平成12年6月 選句結果

得点 雑詠 作者 戴いた人

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梅雨入りと聞いてことさら奥を掃く

麦の秋今日を限りの定期券

万緑の真ん中を行く乳母車

空映す水面ゆりかご未草

朝ぼらけ青田に白き鳥立てり

掌に銀の砂州あり桜桃忌

紫陽花のかすかに揺れて雨匂う

あじさいや変わらぬ妻と共に老い

大手術成功の報若葉風

禅寺のローソク揺れる五月闇

山門を入り庫裡までの春嵐

吹き荒れていろどりもなし若葉散る

音たてて窓開け放し青梅洗う

葉桜に少し間のある音楽会

田に浮かぶ雲ちょっとどけ苗植うる

オフ会の写真談義や作り滝

滝壷やどうどと魔界へおつるなり

剃り残るひげの長さよ田植え終ゆ

病見舞い行けずもどかし薄暑かな

新緑のみどりに溶けて深呼吸

雨乞いて腹風船の青蛙

檸檬

洋城

みずき

あきこ

和翁

湖底

あんな

静歩

洋司

和吉

洋城

檸檬

あんな

みずき

暖流

静歩

湖底

244

洋司

あきこ

和吉

みずき

あきこ

檸檬

ふきこ

すずらん

あきこ

すずらん

暖流

和吉

檸檬

湖底

洋城

ふきこ

洋城

ちあき

洋司

244

あんな

静歩

新米

和翁

新米

和吉

暖流

湖底

ちあき

みずき

和翁

静歩

244

あんな

和泉

和泉

洋司

得点 兼題 「新茶」 作者 戴いた人

4

3

3

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1

1

1

1

妻という素顔にもどり新茶汲む

一病も息災となり新茶飲む

宇治川の甘き水汲み新茶待つ

師の煎れる新茶に正座の背を正す

湯温度で知らぬ味知る新茶かな

親はさき子は今を見て新茶飲む

彗星の蒼かりしかな新茶のむ

今日一日妻なき家の新茶かな

語らずも夫の手の止む新茶かな

あきこ

和翁

新米

洋司

ふきこ

檸檬

湖底

洋城

あんな

ふきこ

すずらん

みずき

檸檬

新米

あきこ

あんな

暖流

ちあき

和吉

244

静歩

湖底

和翁

洋司

和泉

洋城
私の選んだ一句
梅雨入りと聞いてことさら奥を掃く 檸檬 家事に携わる女心を微妙に言い表した面白い句と思いますが表現がごろついているので「梅雨の入り構えて奥を掃きにけり」ではいかがでしょうか。 とても新鮮な句材でいいところに目を付けられていると思いました。(みずき)

梅雨にはいると湿りがちになるので押入などの奥まで清潔にしておく、梅雨に入る主婦の心構えか。(244)
麦の秋今日を限りの定期券 洋城 夏の季語を選ぶときに麦が熟するという麦の秋を使ったことがそのあとの今日を限りの定期券に効いていると思います。(あきこ)

長年の勤めも、今日を限りと言う、人生にとって尊き喜びではあるが、ふと定期券を見ると一物の寂しさもあり、折しも麦の色好きし時期、この季節は生涯忘れ得ぬ事でしょう。感動致しました。(和吉)

麦の秋という言葉にある「季節の変わり目」と、定期券が終わる「状況の変わり目」との協調が新鮮です。 また句に意図のはっきりした明快さと力強さを感じました。(洋司)
音たてて窓開け放し青梅洗う あんな ガラガラと戸を開ける音が聞こえてきそうです。窓開け放す季節になったなと思う時いつも青梅が出て来て、梅ジユースを作るので青梅の季節は、忙しくしています。季節にぴったりの句だと思いました。(ふきこ)
禅寺のローソク揺れる五月闇 和吉 五月闇のお寺のいつにも増して薄暗い御堂、ロ−ソクの炎が意味深げに揺れる。 闇とひかりの対比もいい。 その場に坐り心落ち着かせてみたい。(檸檬
朝ぼらけ青田に白き鳥立てり 和翁 「朝ぼらけのなかの 白き鳥」とても好きな情景です。 白き鳥はサギでしょうか? 先日ドライブ中に 水田に佇むサギの姿みかけたばかりです。我が家の近くの小川にも時々飛来して来るのですが 早朝なのでなかなか見られません。(すずらん)
田に浮かぶ雲ちょっとどけ苗植うる 暖流 お疲れの田植えにも,ちょっとのゆとりが嬉しくホットします。(ちあき)
万緑の真ん中を行く乳母車 みずき 万緑の只中を嬰児を載せた乳母車が行く。生命の息吹を輝かせながら。生きとし生きるもの、みな愛し。(あんな)
湯温度で知らぬ味知る新茶かな ふきこ 「新しい発見あり、人生は楽しい、そして? 益々 新鮮ですね 」(新米)
妻という素顔にもどり新茶汲む あきこ 勝手な想像ですが、一女性として仕事をバリバリにこなすキャリヤ−ウーマンの時間から、自宅に戻って夫と共に食後なりの時間を過ごすときには、すでに妻の座にある という動と静の対比というか、落差というか、そういう変化を感じさせる句であると思います。(洋城)
空映す水面ゆりかご未草 あきこ 空写す、ここで一拍呼吸,そして,水面ゆりかご未草と明るくリズミカルなたたみかけが心地よいと思う生活の匂いのない若さに心魅かれる。(湖底)