平成12年冬(12.12〜13.2)の入選作
南 秋草子 選
村旗高し成人の日の大空に 暖流
すれちがふ人も焚火の匂ひして 静水
湯どうふやいまも昔の京ことば あきこ
入選 冬帽の似合う齢(よわい)となりにけり 洋司
冬薔薇うれしきことを告げに行く 湖底
着膨れて子供の足のたどたどし 京子
抱きたる児に結ばせる初御籤 湖底
老いの身に願いは一つ初詣 静歩
骨埋める決意この街冬ざるる 洋司
豆撒きや鬼の面より笑い声 みずき
置き炬燵夫婦なかまの老眼鏡 洋司
目を細め叱られ上手な炬燵猫 静水
黄昏を水に引き込むかいつぶり みずき
ふるさとの会話途切れぬ炬燵かな 手毬
若者の言語の細り冬の街 ふきこ
子の頃の話しに戻る炬燵かな やぶ椿
佳作 語らいつまどろみつ夫婦炬燵かな 洋司
頬あかくおさなご笑う着ぶくれて kayoko
信貴生駒一望にして木守柿 京子
老いの恋灯してホワイトクリスマス 暖流
子の命ずまま着ぶくれてをりにけり 洋司
昨日来て今日来て可愛寒すずめ 静歩
初春に寄り添い並ぶ夫婦箸  志尾里
頬赤き郵便夫きてお元日 あきこ
新しき革手袋や指馴れず 京子
雪しずる羽州街道松並木 竹峰
初詣五十路の願に迷ひなし 暖流
生きること死ぬこと祈り初詣 ふきこ
あと三月嫁ぐ娘と初詣 洋司
小さき手二つ合わせて初詣 志尾里
駅を出てバスまで走る夜寒かな 静歩
炭をつぐ母の姿や掘り炬燵 藤五
掘り炬燵足で喧嘩の昔かな 山郷
スキー宿茶うけは沢庵切炬燵 ふきこ
神鈴の緒の新しき初詣 京子
初詣手を引く孫のあたたかさ 辰ちゃん
階段を孫と数えて初詣 和吉
春炬燵妻の書物は智恵子抄 暖流
添い寝する腕の痛さや昼炬燵 桜桃