平成18年2月 選句結果

                     
得点 兼題 「立春」 作者 戴いた人
4 春来たる鎮守の杜に子らのこゑ 門名無 桜貝 零風 福助 唯人
4 立春と日記に一行書きしまま いくこ しおみ 和泉 晶子
4 立春の大地緩ます雨三日 夕花 あきこ 霜月 みずき 春雪
3 遠山のすこし色めく春立つ日 あきこ だいご 門名無 夕花
3 春立つ日ブローチを換えてひと待ちぬ もも 緑茶 与作 244
2 コウノトリ飛び立つ空や春立ちぬ 静歩 いくこ もも
2 春だ春日めくりバリッと破りすて 緑茶 小自良 ウクレレ
2 谷地川の少し広げて春立ちぬ 244 まさき 弓子
2 立春の房総花摘み夫婦旅 桜桃 オーク ちあき
1 となりより豆うつ声や春立ちぬ 桜貝 アコ
1 春立つや風呼ぶ樹々の影揺るる 桜桃 春雪
1 春立ちて影も濃くなり還る陽に しおみ 静歩
1 春立つやプリンセス紀子これに在り だいご おさむ
得点 雑詠 作者 戴いた人
5 退屈は死ぬほど辛し冬の蜂 春雪 あきこ 霜月 ちあき だいご 晶子
5 門灯を消して冬ごと眠りけり 夕花 もも まさき 与作 244
4 あきるほど同じ話や日向ぼこ いくこ 与作 おさむ 桜桃 和泉
4 三面鏡ひらけばしきり春の雪 あきこ もも 夕花 桜桃
4 畳の目ひろうて行くや日脚のぶ いくこ アコ オーク 門名無 唯人
4 ゆるゆると鯉集まりて寒に入る もも 小自良 門名無 弓子 和泉
3 幼子が猫呼び寄せる余寒かな 零風 まさき 静歩 唯人
3 田を返す外は寒いと虫のこゑ まさき オーク だいご ウクレレ
3 通り土間背戸に吹き出す春一番 静歩 しおみ 春雪 福助
3 何色の心と問われ黄水仙 みずき いくこ 緑茶 晶子
2 君がそば歩けばいつしか春隣 夕花 あきこ ちあき
2 県大河五本抱きて湾うらら 与作 244 福助
2 妻の座も風呂吹きもややほろ苦し みずき 緑茶 夕花
2 庭の枝乙女の如く芽は硬し 零風 桜貝 おさむ
2 「ママ、ママ、ママ」叫ぶ子の手にぼたん雪 桜貝 霜月
1 明星(あかぼし)や凍てる大地に冴えわたる 門名無 アコ
1 淡雪の児の声ありし日暮れかな 晶子 みずき
1 生まれ此処光る富士見しふらここよ 晶子 みずき
1 おもむろに咲く紅梅の香りたて 桜貝 ウクレレ
1 吉兆のなまずあがりし竹生島 しおみ 弓子
1 読経のみ名もなき寺の節分会 だいご 静歩
1 なむなむとをさな合掌冬座敷 あきこ 小自良
1 抜け出せぬ朝の布団やあと五分 静歩 零風
1 春の声探し五感を研ぎ澄ます 霜月 いくこ
1 孫に明け孫に暮れ行く春一日 霜月 零風
1 春めくや片道キップ吸いとられ まさき しおみ
1 麦のあお風花しかとうけ止めて もも 春雪
私の選んだ一句
立春と日記に一行書きしまま いくこ 「暦の上では今日から春。しかし・・・春は名のみ。春を日記に書きたいが春は見えずの心境でしょうか。」(和泉)
「寒くてこのとおりでした。」(晶子)
立春の大地緩ます雨三日 夕花 「固まった冬の大地が春の雨で次第に柔らかさを取り戻していく。「雨三日」が3日的確にそれを表現していて、巧みな措辞と思いました。読者の心にも、慈雨が染みとおってくるような気持ちになる、深みを持ったとてもよい句だと思いました。」(霜月)
「三日の使い方がはまっていますね。」(みずき)
遠山のすこし色めく春立つ日 あきこ 「たしかに春になると遠くの景色がうっすらと淡い色を帯びてきますね。情景をうまく捉えてあります。」(夕花)
春立つ日ブローチを換えてひと待ちぬ もも 「分厚いマフラーを取り、すっきりした襟元にブローチ、出かける楽しさで、わくわくします。」(緑 茶)
