平成18年1月 選句結果

                     
得点 兼題 「初詣」 作者 戴いた人
6 異国子の何を願ふや初詣 夕花 しおみ 244 オーク 暖流 唯人
アコ
5 初詣さい銭ほどの願ひごと 霜月 おさむ 与作 ウクレレ もも 桜貝
3 鞍馬から貴船の尾根を初詣 春雪 夕花 弓子 静歩
2 願いごと忘るる老いの初詣 与作 小自良
2 初詣小銭の額をためらいし オーク ちあき 緑茶
2 ひなびたるちいさき宮に初詣 唯人 いくこ 桜桃
1 氏神に健康託す初詣 門名無 零風
1 お面多々火の国へきて初詣り もも みずき
1 狛犬の凛と威張りし初詣 だいご あきこ
1 砂利音のほか何も無き初詣 まさき
1 背押されて流れに任す初参り 桜桃 春雪
1 主よ主よ新しき年を祝しませ 和泉 霜月
1 初詣塩漬け利食い中華行く しおみ 福助
1 初詣まゐる身清めをんな坂 晶子 しま
1 拝殿の奥の静けさ初詣 あきこ だいご
1 初詣合わせし指の赤き爪 244 門名無
1 ものいわぬ石のキツネや初社 静歩 晶子
得点 雑詠 作者 戴いた人
8 初みくじ二の腕見せて結びけり いくこ おさむ 小自良 244 与作
もも 桜貝 門名無
5 降る雪の降りつくしたる空の青 あきこ 夕花 弓子 緑茶 アコ 門名無
4 「吉」で良し古びし筒の初神籤 244 オーク 夕花 もも 桜貝
4 失語せし母に寄り添ひ日なたぼこ 夕花 与作 いくこ まさき
3 七日粥伊勢路の旅でふるまわれ 和泉 弓子 しま 春雪
3 ノラとなる気概忘れり竃猫 夕花 あきこ だいご みずき
3 寄添うて生きし歳月なずな粥 暖流 いくこ 静歩 桜桃
2 絵手紙に山茶花あふれて届くなり もも 唯人 春雪
2 口紅の何時もより濃い小正月 静歩 ウクレレ まさき
2 注連を綯う農に生きたる節くれ手 晶子 静歩
2 創業の深さ一途に鏡餅 だいご ちあき 桜桃
2 托鉢の息白き朝格子の戸 しおみ 暖流 福助
2 年賀状子供のそへ字愛でたけり 晶子 ウクレレ 唯人
2 寝正月決めてパジャマの虫となり 桜桃 オーク ちあき
2 初草子老いは楽しいものと知り 零風 霜月 みずき
2 補陀洛の海より真直ぐ初日の出 244 しおみ 晶子
1 あな嬉し雪よ降れ降れ露天風呂 緑茶 しま
1 おでん鍋具をかきわけてタコを釣る オーク 緑茶
1 お互いに落ち葉掃き合う隣哉 静歩 暖流
1 重ね着の袖たくし上げ夕支度 霜月 零風
1 古物屋の路地に届かぬ師走風 与作 福助
1 去年今年吾は吾なり吾のまま 与作 アコ
1 ご利益で膨らんだ札有難し 緑茶 おさむ
1 庭師去りすっきり顔の冬の月 春雪 だいご
1 初春や無理と知りつつ神頼み 門名無 零風
1 冬うらら出入り自由な美術館 みずき 244
1 冬の街コトッと音たて投函す 小自良
1 山越えのランナーがゆく二日かな あきこ しおみ
1 雪晴れの湖(うみ)を眼下に露天風呂 春雪 霜月
1 欲はなしビードロを吹き遊ぶ女 晶子 あきこ
私の選んだ一句
異国子の何を願ふや初詣 夕花 「靖国神社で、アジア系の若者をみました。観光スポットのひとつなのでしょう。」(しおみ)
初詣さい銭ほどの願ひごと 霜月 「正直でよろしい 鉄の斧でしたな 神様はお見通しです」(おさむ)
「己が身の丈を、きちんとわきまえてお出でになるようですきです。〜」(もも) 
鞍馬から貴船の尾根を初詣 春雪 「尾根を初詣」ですが、その前が「鞍馬から貴船」ですから尾根を初詣に納得です。霊験新たかな尾根ですから。個性的な初詣の句に仕上がっているし、私もこんな初詣ならしてみたいと思います。」(夕花)
願いごと忘るる老いの初詣 与作 「今年の兼題句、面白いのが沢山ありました。茶髪、お賽銭の句に川柳見たいな面白いのもありましたが、今年「老人宣言」した小自良には、この句がぴったりでした。忘れたのではなくて、何もない幸せなのでしょう。」(小自良)
「最近少しもの忘れが多くなってきました、願い事も今願った事はなあに?と考える自分に照らし合わせてしまって、そのままの自分が其処に居るという俳句に出会いました。」(紫)
初詣小銭の額をためらいし  オーク 「ほほえましいです、思わす笑わせていただいたので」(ちあき)
「私も12歳になって、近所の八幡様に小銭入れを握って行き、参道を歩きながらどんな組み合わせにしょうかと、毎年悩みます。」(緑茶)
ひなびたるちいさき宮に初詣 唯人 「誰にも見落とされて仕舞いそうな小さなお宮にも、初参りする優しい心情が想像されて嬉しくなりました。」(いくこ)
主よ主よ新しき年を祝しませ 和泉 「こんなリズムの良い、歌っているような俳句大好きです」(霜月)
初詣塩漬け利食い中華行く しおみ 「桃源郷孫悟空が道案内」(福助)
