平成15年8月 選句結果

得点 雑詠 作者 戴いた人
4 西瓜切る地の豊穣の響き手に 晶子 可不可人 ポテト 陽炎
4 秋晴れを洗濯ばさみで留めにけり 夕花 小僧 竹峰 晶子 ポテト
4 遠花火音おくれ来てそれも消ゆ 陽炎 可不可人 夕花 春雪
4 梅雨明けて真一文字に傘を巻く 暖流 みずき 手毬 まさき 夕花
4 日傘してほんの小さき別世界 陽炎 静歩 春雪 ポーポ 洋子
2 手花火の消えてかいなの仄明り ポテト みずき まさき
2 熱帯夜そばで寝息の古女房 小僧 おさむ 洋子
1 雨意のある風の重さや夏の夕 ポテト 静歩
1 駒下駄の慣れぬ娘や盆踊り 静歩 洋司
1 少年の爪を噛む癖紅芙蓉 まさき 244
1 睡蓮も静かに眠る岩船寺 志尾里 晶子
1 山頭火行くや夏の鰯雲 みずき 竹峰
1 診察台不安往き来す梅雨明くる 春雪 和泉
1 こおりすいいちごだけだと信じてた しおみ 手毬
1 一人旅虹追っているローカル線 ポーポ
1 堂々と近づいてくる雷雨哉 静歩 244
1 重ねたる日々の崩れて冷奴 手毬 和泉
1 帰省子に部屋明渡し花活くる 春雪 洋司
1 なすことを了りて夫婦夏の月 洋司 陽炎
1 後の世に生まれ逢ひたし原爆忌 夕花 おさむ
得点 兼題 「炎天」 作者 戴いた人
6 炎天や世の音までも焼き尽くし 陽炎 手毬 可不可人 まさき ポテト 春雪
晶子
3 炎天や己の影を掘る工夫 晶子 みずき 静歩 夕花
2 炎天にフライ打ち上げ延長戦 夕花 竹峰 陽炎
2 炎天の駐車ハンドル火の如し 静歩 おさむ
2 炎天の水門の鍵置き忘れ まさき 244 和泉
1 炎天の嬰のむずかりし昼下がり ポテト 洋子
1 炎天を父より老いし母の行く みずき 洋司
1 勝ちなのり炎天地蔵寡黙なり しおみ ポーポ
私の選んだ一句
炎天の駐車ハンドル火の如し 静歩 買い物を済ませて乗り込んだ車のハンドルの熱さ、火傷したか手の平を見る古人には、創れない現代の句ですな(おさむ)。
秋晴れを洗濯ばさみで留めにけり 夕花 すごく素直に生活のひとコマを吟じておられる!と感心しています。(小僧)
手花火の消えてかいなの仄明り ポテト 観察の行き届いた句と思います。作者は手花火をじっと見ていて玉が落ちた瞬間の物悲しさを余韻を持って表現されていて上手いと思いました(みずき)。
こおりすいいちごだけだと信じてた しおみ なんだか、不思議な感覚の句だなぁ〜と思いました。でもこの気持ち、よーく解るのです。俳句というより、呟きのようなこの句に心惹かれました。これからは、こういう俳句があってもよいのでは? と思わせてしまうような句ですね(手毬)。
梅雨明けて真一文字に傘を巻く 暖流 今年の長梅雨がようやく明けたとき、厳しい暑さが来ると分かっていても、なぜか「梅雨が明けた」と嬉しかったものです そんな気持ちをスカッとする言葉「真一文字に傘を巻く」とは!お見事です(夕花)。
日傘してほんの小さき別世界 陽炎 真夏の田舎道を歩く若い嫁、戸外に一歩踏み出し、瞬時、姑のことも忘れて小さな自己の世界に浸っているのだろうか(春雪)

小倉遊亀氏の絵がフーッと浮んできました(ポ-ポ)。
炎天や世の音までも焼き尽くし 陽炎 この句は体を動かすのも嫌な暑さを、よい意味で容を代えて詠んでいると思いました。音の無い世界、暑さの極みです(晶子)。
西瓜切る地の豊穣の響き手に 晶子 秀作が多くて選句に迷いました。俳句の世界、表現に感動しました。14番には、感想を越えています(可不可人)