平成18年5月 選句結果

                     
得点 兼題 「万緑」 作者 戴いた人
8 万緑のつり橋風と渡りたる 霜月 朱夏 零風 244 晶子 桜貝
アツコ CGE 弓子
2 入相の鐘万緑の峪に染む 244 春雪 霜月
2 新緑を深めて青き雨の音 夕花 福助 桜桃
2 万緑に渋滞の車飲み込まる 小自良 まさき
2 万緑の渓谷歩む遍路笠 春雪 あきこ 唯人
2 万緑の力求めて山に入り 零風 みずき だいご
2 万緑のトンネルの先わが故郷 まさき しおみ ウクレレ
2 万緑のその一雫なる生家かな 暖流 緑茶 瓢六
2 万緑の熊野の山に紅き塔 門名無 ちあき CGE
2 万緑や孫の誕生待つ産着 朱夏 門名無 与作
2 万緑や音のみ聞こゆ保津の川 だいご 静歩 暖流
1 万緑や金箔入りの茶を出され みずき もも
1 夢とりいだし万緑へ透かしみる もも
得点 雑詠 作者 戴いた人
6 子供の日わたしにもいるトムソーヤ 夕花 あきこ もも みずき まさき 244
瓢六 霜月
6 走り茶の一滴までも愛ほしむ 霜月 朱夏 零風 桜貝 門名無 CGE
だいご
5 明るさに紛れ今日より夏の蝶 あきこ 小自良 みずき 桜貝 緑茶 桜桃
4 石楠花や末代護るものの無く 晶子 もも 朱夏 瓢六 桜桃
4 ただ歩くただただ歩く青い山 唯人 ちあき まさき 福助 霜月
4 粽解く思ひ出手繰り寄するごと 暖流 春雪 244 アツコ 弓子
3 香水を一滴武装完了す 夕花 しおみ あきこ 静歩
3 峪合いの村に一本鯉幟 244 零風 唯人 与作
3 花の茶屋無愛想な販売機 静歩 小自良 緑茶
3 山藤や別子銅山霊気満ち みずき 春雪 アツコ 弓子
2 いのちとは新緑もゆる山のこと だいご ちあき 晶子
2 カメラの眼一点にをく花菖蒲 桜貝 暖流 与作
2 光速で降りくるものよ新樹光 暖流 唯人 だいご
1 一族の笑顔たばねしカーネーション 桜貝 暖流
1 風止みて真鯉と緋鯉抱き合う 244
1 きみどりの光こぼれて髪かざり 緑茶 ウクレレ
1 末っ子の名残いつまで更衣 晶子 しおみ
1 外つ国の砂に咎あり春がすみ しおみ 静歩
1 夏来たり乙女に似合う下衣 零風 福助
1 納骨の灰攫いゆき春の風 あきこ 晶子
1 光こぼし葉裏をわたる初夏のかぜ 朱夏 ウクレレ
1 麦の秋朱き山門暮れかげる 春雪 門名無
私の選んだ一句
万緑のつり橋風と渡りたる 霜月 「さわやかなみどりの風を感じます!」(朱夏)
「緑の映えているのがくっきりと目に浮かぶようです。多分揺れているのでしょうね。」(晶子)
万緑に渋滞の車飲み込まる 「渋滞のいらだちを消した新緑、私の一番好きな季節です。」(小自良)
「初夏に近づいてくると、眩しいほどの木々の葉が目に飛び込んできます。山間の新緑のトンネルに、渋滞のゆっくりと走る車が飲み込まれていく。ゆっくりとした時間的表現の中に一層の力強さを感じました。」(まさき)
万緑の渓谷歩む遍路笠 春雪 「万緑の季語のもつ力強さとお遍路の意志の強さがマッチ、みどりのなかをゆく姿の美しい一句になっています。」(あきこ)
万緑のトンネルの先わが故郷 まさき 「昔の峠道は万緑に、急ぐ我は高速でトンネル。」(しおみ)
万緑のその一雫なる生家かな  暖流 「こんな故郷の風景を持つ人は、幸せだな〜と思いました。」(緑茶)
「小の中に大を見る 人の中に自然を見る 透き通ってる」(瓢六)
万緑や孫の誕生待つ産着 朱夏 「万物の限りない成長・発展を感じさせる無限のエネルギーを感じました。」(門名無)
子供の日わたしにもいるトムソーヤ 夕花 「素直に楽しい句ですね。」(みずき)
「この句には、読む人を楽しくさせるようなリズムと響きがあります。明るい性格の方なんでしょう。トムソーヤと筏を連想してしまいました。」(まさき)
明るさに紛れ今日より夏の蝶 あきこ 「これは蝶のこと?それとも蝶の心になった自分?」(小自良)
「蝶が、少し強い陽射しのなかを舞っている様子が絵の様です。」(緑茶)
石楠花や末代護るものの無く 晶子 「ひっそりした山寺でしょうか」(朱夏)
「自分じゃ詠めん 自責の念の一票と言えば作者は怒るだろうか」(瓢六)
ただ歩くただただ歩く青い山 唯人 「そうなんです。理屈ではなく、ただ歩くだけなんです。私も、時々思うことがあります。この句には共感を覚えました。中山道の山の中を歩いていた時のことを想い出しています。素敵な句を、拝見させていただきました。」(まさき)
香水を一滴武装完了す 夕花 「画竜点睛はお化粧にも。」(しおみ)
花の茶屋無愛想な販売機 静歩 「無愛想が如何にも無愛想で、そのくせ気になる景色です。」(小自良)
「峠の茶屋などは、もう物語のなかのことでしょうか?小銭を持って販売機の前に立つのが、自然体のようになっていた自分に気がつきました。」(緑茶)
いのちとは新緑もゆる山のこと だいご 「いのちの尊さをひしと感じさせます。みどりごと言うのは尤もなこと。木の育つ力は素晴らしい。」(晶子)
カメラの眼一点にをく花菖蒲 桜貝 「被写体として選んだ1本の花菖蒲に、ピントをしっかりと据え、今まさにシャッターを切らんとする情景が鮮やかに浮かびます。中七の「一点にをく」という表現が際立っています。」(暖流)
納骨の灰攫いゆき春の風 あきこ 「命の終り、すべての人に来るものですが、春に逝きたいとは歌人もいうところ、あやかりたい慰めとも言えます」(晶子)