみ

和泉

洋司


得点 兼題 「春愁」 作者 戴いた人

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春愁やここ入間野は高曇り

春愁やジャスミンの花遠ざけり

春愁や鳥語飛び交う古戦場

ワープロの指止まりふと春愁い

春愁を抱きて開くゼラニューム

覚めてなを去りし夢追ふ春悲し

探水の美人画ひとり春愁ふ

静歩

檸檬

洋司

和泉

湖底

和翁

あきこ

和吉

ちあき

檸檬

洋司

あきこ

あけみ

静歩

和翁

和泉

湖底

私の選んだ一句
嫁ぐ荷の中で向き合う夫婦雛 福助 お雛様を買った初節句から20年余りその娘も嫁いで行く。支度にあわただしい日々の中の緊張感と言うにいわれぬ淋しさが伝わってくる。お父親の句でしょうか?(檸檬)

ご息女さんが嫁ぎ行く荷物がひとつ、ひとつ積みこまれるのが、嬉しくもあり又、一物の寂しさの中夫婦雛の様に幾久しく幸せを祈って居られるのが良く伝わってきます。(和吉)
春愁や鳥語飛び交う古戦場 洋司 鳥語とは、鳥の鳴き声,そして聞き分けることが出来ないから異国語との説があるらしいが、後者と取りたい。 幾星霜の後、兵どもの夢の後の古戦場に豪華絢爛と咲くさくらは国境を越えて,異邦人達の目をも楽しませている。鳥語飛び交うは何故か異国人としたかった。(湖底)
春愁やジャスミンの花遠ざけり 檸檬 ジャスミンの香りさえ、、強烈過ぎて,今は、、ちょっとの気分ですよね。(ちあき)
瓜苗を手にしたままの立ち話 和吉 瓜苗を手にしたままの立ち話畑の話でもしているのでしょうか、仕事をしながらの一コマを上手にとらえたと思いました。作物の成長する良い季節の到来です。(あきこ)
覚めてなを去りし夢追ふ春悲し 和翁 恋を詠んだ句と私には映りました。あの人は去ってもう、恋は終わったというのに、まだ、私は夢を追いつづけている。(あけみ)
よちよちの孫の頭に散る桜 和吉 孫という演歌がはやっていますが、一家で孫を中心に花見に出かけた時の歌と思われます、微笑ましい素直な句と思います。(静歩)
ワープロの指止まりふと春愁い 和泉 着想を由として戴きました。長時間机に座って没頭していると、ふと自分の現在を確認したくなる瞬間が私にもあります。ただ、逆の詠み方として「春愁やワープロの指速めたり」などとすれば、春愁を振り切って事に没頭る態が描けて物語が広がる様に思いました。(洋司)