平成18年7月 選句結果

                     
得点 兼題 「梅雨晴」 作者 戴いた人
5 梅雨晴間都大路の木づち音 だいご もも 零風 夕花 春雪 あきこ
4 五月晴れスプーンで掬う逆さ富士 和泉 まさき 晶子 244 いくこ
4 梅雨晴れ間西をみながら作業終え ちあき 瓢六 朱夏 暖流
2 狛犬も汗を拭かずば梅雨の晴れ しおみ 桜桃 緑茶
2 梅雨晴を騙し駆け去る驟雨かな 朱夏 しおみ 唯人
2 梅雨晴間港回りのバスにする 暖流 静歩 与作
1 コピー機の黙々はたらく梅雨晴れ間 夕花 ちあき
1 濯ぎ物部屋から竿に五月晴 零風 ウクレレ
1 梅雨晴や青春キップを握りしめ まさき 霜月
1 常ならぬ妻忙しき梅雨晴れ間 静歩 桜貝
1 見送りてあとは小走り梅雨晴れ間 もも CGE
得点 雑詠 作者 戴いた人
7 潮騒の音も詰めたる鯵届く 霜月 CGE もも 静歩 晶子 零風
夕花 春雪
6 夕焼けを吐き出しきつて海静寂 夕花 ちあき まさき 暖流 あきこ 244
霜月
4 肩上げをおろして孫の更衣 静歩 CGE ウクレレ 与作 いくこ
4 菜箸の先を逃げ行く焼茄子 霜月 瓢六 静歩 零風
3 重き石そしらぬ顔で溝浚い まさき しおみ 桜桃 緑茶
3 雷の過ぎて少年夏色に 夕花 もも まさき 桜貝
3 ししおどし音まで湿らす梅雨の底 244 唯人 桜貝
2 合歓の花学費となりし里のやま しおみ 暖流 春雪
2 日々通う家庭菜園茄子三つ 門名無 唯人 夕花
1 雨そぼる匂いほのかに残る梅 瓢六 緑茶
1 青さぎの菖蒲の池で立ちつくす 朱夏 ウクレレ
1 言い訳は聞かぬこととす蛍飛ぶ もも 朱夏
1 石段に座りて涼し夜の風 零風 瓢六
1 一輪は母へ大きく白牡丹 あきこ 朱夏
1 サングラス小さき心の隠れ蓑 春雪 ちあき
1 桟橋に旅の途中の水母かな 暖流 しおみ
1 サングラスしても隠せぬ恋心 暖流 与作
1 椎の花熊野の山々重とうす 244 あきこ
1 梅雨続き孫の子守もすこし嫌 霜月
1 夏風やビル建て込みて我が庵(いおり) しおみ いくこ
1 まぼろしのごとく山路の額紫陽花 朱夏 桜桃
1 みちのくの古代の遺跡栗の花 和泉 244
1 悠々と巣の真ん中に喧嘩蜘蛛 緑茶 晶子
私の選んだ一句
梅雨晴間都大路の木づち音 だいご 「少ない梅雨晴れ間に突貫工事なのでしょうか、木槌を使う、どういう仕事でしょうか、土木工事ではなさそう。都大路にはやはり木槌の音が似合うような気がします。」(夕花)
「京三大祭りの鉾建て始まる」(春雪)
五月晴れスプーンで掬う逆さ富士 和泉 「ハイキングにでも出かけられた時の句でしょうか静まり返った湖面に映る逆さ富士スプーンで掬って・・・ の発想がお見事です。口の中で、残雪が冷たく広がったことでしょう。」(まさき)
「逆さ富士は色々読まれて居りましょうが、スプーンにある富士の姿は余り聞きません、ここが目の付け所の面白さと存じます。」(晶子)
「一休みにゼリーの蓋を取ったら富士山が逆さまに写ってた・・・良いですね豪快に富士山を口の中に放り込んで、ゴックン!」(いくこ)
梅雨晴れ間西をみながら作業終え ちあき 「自然の中でこそ詠めたと思う 人も東に産まれ西に去るのだろうか 雨と雲と夕日 ・・腰を伸ばし額の汗 誰にも想像できる句 ’西を見ながらは 出そうで出ない置けそうで置けない・・・・素晴らしいと思いました。」(瓢六)
雲の様子を見ながらでしょうか、あわたださの中にも作業を終えた安堵を感じます」(朱夏)
狛犬も汗を拭かずば梅雨の晴れ しおみ 「神社の狛犬が、暑かろうと雨だろうと踏ん張っている姿が微笑ましいです」(緑茶)
梅雨晴を騙し駆け去る驟雨かな  朱夏 「俳句は現在完了形が多いです。この句はさらに進行形になっています。」(しおみ)
潮騒の音も詰めたる鯵届く 霜月 「鯵は新鮮でしょう、其の輝いた鯵は海の音まで運んでくれたようです。」(晶子)
「届いた荷物を開けたときの嬉しさがうまく表現されていますね。音も詰め、という措辞で鯵の新鮮さが読者に伝わりました。」(夕花)
「潮騒の音も詰めた鯵とは、味がある。」(春雪)
夕焼けを吐き出しきつて海静寂 夕花 「暮色の中、静かに凪いでいる海原。炎のような夕焼の色も今は薄れて、群青色の夜気が迫っている。そんな海の情景を「夕焼けを吐き出しきつて」という表現が 余すところなく描写しています。見事な写生句です。」(暖流)
肩上げをおろして孫の更衣 静歩 「何時も間にか大きくなって・・・肩揚げが要らなくなった、私も思い出します。」(いくこ)
菜箸の先を逃げ行く焼茄子 霜月 「私はこんなの好きで 我輩は猫である が滑稽だけでないのと同様 ・・案外なすびって重いでしょう? 貴女? 貴方・(なら想像豊か 」(瓢 六)
重き石そしらぬ顔で溝浚い まさき 「心のあやが伺えて面白いです。」(しおみ)
「暑い日の町内の一こまのようで、そしらぬ顔にちょっと笑いました。」(緑茶)
ししおどし音まで湿らす梅雨の底 244 「ししおどしの澄んだ「かこ〜ん」と言う音も梅雨の時期は湿った音になります、その音が此処まで伝わってくるような俳句に出会いました。」(紫)
合歓の花学費となりし里のやま しおみ 「子には、親の苦労はわかるまい。」(春雪)
日々通う家庭菜園茄子三つ 門名無 「「日々通う」「三つ」このふたことが功を奏した句だと思います。丹精してようやく手にした三つの茄子、わくわくしますね。」(夕花 )
雨そぼる匂いほのかに残る梅 瓢六 「散歩道を思い出し、しっとりとした気持ちです」(緑茶)
言い訳は聞かぬこととす蛍飛ぶ もも 「 蛍が水に流してくれるのでしょうか、ほのぼのとして」(朱夏)
石段に座りて涼し夜の風 零風 「黒蜜かけたところてん  のど越し爽やか 気持ちも直通 (・・俺ぃら甘党 悪しからず」(瓢 六)
桟橋に旅の途中の水母かな 暖流 「現在完了そのものです。芭蕉を想いました。」(しおみ)
夏風やビル建て込みて我が庵(いおり) しおみ 「とてもユーモラスな俳句で光景が見えるようです。」(いくこ)
悠々と巣の真ん中に喧嘩蜘蛛 緑茶 「喧嘩蜘蛛なんてめずらしい。これから相手が来るのでしょうか。空中に張った巣で彼は悠然と待っているようです。どんな喧嘩になるのかな。」(晶子)