平成13年春の入選作
南 秋草子 選
卒業歌未完の大器ら巣立ちゆく 暖流
鈴鳴らしリュックが行くや山笑ふ 京子
母の日に届く小包母の文字  静水
秀逸 ままごとの甲斐甲斐しさや桃の花 竹峰
駅の名は昔のままや山桜 静歩
腕を組むことの言い訳花冷える 洋司
メーデーも遠き日なりき吾れ老いぬ 久須夜
菖蒲湯や十指やはらかくほどけゆく 暖流
うららかや明日のことは明日にする 洋司
遠足の列を見守る農夫かな 和吉
母の日や母の生まれた国を訪ふ 和泉
佳作 飛ぶようにあるく少女や風光る 静歩
うれしくて只うれしくて桜見る 手毬
詰襟にわかれ告げる日木の芽雨 手毬
少年はいま変声期木の芽風 暖流
母の手をしっかり握る新入生 志尾里
ビジネス宿春眠シャワーに流したる 244
土筆折る音はかすかに指で聞く 静水
老いし母想ふと涙花見時 志尾里
永き日や明日抜かるる歯を磨く 静水
ぬくもりの孫抱く幸や花冷える 洋司
茶を運ぶ人の白足袋紅椿 ふきこ
掘割の流れの嵩や猫柳
竹峰
春昼や猫歩きいる駐車場 244
秩父路や札所四番山茂る 静歩
風光る自転車を漕ぐ白きもも 竹峰
老父ゆへそっと手を添へ桜坂 手毬
大輪の湖に落ちゆく夏花火 あきこ
大かすみ能登の岬は宙に在り 洋司
秩父路の仏のおだやか春深し 和泉
浜風に負けじと泳ぐこいのぼり しおり
新緑のかなたに白き富士の山 和吉
母の日や葱きざむ音懐かしき 244
母の日や今年も遺影を拭きにけり 洋司
母の日に孫の笑顔がプレゼント 志尾里