平成18年12月 選句結果

                     
得点 兼題 「時雨」 作者 戴いた人
5 鳴き砂の鳴かず丹後の群時雨 霜月 しおみ 夕花 静歩 桜貝 門名無
3 夫と我余生はひとつ時雨傘 桜貝 ちあき 暖流 零風
2 君送りはたと独りや小夜時雨 ゆき 小自良 桜桃
2 時雨るるや真砂女を読みつぐ独りかな もも あきこ まさき
2 堂巡る裾を濡らして初しぐれ 春雪 瓢六 霜月
2 ふるさとの駅の暮色や雪しぐれ あきこ 朱夏 春雪
2 村時雨結願遠き道を行く 暖流 福助 もも
1 戦(いくさ)雲またしぐるるや峰暗く 瓢六 晶子
1 片時雨畝の芽だちを優しみぬ 晶子 緑茶
1 傘立てに手が伸びためらう片時雨 桜桃 ゆき
1 師走とて一服の茶と時雨羹 朱夏 だいご
1 それとなく寄り添ふきつかけ片時雨 夕花 ウクレレ
1 手をつなぎ肩をぬらしつ時雨でも ちあき 和泉
1 左手の動きで語る夕時雨 まさき いくこ
得点 雑詠 作者 戴いた人
7 たわわなる柿を残して姥の逝く 春雪 ゆき 暖流 まさき いくこ 桜貝
瓢六 門名無
5 急がねば冬の固まる音がする 夕花 桜桃 晶子 緑茶 ウクレレ 和泉
3 結願の筆太かりし冬木立 まさき 福助 ウクレレ 和泉
3 小走りに回覧とどく師走かな ゆき もも 霜月 門名無
3 山茶花が道しるべのごと散りてなほ 和泉 ちあき 桜貝 緑茶
3 日々富士をおがむ母なり小六月 ゆき 桜桃 晶子 霜月
2 甘酒や下戸もそれなり年の暮れ 瓢六 福助 零風
2 口中で熱さはじける根深汁 霜月 もも 静歩
2 母在す今日も安堵の葱きざむ あきこ 小自良 静歩
2 褒章にかかわりもなく秋刀魚喰う もも ちあき ゆき
2 星の夜は星と語らひ冬木立 あきこ しおみ いくこ
2 榾明り崩れ山家の夜の深さ 春雪 夕花 朱夏
2 補聴器が聞いてくれてる虎落笛 静歩 夕花 暖流
1 一葉忌幼な馴染みの散りにけり 晶子 あきこ
1 寒昴もつと大きく希みなさい 夕花 春雪
1 街路樹の落ち葉掃く人見入る人 零風 小自良
1 こじ開けてほとばしる香や牡蠣の香や 霜月 朱夏
1 霜の夜や銃声に似し排気音 暖流 だいご
1 談合のニュース聞きながら柚子を採る 門名無 あきこ
1 夫病みて師走の塵の重さかな 桜貝 まさき
1 残り餌を待ちかね群れる寒雀 朱夏 だいご
1 冬虹や夫のしあわせふしあわせ 暖流 しおみ
1 干し大根日毎しなびて樽近し 桜桃 零風
1 山之辺の名残の色に冬の雨 だいご 春雪
私の選んだ一句
鳴き砂の鳴かず丹後の群時雨 霜月 「群れ雀があれば、群れしぐれ なのですね。」(しおみ)
「鳴き砂が鳴く」と詠むところを「鳴かない」と詠んでこの句はお見事ですね。丹後の浜に雨がシトシト降っている様子がよく伝わります。「群時雨」の意味がちょっと分からないです。」(夕花)
夫と我余生はひとつ時雨傘 桜貝 「熟年離婚のことがニュースの種になって、なんともさみしい、ご時世、最後まで夫婦なかよく寄り添って! こうあってほしいなーー」(ちあき)
君送りはたと独りや小夜時雨 ゆき 「最後にこれを頂きました。はたが効いてますね。」(小自良)
堂巡る裾を濡らして初しぐれ 春雪 「和服とくれば言うことなし! 男? 知らんねぇ(^o^)」(瓢六)
戦(いくさ)雲またしぐるるや峰暗く  瓢六 「ぱっと目に入った時から、気にかかる句でした。世の中が騒然としているのが、肌に伝わるようでこの句と決めました。
他にも兼題句にも言いものが沢山有りました。(「夫と我余生はひとつ時雨傘」など)」(晶子)
