平成19年6月 選句結果

                     
得点 兼題 「紫陽花」 作者 戴いた人
5 紫陽花に寄り添ふやうに傘の花 暖流 ウクレレ 小自良 桜貝 零風 門名無
4 あぢさゐの雨に一日をあづけけり あきこ 晶子 ちあき もも 夕花
4 紫陽花や遺稿の俳句読み返す 春雪 いくこ あきこ 霜月 静歩
2 紫陽花や写経の筆の少しぶれ 霜月 まさき 244
2 おさなごの手折りし紫陽花白きまま 和泉 暖流 緑茶
2 人の世の生き様に似て七変化 いくこ ゆき 桜桃
1 紫陽花路あさ陽背負うてひた歩む もも だいご
1 紫陽花や移り気ひめて去年の顔 だいご おさむ
1 紫陽花の根元に微かな陽の匂ひ まさき しおみ
1 訪ねたる家紫陽花の色や濃し 244 CGE
1 蝋梅の実の籠たわわあじさい忌 しおみ 春雪
得点 雑詠 作者 戴いた人
6 夏風邪や振り子の長き古時計 春雪 いくこ あきこ 暖流 緑茶 244
夕花
4 ホームラン見届け麦酒飲み干せり あきこ しおみ 霜月 暖流 門名無
3 雷に夢破られて夜半の闇 いくこ 桜貝 零風 門名無
3 狂おしき熟女の匂ひよ花みかん 244 おさむ 和泉 静歩
3 水田に空と雲あり田植え時 ちあき ウクレレ いくこ まさき
3 父の日やみな笑まひたる古写真 暖流 ゆき まさき 和泉
3 梅雨冷や一人居の昼風呂おごる 静歩 CGE 小自良 もも
3 蔦わかば廃屋みんな包み込み 櫻貝 晶子 春雪 夕花
3 頬杖を右に左に月涼し 夕花 ちあき もも 緑茶
2 早苗取り八十路嫗のひとりごち しおみ ゆき 桜桃
2 軒忍誰が水遣る天が遣る 晶子 しおみ だいご
2 庭下駄の待つこと永し蝸牛 櫻貝 春雪 静歩
2 まっすぐに 新芽の力人に欲し 緑茶 ちあき だいご
1 あじさいにデンデン虫を描かぬ子ら 瓢六 おさむ
1 シベリヤの白夜の捕虜を思い出し 零風 霜月
1 新茶酌む三百年の井戸の水 静歩 244
1 十薬のどくと付く名も持ちにけり 霜月 あきこ
1 スズランの葉を打ちたたくにわか雨 いくこ 零風
1 整然と若苗並び里わらう ちあき ウクレレ
1 狭き部屋西の窓には葦ず張り 零風 桜貝
1 夏燕ゆきも還りも急を告げ だいご 桜桃
1 はつ夏の富士くっきりと旅半ば あきこ 小自良
1 満緑や潰えしままの家ひとつ ゆき CGE
1 老農の軽き杖つき田植かな まさき 晶子
私の選んだ一句
紫陽花に寄り添ふやうに傘の花 暖流 「ツアーで行くと確かにこんな風景が見られますね。」(小自良)
あぢさゐの雨に一日をあづけけり あきこ 「もの憂い雨の暮らしの様子を美しく表現なさって言葉を巧みに使われていると思います。」(晶子) 
「いさぎよくも また あきらめと安堵が入り交じった、、気分にワタクシもこんな時間を持ちます」(ちあき)
「この句、読者によって受け取り方が様々に変わる句だと思います.今日の私がまさに、こういう一日でしたから、この句を頂戴しました。」(夕花)
紫陽花や遺稿の俳句読み返す 春雪 「紫陽花の季語と「読み返す」の措辞が響きあって、亡くなった人への哀惜が伝わってきますね。ただ、このお句の焦点は「遺稿」にあるわけですが、「遺稿の俳句」となさった事で、焦点がすこしぼやけてしまったのではないでしょうか。遺稿が何であったかは、読者の想像に委ね、例えば、「遺稿幾度も読み返す」とかで、「遺稿」に注目する事で、作者の哀惜の念がより深まると思いましたが如何でしょうか。」(霜月)
おさなごの手折りし紫陽花白きまま 和泉 「白きまま終わる紫陽花は、少年のようですこし、かなしいですね。」(緑茶)
人の世の生き様に似て七変化  いくこ 「そうですね、人も世も移り変ります紫陽花が七変化するのは日本だけとか」(ゆき)
