平成13年11月 選句結果

得点 雑詠 作者 戴いた人
4 紀伊水道七分覆いて鰯雲 244 手毬 なぎさ 夕花 静歩
3 靴紐をきゅきゅっと結び秋の旅 手毬 暖流 まさき 244
2 銀杏散るひとりぼっちのキャッチボール 暖流 京子 洋司
2 秋風の生まれし森に抱かるる あきこ 果林 244
2 ダム湖まで一気に染めるブナ紅葉 夕花 手毬 和泉
2 温もりを色に残して紅葉散る 果林 あきこ ゆきうさぎ
2 無骨なる手の自転車屋柿熟るる 手毬 あきこ 洋城
1 秋雨や踏まれてならじ蝸牛 久須夜 洋城
1 祭りの群過ぎ秋風の残りたる 244 夕花
1 老犬の宿変えおえて秋深し 和泉 おさむ
1 良き知らせメールで送る菊日和 静歩 和泉
1 旅立ちの紅筆硬き冬の朝 果林 暖流
1 近道と信じ苅田の間をゆく 洋城 おさむ
1 柿吊るす父の背なかの遠くなり まさき 洋司
1 日だまりや紅葉の下の六地蔵 まさき なぎさ
1 夕霧や廃船ねむる葦の原 なぎさ 久須夜
1 紅葉は今筑波嶺を越えて行く 夕花 まさき
1 虫の音の絶えしを言はず癌病棟 暖流 久須夜
1 黄落の沖ゆく船を惜しみけり あきこ 果林
1 いろは坂紅葉の中に見え隠れ 静歩 京子
1 幸せを夫と語りし星月夜 洋司 静歩
得点 兼題 「朝寒」 作者 戴いた人
5 朝寒し胸の奥から咳一つ 手毬 暖流 夕花 あきこ 洋城 静歩
3 朝寒のゼブラゾーンに風わたる あきこ 手毬 京子 244
2 朝寒し杉の木立の凛として 和泉 果林 ゆきうさぎ
1 八の字に脱がる庭下駄朝寒し 洋司 おさむ なぎさ
1 朝寒や自転車の子の頬白き 京子 ゆきうさぎ
1 朝寒の公園鹿を走らしむ 洋城 和泉
1 朝寒し挨拶まだの老夫婦 まさき 洋司
1 朝寒やデイケアの母にコート着せ 夕花 まさき
1 朝寒やしじま切り裂き百舌猛り なぎさ 久須夜
私の選んだ一句
朝寒し胸の奥から咳一つ 手毬 寒い朝、胸の奥深いところから乾いた咳が一つ。人生の冬にさしかかった哀しみを絞り出すような切ない咳。この句を読んだとき、そんな老境にゐるお人の静かな哀切が伝わってきました(暖流)。

さむい朝、庭に降りようと下駄をはいたがあまりの冷たさに吃驚して後戻りした様子がわかる(おさむ)。
八の字に脱がる庭下駄朝寒し 洋司 さむい朝、庭に降りようと下駄をはいたがあまりの冷たさに吃驚して後戻りした様子がわかる(おさむ)。
銀杏散るひとりぼっちのキャッチボール 暖流 銀杏散る、一人ぼっちのキャッチボール、お昼ごろではなくて、夕方。 子供達も家に帰りかけた頃、頑張って一人壁にボールを 投げては受けて、練習している、利かん気そうな男の子が浮かびます。 銀杏の木があって、夕陽と 落ち葉。 この句を口ずさむと、風景が、見えてきます。私の好きな句です。(京子)
朝寒やしじま切り裂き百舌猛り なぎさ 百舌の甲高い鳴き声は時に、ドキッとさせる響きが、耳に快い、他の鳥の鳴き声とは、同列覗出来ない凄さがある。故に、「しじまを切り裂き」が、読み手の身に、自己体験のように鋭く伝わって来た(久須夜)。
温もりを色に残して紅葉散る 果林 明るいあたたかな日差しも存分に浴びて今落ち葉の時、紅葉のいろはおしゃれでなかなか素敵ですね、充分 一年を謳歌したよって言っているように思えます(あきこ)。
黄落の沖ゆく船を惜しみけり あきこ 情景が目に浮かびます。沖を往く船に何方が乗っていらっしゃるのか惜しみけり・・・心持ちが偲ばれるようです。海の広さ、作者の淋しさなど、推し量ってしまいました。しみじみ良い句だと感じます(果林)。
幸せを夫と語りし星月夜 洋司 おそらく若い夫婦ではないでしょう、今まで生きてきた夫婦が過去の楽しかったこと苦しかったことをしみじみと語っているさまが目に浮かびます(洋城)。
朝寒し杉の木立の凛として 和泉 寒い早朝に杉木立の中は、夏でもずいぶん涼しいのに 初冬ならなおさら(ゆきうさぎ)。
朝寒し挨拶まだの老夫婦 まさき いつもなら・・・と、目で交わす朝の挨拶、今朝は寒くて互いのテンポが狂い、まだそれがない。・・・ 日々の生活の中にある俳句を作りたいと思っていますが、この句はまさにその手本です。 いつも互いを励ましあうほのぼのとした夫婦が見えてきて、品の高い句だと思います(洋司)。