春だ春日めくりバリッと破りすて  緑茶 「勢いのある句ですね。如何にも立春の喜びが伝わります」(小自良)
退屈は死ぬほど辛し冬の蜂 春雪 「日常よく聞かれる言葉ですが、これが俳句になりますと新鮮な響きを持ってきて、アピール度は群を抜いているように思いました。蜂は働き者のイメージがあり、冬はこんな気持ちであろうと想像し、人間と虫の心を重ね合わせた妙味が実に愉快で季語の選び方も抜群のように思いました。」(霜月)
門灯を消して冬ごと眠りけり 夕花 「山村の夜の風景が浮かんできます。凍てつく夜の暗やみに、冬の星が輝き一層 はっきりと星座が目に飛び込んでくる。何と大きな冬の眠りでしょうか。」(まさき)
あきるほど同じ話や日向ぼこ いくこ 「年を取るとともにくどくなる。(失礼)その話前にも聞きました、と言いたいところですがそれでは 唇寒し・・・でしょう。日向ぼこのお仲間は仲良くね。」(和泉)
三面鏡ひらけばしきり春の雪 あきこ 「綺麗な句です。春の雪を鏡に写して見る、俳句に美しくまとめてあり、好きな句です。」(夕花)
ゆるゆると鯉集まりて寒に入る もも 「水面に寒さがつのります。綺麗な句ですね!」(小自良)
「氷は張らなくても寒の池は水までが重たげです。動きの鈍くなった鯉がひとところに集まってしまう景色はよく目にします。」(和泉)
通り土間背戸に吹き出す春一番 静歩 「風の道は、季節によって異なりますが、自家で体験できるとは羨ましいです。背戸なんて、日常語でしたが、町では使う場所が欠けています。」(しおみ)
何色の心と問われ黄水仙 みずき 「散歩していると、水仙が道端で逞しく咲いてます。寒い中の応援歌のように感じますが、黄水仙は色っぽいですね。」(緑茶)
「心の色はそれぞれですね。でも春は希望の色、黄色がいいです。」(晶子)
君がそば歩けばいつしか春隣  夕花 「甘いけれどやっぱりいいですね。 ひとと寄りそい季節が巡っていきます」(あきこ)
妻の座も風呂吹きもややほろ苦し   みずき 「ほろ苦いに込められた、様々なことが浮かんでは消え、消えては浮かび、とても共感を覚えました。」(緑茶)
「妻の座を『ややほろ苦い』とは言い得て妙。『うん、そうよね』と相づちを打ちたくなる句です。」(夕花 )
庭の枝乙女の如く芽は硬し 零風 「春とは名のみで冬芽は硬いが現代の乙女はどうかな」(おさむ)
「ママ、ママ、ママ」叫ぶ子の手にぼたん雪 「雪の少ない所にお住まいなのでしょう。初めて雪を見た子供が、胸躍らせて外に飛び出して行く。その歓喜の心が、「ママ」を三回連ねた所から伝わって来て、そのような光景が目に浮びました。「ママ」を三回連ねて、歓びを表した秀でた技法に惹かれました」(霜月)
淡雪の児の声ありし日暮れかな 晶子 「雰囲気のある句です。」(みずき)
生まれ此処光る富士見しふらここよ 晶子 「もう少し整理されたらもっと素敵になると思いました。」(みずき)
吉兆のなまずあがりし竹生島 しおみ 「鯰は夏の季語なので、吉兆のニュースの時期とは合いませんが、ま、とらえどころのない瓢箪鯰の愛嬌に免じて・・・」(弓子)
なむなむとをさな合掌冬座敷 あきこ 「可愛いね!小自良 こう言うのに弱い。」(小自良)
春の声探し五感を研ぎ澄ます 霜月 「何処で五感を研ぎ澄ませて居るのでしょうか、静かな林でしょうか、お庭でしょうか、私も春の声を探しに行きたくなりました。此処はまだ春遠い北国です。」(いくこ)
春めくや片道キップ吸いとられ まさき 「青春切符とは違うようです。自動改札機でしょうが、春を探すお出かけ、それには青春のほうがふさわしい。」(しおみ)