平成13年7月 選句結果

得点 雑詠 作者 戴いた人
4 紫陽花に色を残して雨あがる 夕花 あきこ 京子 静歩 静水
3 薔薇咲けリリルケの指の血より濃く 湖底 手毬 暖流 久須夜
3 陰口もいさかいもなし蟻の列 静歩 おさむ ほうき 洋城
3 黒揚羽ふと現はれてふと消ゆる あきこ 竹峰 まぐろ 洋城
3 緑陰の一つの影を連れて出づ 静水 和泉 夕花 244
2 冷房の手術室内時刻む 洋城 あきこ 244
2 夏椿白さ透かして朝に咲く 夕花 手毬 まぐろ
2 さるすべり五六房でも幸福感 和泉 みずき ほうき
2 涼風や夕餉の菜を妻に問ふ 暖流 京子 静水
2 大いなる夕焼に小さき祈りかな 暖流 和泉 洋司
2 短夜や痴女またしてもナース呼ぶ 洋城 おさむ 洋司
2 老い馬や水に映りて虹を食む 静水 静歩 ほうき
1 炎天や水動きつつ大海へ みずき 暖流
1 小舟浮く潟の緑陰水深し 洋司 久須夜
1 旅人は北へと向かふ夏帽子 あきこ みずき
1 弁当の真中にパセリ座らせる 手毬 夕花
1 親と子の夫婦二組冷や奴 洋司 竹峰
得点 兼題 「虹」 作者 戴いた人
4 水門を開き瀑布に低い虹 夕花 京子 和泉 静歩 まぐろ
3 夕虹の消えて厨に戻りけり 京子 あきこ 竹峰 洋城
3 虹たちてあこ子この子を呼び止める 湖底 静水 あさむ 暖流
2 虹二重村を出て行く男かな みずき 夕花 洋司
1 虹立って入院検査はじまりぬ 洋城 244
1 虹の屋根過疎の村を包みけり 洋司 久須夜
1 夕空はまだ揺れていて虹乾く 静水 みずき
1 虹の橋渡りて君は戻り来ず あきこ 手毬
私の選んだ一句
薔薇咲けリリルケの指の血より濃く 湖底 この句の表現の斬新さに惹かれました。薔薇の赤と血の赤が目に浮かぶようです。リルケの指という表現にも心惹かれました。(手毬)
知的。日本の薔薇に西洋を見た。やはり、共に、薔薇は情熱的なのだろうか!(久須夜)
薔薇の棘に指を刺されて出血し、急性白血病に罹って他界した詩人リルケ。そのリルケの熱い血よりも紅く咲いた薔薇の花弁。妖しくも哀しいその美しさは詩人への鎮魂曲のごとく胸に染み入る…。鋭く研ぎ澄まされた感性による、詩のように麗美な一句。(暖流)
紫陽花に色を残して雨あがる 夕花 雨の後で、土には水溜り、 あたりにも湿った空気がある。 そんな時こそ紫陽花が一番生き生きする時です。 木々の葉先からも雫が落ちているような感じが、紫陽花のこの場合は、水色が鮮やかに浮かびます。 (京子)
紫陽花の花は梅雨によく似合う花と言われます、雨が上がっても雨にぬれて生き生きとした紫陽花の花が目に浮かびます。(静歩)
雨と似合う花しっかりみておられる、その優しさがいい句になりました。本物の感性ですね。これからは,無くなりつつある自然をよみたいですね。(静水) 
弁当の真中にパセリ座らせる 手毬 わずかな言葉の中にこの母子の日常、母の愛情が凝縮されていて素晴らしい句だと思います。(夕花)
黒揚羽ふと現はれてふと消ゆる あきこ あの羽根の大きな黒い蝶々、詠み人の庭もそうなんだろうな〜  多分、さほど広くはない庭へ、ゆっくりと隣の家から飛来し、波を描くように時には低く、高くと飛びながら庭を散歩し、ひょと目をそらすと、もう視界にはいない、何処かへ姿を消してしまった・・めっきり少なくなった我が家の風景と重ね合わせました。(まぐろ)
老い馬や水に映りて虹を食む 静水 獏とは、ちがって夢でなくあるがままの現実。 みずを飲んでいる馬からは、虹は見えていないが一寸はなれたところで観ている人には、馬が飲んでいる水に虹が映っている。(ほうき) 
夕空はまだ揺れていて虹乾く 静水 夕空はまだ揺れていて・・・をもっと具体的に表現すると虹乾くが生きると思うのですが。でもこの感覚は好きです。(みずき)
大いなる夕焼に小さき祈りかな 暖流 夕日が空を真っ赤に染めているとき、創造主に思いをはせ小さな祈りをささげる。祈りは小さくとも神は聴きいれて下さる、その確信が希望を生む。(和泉)
虹たちてあこ子この子を呼び止める 湖底 虹が出た。晴れてきた。心晴れ晴れ。この気持ちをみんなに知らせたい。(おさむ)