平成17年11月 選句結果

                  
得点 兼題 「夜長」 作者 戴いた人
6 自白まであと数頁夜長かな 夕花 みずき まさき 晶子 弓子 桜桃
与作
5 あかあかと一人に余り夜長の灯 あきこ ちあき 夕花 ダイゴ 緑茶
2 長き夜舟をこぎ居し媼(おうな)かな 霜月 門名無 唯人
2 長き夜の小暗きものに老舗の灯 みずき もも アコ
2 本閉じて長き夜あり闇に舞う もも 244 コスモス
1 夜長妻旅の鞄をやっと締め まさき あきこ 福助
1 今はもう想い出だけの夜長かな ダイゴ 静歩
1 少年兵尽きせぬ語り夜長し 静歩 春雪
1 天翔ける夜長去りゆき白き夜に しおみ ウクレレ
1 長き夜や妻とは遠き旅の空 春雪 暖流
1 長き夜に物思いつつ手酌酒 門名無 しおみ
1 ネット見てうつろに過ごす夜長かな 軽率 おさむ
1 人無くも青信号の辻夜長 与作 小自良
得点 雑詠 作者 戴いた人
4 同行二人いのち一つの秋遍路 みずき 晶子 福助 唯人
4 腕貸して眠るる毛玉の暖かさ 緑茶 唯人 コスモス 春雪
3 川の字に手繋ぎ詣る753 桜桃 静歩 福助 与作
3 散り際の色鮮やかさ晴れ舞台 緑茶 桜桃 ウクレレ アコ
3 花野来て秘仏を拝む暗さかな みずき まさき 弓子 244
3 籾殻の中に息づく卵かな 春雪 夕花 暖流 244
3 来世には小春の風になるつもり あきこ ちあき 晶子 緑茶
2 厚着して鍵の在り処を叩きおり 与作 おさむ あきこ
2 秋深む未だ開かざり厚き本 244 ダイゴ アコ
2 孤独てふ私の隙間りんごジャム 夕花 ちあき あきこ
2 草虱付けて行き先隠し得ず 春雪 もも 弓子
2 ふらり来て話がはずむ秋日和 零風 静歩 ウクレレ
2 山里の触れて寂しき枝垂れ柿 ダイゴ しま 暖流
2 立冬の太陽ぐらり上りけり あきこ まさき もも
2 老農の紫煙流るる刈田かな まさき 桜桃 与作
1 明日読めず今を大事のおでん酒 与作 ちあき
1 諍いて名月ながめ仲直り ダイゴ おさむ
1 鰯雲おや疎ましき日がありて もも 夕花
1 貝割菜夕べの闇に生まれけん 244 みずき
1 木の実落つカタルーニアの旋律に 夕花 霜月
1 参道に落ち葉の悲鳴靴の跡 福助 ダイゴ
1 高枝の悔し紛れの残し柿 霜月 門名無
1 谷深く霧迫り来て白き闇 福助 春雪
1 つるべ落とし子供らの声遠ざかる しおみ
1 初霜は枯れ葉の上にそっと降り 唯人 コスモス
1 祭り終え法被の紋の皺伸ばす 門名無
1 夜の雨球根冷たく眠らせて 晶子 緑茶
1 立冬や南瓜甘きを残すべく 晶子 しおみ
私の選んだ一句
自白まであと数頁夜長かな 夕花 「この経験は推理ものが好きな方には「同じ!」 と言わせるものでは無いでしょうか。もう、その体力(目)はいけなくなりましたが・・・」(晶 子)
「『自白』にギョッ、『数頁』でな〜んや、『夜長』で更に心地よく弛緩。枝雀のいう『緊張と緩和』が十七文字の世界に具現。」(弓 子)
あかあかと一人に余り夜長の灯 あきこ 「この夜長をどう過ごそうか、ひとり分以上の灯かりが必要です。567さんのおかげで退屈しないで過ごせてるな〜とつくづく、、そんな思いで選句させていただきました。」(ちあき)
「中七に想いが籠っていて秋らしい佳句だと思います。」(夕 花)   
「一人の時ほど、あちこちの電気を点けて無駄に明るくしてしまいます。」(緑 茶)
少年兵尽きせぬ語り夜長し 静歩 「 語りたし伝承の義務我に在り」(春 雪)
長き夜に物思いつつ手酌酒 門名無 「これ以上、平凡には出来ないと思いました。」(しおみ)