片時雨畝の芽だちを優しみぬ 晶子 「ふわふわした畝の小さな芽に時雨が優しく降る風景ー土の匂いもし てとてもいいですね。」(緑茶)
傘立てに手が伸びためらう片時雨  桜桃 「傘は荷物になりますし、どうしようかなぁと迷う事がございますね。さりげない日常の所作が素直に表れてます。」(ゆき)
それとなく寄り添ふきつかけ片時雨 夕花 「冷たい雨なのでしょうが、そのおかげで心は温かく・・・」(ウクレレ)
手をつなぎ肩をぬらしつ時雨でも ちあき 「作者は誰でしょう? 567890LOVEの方? いいな、いいな。」(和泉)
左手の動きで語る夕時雨 まさき 「踊りかお芝居の仕草でしょうか優雅ですね。」(いくこ)
たわわなる柿を残して姥の逝く 春雪 「昔詠んだ句に「誰ぞ訪ふ人無き庭の柿若葉」ゆき と言う俳句を思い出しましたわ」(ゆき)
「今は亡き母も柿が大好きでした。お心残りでしょうね。」(いくこ)
「過疎の村では’干し柿をする老人も減っている・人として素朴な寂寥感が漂うのが好ましい」(瓢六)
急がねば冬の固まる音がする 夕花 「固まる、と言う表現がわが身にもあって、寒さを恐れる様子ともとれると、これををいただきました。もう本当の数へ日です。」(晶子)
「冬が固まる音ってどんな音? ミシッ、ミシッ、それともビシッビシッ、でしょうか?まるで、氷の中に閉じ込められるような予感を覚えました。」(緑茶)
「冬は絶対固まらないよ。でも12月はのろのろしていると置いてかれるもんね。」(和泉)
結願の筆太かりし冬木立 まさき 「大願成就のお礼書きでしょうか。よかったですね。 木立はすっかり葉を落としたでしょうが・・・」(和泉)
山茶花が道しるべのごと散りてなほ 和泉 「散った花びらが、重なり合って大地をおおっているのを詠みたいな〜 と思ってました。山茶花と紅葉まで見えてとってもきれいです。」(緑茶)
日々富士をおがむ母なり小六月 ゆき 「日々の小さな幸せを感謝する心が滲み出ていると、読みました。不満の多い世の中、感謝を忘れたくない物ですね。清冽な富士の姿に清められます。
(42 「たわわなる柿を残して姥の逝く」)哀しいながらこの句も好きでした。」(晶子)
母在す今日も安堵の葱きざむ あきこ 「おみそ汁の匂いがします。安らぎを感じますね。」(小自良)
褒章にかかわりもなく秋刀魚喰う もも 「庶民のほのぼのとした幸せがこそ 平和で幸せなことと思います」(ちあき)
「凡々で歳を重ね可も不可もない幸はせ日々好日ですごしたいものです」(ゆき)
星の夜は星と語らひ冬木立 あきこ 「スバルが見つけにくい、都会の空です。」(しおみ)
榾明り崩れ山家の夜の深さ 春雪 「綺麗にまとまった端正な句です。山奥の鄙びた宿の囲炉裏を想像しています。」(夕花 )
補聴器が聞いてくれてる虎落笛 静歩 「中七で成功していますね。」(夕花)
「虎落笛の哀切きわまりない音色をひとり聴くのはつらい。だから持ち 主に代わって耳の補聴器が聴いてくれている。いまは身体の一部になっているような補聴器だから、きっと作者の寂しさを判ってくれているのだろう。 補聴器を擬人化した作者の感性に打たれました。(暖流)
街路樹の落ち葉掃く人見入る人 零風 「絵を見てるようですね。見入る人で落ち着きました。」(小自良)
夫病みて師走の塵の重さかな 桜貝 「家族の誰が病んでも大変なことです。日常のことも、なかなか手が回らず辛い日々がつづきます。「塵の重さかな」 この表現には感心しました。看護の疲れが出ませんよう、時々一息いれてください。」(まさき)
冬虹や夫のしあわせふしあわせ 暖流 「連れの幸せわが身のそれは?あながちイコールではありません。」(しおみ)