平成17年12月 選句結果

                     
得点 兼題 「行く年」 作者 戴いた人
5 行く年やとぼとぼと行けとぼとぼと 暖流 みずき 小自良 まさき しま 春雪
4 前掛けをはずしようやく去ぬる年 桜貝 夕花 与作 ウクレレ 弓子
3 シャガールの赤にときめく年の暮れ 緑茶 晶子 あきこ 244
3 行く年や夢を押し売る籤売り場 夕花 しおみ 暖流 門名無
2 一行が多き日記よ年終わる もも 桜桃
2 癌細胞としなやかに共存年流る 与作 ちあき 静歩
2 平凡に暮らす夫婦や年は行く 静歩 おさむ 零風
2 病をばいつも背負いて年歩む 零風 福助 オーク
1 寿ぎのまれに多けり去ぬる年 霜月
1 年流るるひとの情けが薄からず もも 唯人
1 はや六十もう六十の年流る あきこ 霜月
1 行く年やポストに届く請求書 まさき 緑茶
1 行く年の海峡潮の力かな みずき アコ
1 行く年と激しき想い薄れ行く しま だいご
得点 雑詠 作者 戴いた人
6 陸はみな眠る山なり沖漁場 与作 まさき 244 静歩 桜桃 緑茶
弓子
5 旅に出るまでのときめき冬帽子 霜月 小自良 ちあき まさき 暖流 春雪
4 挨拶を返す子供の息白し 桜桃 おさむ 零風 唯人 オーク
4 浮かぬ日の蕪くたりと煮崩れり 霜月 あきこ 暖流 夕花 緑茶
3 今少し生き残りたいと冬衣 零風 みずき 小自良 霜月
3 一合の熱燗妻と分けて飲み 唯人 ちあき 零風 しま
3 顔見せや揚がりしまねき藤十郎 だいご もも 晶子 門名無
3 古本を漁ると言うも師走かな みずき あきこ 夕花 ウクレレ
3 無人駅寒灯の下キップ置く 静歩 もも 244 アコ
3 夕暮れの早さに負ける帰り路 緑茶 しおみ 桜桃
2 凍てし夜隣室キーの音響く 与作 福助
2 小さ家の南天の赤たわわなり もも おさむ アコ
2 茜空錆び鮎釣りの影一つ みずき 晶子 弓子
1 雨どいの木枯らし一つ迷い込み まさき オーク
1 あたたかき胸の鼓動や雪催 あきこ みずき
1 出水野の鶴賑々と啄ばめり もも 春雪
1 起抜けの体に凍みる隙間風 零風 静歩
1 風よけの風はすき間をくぐり抜け まさき ウクレレ
1 風邪に臥す友への沙汰にキーボード 桜貝 唯人
1 着ぶくれも最先端と認めさす ちあき 与作
1 北風が富士の雄姿を置き土産 福助 しおみ
1 細雪恋のかたちに降りにけり あきこ だいご
1 たわわなる渋柿一本百済寺 244 だいご
1 友の影伸び傾きて落ち葉ふむ 桜貝 門名無
1 冬の海波が尻押す縄梯子 与作
1 冬霞ほどけぬままの深眠り 夕花 福助
1 水音の昏くなりゆく照紅葉 春雪 霜月
1 桃色のショールが似合うと我ひとり 緑茶 しま
私の選んだ一句
行く年やとぼとぼと行けとぼとぼと 暖流 「この句は目で見ても読んでみてもグビグビと迫り来るものがあります。みずき絶賛です。」(みずき)
「身に滲みますな!」(小自良)
「年と共に、時の流れが速く感じられます・・・ゆっくりと時間を楽しみたいのに」(しま)
前掛けをはずしようやく去ぬる年 桜貝 「主婦の年末年始はエプロンなしではいられませんね。
ギリギリまでバタバタ忙しく、明けたら明けたでまた多忙。
主婦のみなさん頑張ってください。ダンナ目オット科のみなさん役に立たないならどいててください。」(夕花)
シャガールの赤にときめく年の暮れ 緑茶 「シャガールの赤は印象にはありませんでした。しかし作者の心を深く射たのでしょう。新鮮なかんかくだと思います。」(晶子)
行く年や夢を押し売る籤売り場 夕花 「夢は素晴らしい。年末ジャンボ売りは今や街の風物詩。押し売られても諦めない。」(門名無)
癌細胞としなやかに共存年流る  与作 「ご自分のことでないのかも知れないけれど、このような俳句が読めるとは、すごいお方です。”しなやか”は良いですね、私は体はしなやかですが・・・心が時々しなやかさを失います。あァ!(ちあき)