ネット見てうつろに過ごす夜長かな  軽率 「オフしょう オフしょうと思いながら 次から次にネットサーフインして気が付くと深更になっている 他人事ではない 自戒 自戒しなくては 」  (おさむ)
人無くも青信号の辻夜長 与作 「夜更けの青信号、車も通らぬに気長に待っている自分。夜長の気分味わってます。」(小自良)
同行二人いのち一つの秋遍路 みずき 「お遍路さんの幾らかさみしい気持ちが覗けるようです。でも行には同行の御方がついている、と自らを励ましているのでしょうね。」(晶 子)
「お遍路さんの気持ちが少しわかるような気がする」 (福 助)
腕貸して眠るる毛玉の暖かさ 緑茶 「腕を貸しているお相手は誰なのでしょうか?・・ 夫、妻、・・それともお孫さんでしょうか?・・ 寝顔を見守っている優しい眼差しが浮かんできます。」 (コスモス)
川の字に手繋ぎ詣る753 桜桃 「人生最大の幸せな時期でしょう。見ていても気持ちよい」(福 助)
花野来て秘仏を拝む暗さかな みずき 「花野連作の一句でしょうか。 さながら現世と彼岸のあわいに佇むような気配が伝わります。紅葉に誘われて尋ねた「微妙寺」の秘仏十一面観音の、千年を閲したお貌の昏さを想い出しています。」(弓 子)
籾殻の中に息づく卵かな 春雪 「新鮮な生みたて卵ですね。このような卵を詠んだ句をはじめて拝見しました。私のようにスーパーで透明パックに並んだ卵を買っているのではとても詠めない句です。」(夕 花)    
「容器に敷き詰められた籾殻に生卵が包まれている。そんななんでもない情景を『息づく』というたった一つの措辞が詩に変えました。       卵を物ではなく、生命として見つめる作者の温かい視線がこの俳句を正に血の通うものに仕上げました。生卵の両端に代わる代わる唇をつけてみてください。丸いほうの片端に体温があるのを感じることができます。これが卵の生きている証です。 この句はそうした生命感を美しく詠み上げています。」(暖 流)
来世には小春の風になるつもり あきこ 「現世もきっと小春なんでしょうね貴方様は、ワタクシめは悪女にもなれず、小春にもなれず、中途半端に生きております・・・潔いな〜」(ちあき)
「険しい世代を乗りきってここまで私たちは歩んできました。この先いえ、来世でもいい小春の風になりたいです。本当。」(晶 子)       
「私も軽やかに、爽やかになりたいですね。」(緑 茶)
孤独てふ私の隙間りんごジャム  夕花 「あかあかとした苺ジャムも良いけど ここは林檎ジャムが効いていると思います。少し甘いお洒落さが気に入りました。」(みずき)
草虱付けて行き先隠し得ず   春雪 「まさか蜻蛉捕りでもありますまい。飄々とした句境に秘め事の点睛あれば、草じらみといえどもロマンティック。」(弓 子)
明日読めず今を大事のおでん酒 与作 「読めないです・・・読めたら大金持ち そう目の前のことを楽しもう 私はコーヒーとお菓子なんだけど・・・」(ちあき)
鰯雲おや疎ましき日がありて もも 「反抗した日々も振り返れば自分の青さが原因 親になり、子供の反抗する姿をみて自分の若い日を。  『おや』と平仮名にしたところに優しさを感じます。」 (夕 花)
木の実落つカタルーニアの旋律に 夕花 「美しい響きであるだけでなく、凡夫に及ばない発想に感銘しました」
(霜 月)
つるべ落とし子供らの声遠ざかる 「絵、歌が渾然一体とでも。」(しおみ)
初霜は枯れ葉の上にそっと降り 唯人 「霜が降り、やがて厳しい冬の訪れです。 でも、今年始めての冬の使者は枯葉にも、私たちにもそっと優しく〜・・」(コスモス)
夜の雨球根冷たく眠らせて 晶子 「大地に春の芽吹きが、ひんやりと抱かれているようです。」(緑 茶)