平成15年7月 選句結果

得点 雑詠 作者 戴いた人
5 手花火に見知らぬ顔のまぎれをり 陽炎 ポーポ 244 ポテト まさき 洋司
3 扇子より団扇の似合う京女 春雪 ポーポ 静歩 洋司
3 梅雨じめりたたいて開ける襖かな ポテト 陽炎 夕花 暖流
3 村ひとつ閉込めてゐる送り梅雨 竹峰 夕花 静歩 洋子
3 カーテンを一気に開く夏の暁(あけ) ポテト 244 まさき 洋子
3 子に遺す物などなくて冷奴 夕花 ポテト 竹峰 暖流
2 耕せる泥をついばむ親燕 みずき おさむ パンの耳
2 六月の街は海より濡れてをり 暖流 みずき 手毬
2 かの国を隠す夕焼け日本海 洋司 みずき 春雪
1 きゆるきゆると泥鰌逃込む夏の畦 竹峰 陽炎
1 天道虫瞬時の晴れ間飛び去りき 春雪 竹峰
1 梅雨長しロッキングチェアの鈍き音 洋子 あきこ
1 「舞姫」を語りし母よ鴎外忌 パンの耳 春雪
1 夕蛍一つ息づく御輿小屋 みずき 手毬
1 ゆすらうめよく笑ふ実は艶やかに 暖流 あきこ
1 贈られし風鈴その人の音で鳴りぬ 洋司
1 浜豌豆風が結びし濃紫 あきこ パンの耳
1 一つ葉にでで虫二匹今朝の幸 洋子
1 裸女の絵がほほ笑み返すつゆさなか しおみ おさむ
得点 兼題 「ビール」 作者 戴いた人
4 本日の予定終了缶ビール 静歩 おさむ 竹峰 陽炎 洋司
2 何もかもビールの泡に預けたり 夕花 ポーポ 手毬
2 ピンぼけの人生もよし生ビール みずき パンの耳 静歩
2 溢れたるビールの泡の幾百千 手毬 あきこ
2 喉で飲むビール男の虚実あり パンの耳 244 静歩
2 湯上がりの一口旨きビールかな ポテト 暖流 洋子
1 青春の恋もビールもほろ苦き あきこ ポテト
1 ビール飲み俳諧談義声高に 春雪 まさき
1 明星の輝き増せり麦酒園 竹峰 みずき
1 夫に注ぐビールの手際慣れにけり 洋子 春雪
私の選んだ一句
明星の輝き増せり麦酒園 竹峰 仕事を終えてホット一息、男の飲むビールの喉越し、明星の輝きも今日の仕事の成果に満足げ(みずき)。
裸女の絵がほほ笑み返すつゆさなか しおみ 感想・絵の中の裸婦が微笑んだ、白昼夢、幻影か希望的観測(おさむ)。
耕せる泥をついばむ親燕 みずき つばめが泥田をついばむとは思いもよりませんでした。空で餌をとるとばかり思っていました(パンの耳)。
村ひとつ閉込めてゐる送り梅雨 竹峰 まさに今頃の梅雨の情景でしょう。かなり激しく降っているのでしょうが、その雨の激しさを「村全体を閉じこめる」という言葉で表し、絵の浮かぶ句に仕上がっています。落ち着いた句ですね(夕花)。

突然の雷雨に小さな村は人一人通らずみんな息を詰めて雷雨の通り過ぎるのをじっと待っている、実は、家の中では「雷様が鳴ったから梅雨が明ける」と喜んでいるのだと思います、私の村では、7月の20日前後に雷がなると梅雨が明けると昔からいわれております(静歩)。
喉で飲むビール男の虚実あり パンの耳 うかうかとビールにひそむ嘘見抜く・・・・・(夕花)。 
夕蛍一つ息づく御輿小屋 みずき 御興小屋とは、芝居小屋のような場所でしょうか。皆が一斉に舞台に向いている小屋の一隅に蛍がひっそりと輝きながら息づいている。一読した途端に目の前に光景がぱーーっと広がりました。蛍の静かなたたずまいと、小屋の賑わいの対比も素敵です(手毬)。
梅雨じめりたたいて開ける襖かな ポテト 情景を思い浮かべ、思わず首肯してしまいました。「ある。ある。」 実感が篭められていて、これぞまさしく写生句と感じ入りました。ただ、一つだけ申し上げるなら、「梅雨じめり」で一旦切れていますし、「襖」は三冬の季語ですので切れ字で強調せずに、夏めいた「白襖」などの下五にした方が良かったかなと、私なりに考えました。しかし、それにしても梅雨の気重な風情が見事に詠み込まれていると思います(暖流)。
かの国を隠す夕焼け日本海 洋司 我が故郷である小浜で地村夫妻が拉致される事件があり、日本海を挟んで、親子の思いが深まるのではないかと思いを馳せ、早い解決を望む(春雪)。
本日の予定終了缶ビール 静歩 量をわきまえながら、毎日の晩酌を楽しんでいる姿が丸見えで、思わず笑ってしまいました。さほのぼのとした後味です(洋司)。