平成18年6月 選句結果

                     
得点 兼題 「夏布団」 作者 戴いた人
5 子の帰る日を指おりて夏蒲団 まさき しおみ CGE 門名無 暖流 アツコ
3 姥捨ての月が届けた夏布団 しおみ 晶子 夕花 福助
2 夏掛けを蹴って脚より伸びゆく子 夕花 244 桜桃
2 寝苦しさ残して今朝の麻蒲団 瓢六 まさき 与作
2 久々に充実せし日夏布団 244 ちあき 和泉
2 めざめては子に掛けなほす夏布団 暖流 春雪 桜貝
1 居眠りにそつと掛け遣る夏布団 零風 唯人
1 うたた寝す妻に夏掛そっと着せ 唯人 零風
1 かくれんぼ足が見えたり夏布団 ちあき だいご
1 熟睡児のふはふはの夢夏布団 あきこ 小自良
1 竹ざおにかろがろ掛ける夏蒲団 朱夏
1 夏布団浅き眠りに雨の音 桜貝 朱夏
1 陽を吸うて腹一杯の夏布団 桜桃 緑茶
1 ポケモンが蹴飛ばされている夏布団 門名無 霜月
得点 雑詠 作者 戴いた人
4 植え付けの今年も遅し村議の田 244 しおみ 門名無 まさき 夕花
4 少し濃く茶髪に染めて梅雨に入る 小自良 桜桃 暖流 与作
4 白山を丸ごと濡らす驟雨かな 暖流 春雪 ちあき 門名無 244
3 青葉して鼻の欠けたる道祖神 霜月 夕花 福助 桜貝
3 郭公のふと鍬の手を休めたる まさき 朱夏 霜月 アツコ
3 しめ鯖のほどよき漬かり夫帰る 霜月 あきこ 小自良 まさき
3 飛びついて手足そろはぬ雨蛙 春雪 しおみ 与作
3 蓮の花おもひを秘めるごとく閉づ 桜貝 暖流 アツコ
3 満緑や空をかくして余りあり 静歩 桜桃 桜貝 緑茶
2 句の友の一人去りたる敦盛草 春雪 CGE 和泉
2 寂しさも越へてしまへば水中花 夕花 ちあき 霜月
2 新茶あり友と語らい時忘る ちあき CGE 零風
2 母と行く紫陽花寺や杖の跡 桜桃 零風 福助
1 アスファルト砕き伸びするポピーかな 朱夏 緑茶
1 栗の花暗き便りの遠回し 晶子 244
1 少女等の新芽のような笑い声 緑茶 だいご
1 泥田より舗装路に出る足の跡 春雪
1 風鈴が闇に微かな風を呼び 零風 晶子
1 昼顔の永き話にうなだれし 晶子 唯人
1 頬に触れ綿毛の引越し新天地 緑茶 だいご
1 満緑の山々繋ぐ送電線 静歩 朱夏
1 夕闇にふと立ち止まり吸い葛 まさき あきこ
1 夜が明けて泥田も澄みし田植え時 ちあき 晶子
1 若竹の着物脱ぐこと超特急 門名無 唯人
私の選んだ一句
子の帰る日を指おりて夏蒲団 まさき 「親心」(しおみ)
姥捨ての月が届けた夏布団 しおみ 「姥捨ての月はどんなかは自分で決めましたが、でも夏布団を届けて来たという発想に妙に惹かれました。」(晶子)
「同じような発想の句の中で、この句は異彩を放っていました。優しいような怖いような、不思議な句です。」(夕花)
熟睡児のふはふはの夢夏布団 あきこ 「嬰児のふわふわの夢夏布団 選句でこのように変え句をするのは僭越なことでしょうか?作句出来もしたいのに! ご免なさい。頭が重たいような気がして。でも後の句が如何にも兼題にふさわしくて。」(小自良)
ポケモンが蹴飛ばされている夏布団 門名無 「夏蒲団からのイメージは似通ってきますね。その中で、夏掛けにポケモンと限定したところが新鮮に写りました」(霜月)
植え付けの今年も遅し村議の田  244 「井戸塀」(しおみ)
「当地でも、農家出身の議員さんの田植えは遅いようです。まだ、麦刈りも終わっていないようです。田植えが控えているというのに・・・ 。議員活動と農業の両立 難しいんでしょうね。」(まさき)
「『村議の田』でこの句は成功していますね。『今年も遅い』、公僕としての使命優先でしょうか。」(夕花)
少し濃く茶髪に染めて梅雨に入る 「最近 節約のためよめはんの髪の毛を染めています。私の役目。なかなか色目は難しく、その少しに迷います。」(小自良)
「長い梅雨を迎えようとする暗鬱な気分を晴らすようにいつもよりくっきりした茶色に染めた髪。いかにも女性らしい心の動きが目に見えるようです。自分の気持ちが明るくなれば、雨の色さえ明るく感じられるかもしれませんね。」(暖流)
青葉して鼻の欠けたる道祖神 霜月 「道祖神やお地蔵様は日本人の土着の信仰心を刺激しますね。『鼻が欠けている』」で、その道祖神の古びた様子や青葉で周囲の景色がうかがえる佳句です。」(夕花)
郭公のふと鍬の手を休めたる まさき 「情景がまざまざと浮かびますね。誰しも、カッコウの声がすれば手を止めて聞きほれる・・・」(朱夏)
「この句は『郭公や』でなく、勿論『郭公に』でもなく『郭公の』とした事の軽い切れの働きが、後に続く詠みにしっとりと深みを抱かせ心に響いてきました。」(霜月)
しめ鯖のほどよき漬かり夫帰る 霜月 「句もしめ鯖もお上手です。肴にして美味しそうにお酒を飲む光景が目に浮かぶようです。」(あきこ) 
「最近、鯖が高級魚になりました。滅多に口に出来なくなりました。私もこんな句にあやかりたい。」(小自良)
飛びついて手足そろはぬ雨蛙 春雪 「花札」(しおみ)
寂しさも越へてしまへば水中花 夕花 「この句に、私は余情を感じます。それが故に沢山の句の中から私の心に留まりました」(霜月)
風鈴が闇に微かな風を呼び 零風 「寝付かれず居る人の微妙な心理が見え隠れする、そんな気分を読み取りました、勝手に。」(晶子)
夜が明けて泥田も澄みし田植え時 ちあき 「これから労働が始まるであろう時、調った田圃がかにも清らかに感じられる、そんな朝を思います。」(晶子)