平成12年春の入選作
南 秋草子 選
山門をくぐりてよりの花の雲 あきこ
止まりたる噴水しずかに春を待つ 和泉
嫁ぐ荷の中で向き合う夫婦雛 福助
佳作 眠りから出され微笑み返す雛 洋司
孫の守りする爺婆の目借時 華子
行く方を自問自答や春浅し shouko
期待して少し多めの寒ごやし 静歩
連れ添いて早や三十年花の橋 洋司
独り居に温もり届く草の餅 和吉
沈丁の香のなかにあり己が墓 和翁
この国の人と生まれて桜狩り あきこ
丹後路の白砂青風風光る 写楽
よちよちの孫の頭に散る桜 和吉
瓜苗を手にしたままの立ち話 和吉
五稜郭今に残りて春愁ふ あきこ
城跡にさくらのひと日もらいけり あきこ
春愁や鳥語飛び交う古戦場 洋司