平成14年10月 選句結果

得点 雑詠 作者 戴いた人
5 宴果て名月ひとつ残りけり あきこ まさき ハシケン 果林 手毬 洋司
4 じゃんけんで登る石段秋うらら 手毬 244 あきこ 夕花 暖流
4 職業は主婦と書きをり茸飯 果林 ハシケン 可不可人 手毬 陽炎
4 足裏に秋の気配や宿の下駄 静歩 244 まさき 洋城 洋子
2 一皿は夫の好みし柿膾 手毬 ポテト 洋司
2 清姫が追いたる道の曼珠沙華 244 静歩 陽炎
2 賽銭を児にも持たせる地蔵盆 静歩 おさむ 夕花
2 畦道に空見上げおり棄て案山子 ポテト 久須夜 洋子
1 陽だまりにただ漂ふてゐる秋の蝶 陽炎 みずき
1 日々の景今日は小鳥を聞ける幸 夕花 みずき
1 田を去る日空を見てゐる案山子かな 暖流 おさむ
1 ゆくゆくは花野の中の無縁仏 果林 あきこ
1 束の間を二重に架かり秋の虹 あきこ 暖流
1 この庭もあちらの庭も虫時雨 まさき 洋城
1 見る余裕なき名月や主婦くりや 洋子 静歩
1 不条理は海のかなたや金木犀 まさき 可不可人
1 天に星地に花ことに野菊かな 暖流 果林
1 生娘の指先妖(あや)し風の盆 244 久須夜
得点 兼題 「花野」 作者 戴いた人
3 埋もれて今は花野の古戦場 洋子 あきこ ポテト 久須夜
3 先頭を亡父が駆けゆく大花野 果林 おさむ みずき 陽炎
2 かぎりなく風つたへゆく花野かな 陽炎 洋城 洋子
2 花野行く目つぶれば亡き子と歩む 244 まsき 可不可人
2 花野原過ぎし言の葉拾ひけり あきこ 手毬 夕花
1 鈴の音の馬車に暮れゆく花野かな ポテト ハシケン
1 馬とゆく裾野八里の大花野 ハシケン 244
1 大河往き添いて揺るがぬ大花野 手毬 洋司
1 拉致と言う年月花野澄んでをり みずき 果林
1 つまづきて母の手をとる花野かな まさき 静歩
1 音深く花野に雨のふりつのる 夕花 暖流
私の選んだ一句
田を去る日空を見てゐる案山子かな 暖流 収穫の済んだ 田から担がれて行く 案山子は 空を見ているより 仕方が無い、来年も ここに 立てるかな(おさむ)。
先頭を亡父が駆けゆく大花野 果林 花野には良い句があって選ぶのに困りました。この句は少し可笑しみがあって好きな句柄です(みずき)。
職業は主婦と書きをり茸飯 果林 「職業は主婦です」、と言い切る姿勢が好きです(可不可人)。
拉致と言う年月花野澄んでをり みずき 拉致という非情な現実を前に言葉もありませんでした。この句を拝見してハッとしました。辛くて長い年月を花野が黙って癒してくれることを願っている作者の思いが「澄んでをり」に凝縮されているように思います(果林)。
宴果て名月ひとつ残りけり あきこ お月見の賑やかな宴の後の静けさ、真の名月の美しさのみが残る夜空がくっきりと見えたような気がしました(手毬)。
賽銭を児にも持たせる地蔵盆 静歩 素朴なお祭りの一光景を切り取った句です。 親からお賽銭をもらい、大事に握ってお祭りに駆け出す子供の様子が浮かびます(夕花)。
束の間を二重に架かり秋の虹 あきこ 修飾も技巧もこらさずに、感情も交えずに眼前の光景を平明に、しかし鮮やかに切り取ってみせた。そんな感があります。作者が見ている二重の虹が、僕にも見えます(暖流)。
清姫が追いたる道の曼珠沙華 244 安珍と清姫の悲恋の伝説は「道成寺物語」として世に広まりました、清姫が安珍に合うために通った道という場所にマンジュシャゲが咲き乱れている(静歩)

清姫―熊野道―曼珠沙華―清姫・・このイメージのつながりに魅かれました(陽炎)。
畦道に空見上げおり棄て案山子 ポテト お役御免とばかりに、放置された案山子の悲鳴が聞こえてくるようで、悲哀を覚えます。これも、消費大国の驕り故なのか。いや、それとも来年の二度使用では、雀も、烏も案山子を馬鹿にして、効き目が無くなるとでも?人形(ひとがた)には、もう、霊も何も宿りはしないのか?(久須夜)