初詣まゐる身清めをんな坂 晶子 「この気持ち良く分かります。お参りする事によって、身が清められるなら・・・この人生、やり直したい事が、いっぱい」(し ま)
初詣合わせし指の赤き爪 244 「現代っ子も しおらしいところがあるのですね」(門名無)
ものいわぬ石のキツネや初社 静歩 「言わぬのが当たり前でもきつねは澄まして願いも他所に坐っている、一種の滑稽さが面白く表現されていると感じました。」(晶子)
初みくじ二の腕見せて結びけり いくこ 「和服の娘さん 色気があります」(おさむ)
「これ婆さんでは無いですね。色気で頂きました。」(小自良)
「『うわ〜吉や〜〜』なんて 娘の明るくはしゃいだ声まで聞こえてきそうな、初詣の風景がよく表されていると思います。」(244)
「ご利益があるようにと、ちょっとでも良い場所へ結びたいのが心情ですね。」(門名無)
降る雪の降りつくしたる空の青  あきこ 「降り尽くしたる」に何とも実感が籠っています。さらに座五に「空の青」を取り合わせたのが秀逸な句だと思います。」(夕花)
「真っ白な雪と真っ青な空、腹式呼吸の後のすがすがしい空気をいっぱい吸った気分です。」(緑茶)
「どんよりとした空より、晴れた空の下で 雪をかぶった山々の雄大な景色が良いですね。」(門名無)
「吉」で良し古びし筒の初神籤   244 「お神籤を引くときの様子が手に取るように分かる句です。筒が古びていることから神社の様子も偲ばれるし「吉」を喜んでいる様子も分かるし新春ならではの一句です。」(夕花)
失語せし母に寄り添ひ日なたぼこ 夕花 「高齢化社会。少子化。親子の愛情と絆。言葉なんていらないんですよね。ただ、脇にいてくれるだけでいいんです。きっと! この句から、あったかな家庭を拝見させていただきました。数年後の我が家を思いました。良い句を、ありがとうございました。」(まさき)
七日粥伊勢路の旅でふるまわれ 和泉 「旅の途中の人情・・・優しさ・・・ 心まで温かくなりますね」(しま)
ノラとなる気概忘れり竃猫 夕花 「居心地がよさそうなのが良いと思っている自分を見ているようです、でも猫には気概を求めたいなあ♪」(あきこ)
「自分のことを言われているようでドキッとしました」(みずき)
口紅の何時もより濃い小正月 静歩 「正月の忙しさから、ようやく開放された女性の姿(心を含め)が、旨く描写されています。 口紅、小正月。「女正月」といわずに「小正月」としたところに、重すぎた句にならず、深みのある素敵な句になったと思います。」(まさき)
注連を綯う農に生きたる節くれ手 「いかにも縄をなうことは若者には難しく、長年の農業のうえの技と思います。あの掌は貴重で見事なものですね。」(晶子)
創業の深さ一途に鏡餅 だいご 「TV番組で見た93歳?の現役社長さんの生き方を思い出しました。廃品回収に出す、新聞紙を子どもが集めに来るのに丁度持ちよい重さ、後の処理に良いように、ナイロンなどで縛らないで、几帳面に折り畳み紙できっちりと留めて出す。その事一つにも仕事に対する、あるいは生き方の真摯な姿勢に頭が下がりました、ごらんになった方いらっしゃいますか?俳句のことからそれました」(ちあき)
托鉢の息白き朝格子の戸 しおみ 「寒い朝、門の格子戸の向こうに托鉢僧が立ったのでしょう。笠の下に白い息が輝いていて。 おそらく作者は格子戸を開いて、喜捨をしたのではないでしょうか。冬の朝の静かな清澄感が伝わってくる佳句です。」(暖流)
「ご苦労様と頭をたれるだけ」(福 助)
寝正月決めてパジャマの虫となり 桜桃 「パジャマの虫がおもしろいですね」(ちあき)
初草子老いは楽しいものと知り 零風 「やさしい言葉で詠まれ、読書の満足感がよく伝わってきます」(霜月)
補陀洛の海より真直ぐ初日の出 244 「補陀洛信仰は悟りというより、自殺行為ののほうに解釈が行ってしまいます。浦島太郎は悟りきれなくて、強制送還されたのでしょうか。」(しおみ)
「補陀洛がたとえ南であっても、あり難き初日の出は海から登り掌を合わせて拝むここちを素直に言って、目出度さをはっきりと感じさせてくれます。」(晶子)
あな嬉し雪よ降れ降れ露天風呂 緑茶 「露天風呂に入って、 ちょっといっぱい引っ掛けてですか? そんな 幸せな一時・・・皆、したいです」(しま)
おでん鍋具をかきわけてタコを釣る オーク 「タコを釣るという表現がとても印象的です」(緑茶)
古物屋の路地に届かぬ師走風 与作 「古物商の年末は売り上げダウン寒さが身に染みる」(福助)
冬の街コトッと音たて投函す 「どんなお便りでしたのでしょうか?」(小自良)
山越えのランナーがゆく二日かな あきこ 「帰路を戸塚で応援しました。ぽかぽか陽気でした。句にするとこうなるのですね。」(しおみ)
雪晴れの湖(うみ)を眼下に露天風呂 春雪 「こんな宿に泊まりたい。そしてこんな雄大な句も詠んでみたい」(霜月)