紫陽花や移り気ひめて去年の顔 だいご 「アジサイの花をドライにして 家の天井にぶら下げて置くと 中風にならないと言われた去年のそれが天井にある風景」(おさむ)
夏風邪や振り子の長き古時計  春雪 「病院の待ち時間、身体が辛いときは、振り子の動きさえイライラしますね。」(いくこ)
「夏風邪を引いて夢うつつの作者の耳に古時計の長い振り子の音が響き続けたのでしょう。永遠の時を刻むかのように緩やかに緩やかに振れて。部屋のたたずまいなど情景がくっきりと浮かびます。「夏風邪」の雰囲気が滲み出てくるようです。」(暖流)
「誰もいない、静か過ぎる長い時間を刻んでいる音まで聞こえてきそうです。」(緑茶)
「病気で臥せっていると時間の過ぎるのの遅いこと遅いこと。まして振り子時計などあったら、見入ってしまいます。わざとゆっくり揺れてるんじゃないの、なんて毒づいてみたくもなります。そんな心境が読み取れて「お大事に」って声をかけたくなります。」(夕花 )
ホームラン見届け麦酒飲み干せり あきこ 「巨人フアン、矢野フアン。逆転満塁もでしたっけ。」(しおみ)
「生き生きとした臨場感が伝わり、今を生きている・・といった感を受けました。観戦は、スタンドでしょうか?テレビでしょうか?どちらにしても緊迫した場面で、固唾を飲んで見守るファンの気持ちが、「見届け」と「飲み乾す」で伝わってきますね。それだけに「見届け」は外せないのでしょうが、動詞を一つ減らす工夫はないかと読者としても、一生懸命考えてみましたよ(笑)」(霜月)
狂おしき熟女の匂ひよ花みかん 244 「その塾女の匂いとやらを一度嗅ぎたいみかんは要らない(^O^)」(おさむ)
「あれ、あれ お元気ですか。身も心も」(和泉)
水田に空と雲あり田植え時 ちあき 「静かな風景が見えるようです。(腰が痛まない事を・・・)」(いくこ)
父の日やみな笑まひたる古写真 暖流 「セビア色の写真を思い浮かべました、時々見る家族の若い顔が懐かしい歳頃となりました」(ゆき)
「晴れに日にしか写真を撮ることがなかった時代がありましたね。集合写真ではみんな笑いを作っていましたね。そういえばお父さんまでが。」(和泉)
梅雨冷や一人居の昼風呂おごる 静歩 「おごるが良いですね!」(小自良)
蔦わかば廃屋みんな包み込み 櫻貝 「蔦の勢いの良さは人の住まぬ家の哀しさをも覆い隠してしまいましたね。」(晶子)
「人の暮しの途絶えた家にも季節は巡ってくるのですね。季語が明るいのでかえって寂寥感があります。」(夕花)
頬杖を右に左に月涼し 夕花 「気持ちいいでしょうね!」(ちあき)
「きれいな月を窓辺で楽しんでいる乙女は、素敵です。それも頬杖で〜」(緑茶)
早苗取り八十路嫗のひとりごち 櫻貝 「私の住んでます峡の村も同じですわ 米作りする若い方が見えません」(ゆき)
軒忍誰が水遣る天が遣る 晶子 「細いノズル、力強く屋根まで届くぞ。」(しおみ)
まっすぐに 新芽の力人に欲し  緑茶 「新梢はすごい勢いです、人もこうありたいでしょう」(ちあき) 
あじさいにデンデン虫を描かぬ子ら 瓢六 「かたつむりは減りました。ナメクジばかり増えて知らない子もいるのか」(おさむ)
シベリヤの白夜の捕虜を思い出し 零風 「経験した人にしか詠めない句で、得がたい背景でありとても新鮮に感じます。少し表現に曖昧さを感じますので、この場合、下手な例で恐縮ですが、「シベリヤに捕虜となりゐし日の白夜」などと、ご自身のこととして、きっぱりと詠みきられては如何でしょうか。さらに推敲なさることで、作者の代表作の一つとなるであろう御句と思いました。」(霜月)
はつ夏の富士くっきりと旅半ば あきこ 「旅半ばの綺麗な富士は如何にも儲けものですね。」(小自良)
老農の軽き杖つき田植かな まさき 「さんちゃん農業と言われましたが、是は土を愛する方を現しているとみました。人は土に生きているのです。」(晶子)