平成14年春の入選作
南 秋草子 選
鯉幟おろして今日の風たたむ 手毬
少しずつ遠出の母や水温む 果林
啓蟄や息子に嫁の来る便り 洋司
秀逸 大けやき囀空に放ちけり 夕花
わがために今日手作りの雛かざる 京子
新しき傷ありありと春の猫 ポテト
春雨や一年生の黄色傘 静歩
幼子の傘の重たき春の雨 ポテト
初節句家紋の中に母の笑み まさき
かたまりて声過ぎ行くや春の山 静歩
佳作 春愁のほぐれてゆきぬ露天の湯 あきこ
笹鳴きや補聴器の音上げて聞き 静歩
母に似しひなを終わりに納めけり ポテト
訪ね来る人今日も無し二月尽 244
いち早く春の音立つ水辺かな 夕花
老犬が大あくびして水ぬるむ 和泉
今は昔源兵衛渡し水温む 洋城
主婦ならばこその嬉しさ水温む 洋子
童らの声弾み居て水温む ポテト
いちにちを桜にあずけ旅衣 あきこ
散る桜車にのせて戻りけり 京子
大の字にひとりの世界花筵 洋司
薬屋に貰ふ六角紙風船 手毬
わだかまり解けてゆきたり春の雨 あきこ
春雨や逢わずともよしカフェテラス みずき
春雨や少し熱めの茶をいれる 夕花
薫風や孫誕生のメールあり 洋子
鐘の音若葉を揺らし寒山寺 洋城
花冷えや明日も仕事の予定なし 洋司
子等の声風に乗り来る聖五月 あきこ
うららかや背筋を伸ばし縁に出る 洋子
うらら日を花の画集と過ごし居り 京子
うららかや氏も素性も無い仲間 みずき
道標の指すままに往き里うらら 洋城
いもやいもいもやわぎもこはるうらら 竹峰
半眼の阿弥陀如来のうららかな あきこ
うららかや軽き靴履き独り旅 まさき