はや六十もう六十の年流る あきこ 「実感です」(霜 月)
行く年やポストに届く請求書 まさき 「我が家のポストも、楽しい手紙は少なく共感で〜す」(緑茶)
陸はみな眠る山なり沖漁場 与作 「遠く沖の方で漁をしているのでしょう。冬の寒さが伝わってくるようなスケールの大きな句ですね。白黒の世界でしょうか。」(まさき)
「眠る山ーとても胸に沁みました。その景色に溶け込みたい気持ちになりました。」(緑茶)
旅に出るまでのときめき冬帽子 霜月 「冬の旅とはおしゃれですね。北海道かな?」(小自良)
「うきうきする気持ちが伝わってきます。出発の朝は遅れないかと気がかりですが・・・・」(ちあき)
挨拶を返す子供の息白し 桜桃 「挨拶しない子供が多い中 挨拶を返してくれた 心が晴れ晴れする」(おさむ)
浮かぬ日の蕪くたりと煮崩れり 霜月 「気分の浮かない日は料理をしていても、気が入いりません。蕪を煮る鍋から、ついつい気持ちが逸れてしまい、ふと我に返ったときには、もう手遅れで。。。  『くたりと荷崩れり』に作者の心情が余すところなく描写されています。ネガティブな心境を詠みながらも、読み手の気持ちを暗くさせず、むしろほのかな笑いを誘う、巧みな描写とペーソスに脱帽です。この蕪を食べさせられる良人の浮かぬ表情を想像して、思わず同情してしまいました。」(暖流)
「気分が塞いでいるときに料理すると、つい、ってことが『うん、あるある』と言いながらこの句に一票。でも、蕪がおいしそうですね。」(夕花)
「気持ちが入らないと、いまいちの食卓になりますね。たまに、気合いを入れた料理をしたいです。」(緑茶)
今少し生き残りたいと冬衣 零風 「未練ですね!でもこれからが長い。」(小自良)
「切なる気持ちが伝わってきます」(霜月)
一合の熱燗妻と分けて飲み  唯人 「うらやましなーー!ささやかながら、世界一幸せな姿のように感じます、人類が繁栄したのは、幸せの物差しが、それぞれ違っていたからだな・・・と思うのです」(ちあき)
「大切に大切に一合を飲むのですね・・・ 夜長を楽しんで、美味しい・大切な時間です(^_-)-☆ 」(しま)
顔見せや揚がりしまねき藤十郎   だいご 「新聞で藤十郎の「まねき」のことを知りました。小振りな小屋ですが古風なしきたりが美しいですね。残したいものの一つです。」(晶子)
「歳末の京都の顔ですね。雰囲気がよみがえってきます。」(門名無)
古本を漁ると言うも師走かな みずき 「一歩街へ出ますと師走の喧噪、暮れの慌ただしい中 趣味の古本漁りをしているので しょう。いい雰囲気。」(あきこ)
「忙しいだけの師走では不満です。 そうそう、お正月にのんびりと本でも読んで過ごしたいものです。そのための準備だって立派な年用意でした。私も本を選んでおくことにします。 ただ、お正月、読む時間があるかどうか。」(夕花)
夕暮れの早さに負ける帰り路 緑茶 「宵の明星が西の空に。でも中旬には冬至前でも夕べの日脚が伸びて。」(しおみ)
茜空錆び鮎釣りの影一つ みずき 「錆鮎も今年は戴きませんでした。あのじくじくと焼ける音を想像しながらやはり天然物に拘る釣りびとは優雅ですね。」(晶子)
北風が富士の雄姿を置き土産 福助 「全国に数多あるふじ山、初冬の朝の景色です。」(しおみ)
友の影伸び傾きて落ち葉ふむ 桜貝 「季節の変わり目、落ち葉踏む実感がいいですね。 明日につながる健やかな生活が実感されます。」(門名無)
冬の海波が尻押す縄梯子 与作 「冬の海の荒らしさと寒そうって感じが読んでいて実によく感じ取られます。」(紫)
水音の昏くなりゆく照紅葉 春雪 「なんて美しい俳句でしょう。そして初心者には詠めない俳句ですね。」(霜月)
桃色のショールが似合うと我ひとり 緑茶 「自分で誉めてあげなきゃ・・・おしゃれさん!」(しま)