平成19年10月 選句結果

                     
得点 兼題 「秋の暮」 作者 戴いた人
6 追伸にまだある余白秋の暮 春雪 小自良 しおみ いくこ だいご もも
晶子
5 寂しさを骨ごと食らふ秋の暮 暖流 まさき あきこ 桜桃 緑茶 るい
4 向きおうて語り尽きない秋の暮 桜桃 唯人 桜貝 春雪 静歩
2 秋の暮腕に重たしレジ袋 まさき おさむ 暖流
2 雲燃えて染めにし川面秋の暮 桜貝 ウクレレ 零風
2 四度目の命の在処秋の暮れ いくこ 瓢六 夕花
1 立話あたり見ながら秋の暮 だいご ちあき
1 ふるさとの径かはらずに秋の暮 あきこ CGE
得点 雑詠 作者 戴いた人
3 秋祭りこらえても足うきたちぬ ちあき おさむ ウクレレ あきこ
3 狛犬の顔がのどかな神無月 唯人 夕花 いくこ 晶子
3 ななかまど炎えてわたしも火の点る あきこ CGE だいご 晶子
3 冷ゆるまで母と眺めし杜鵑草 桜貝 まさき 静歩 桜桃
3 また別の風の音あり秋は行く 静歩 ちあき いくこ 夕花
3 木道の影背伸びして草紅葉 まさき 桜貝 あきこ 桜桃
3 木犀のこぼれてやさし小紋柄 和泉 暖流 零風 緑茶
2 青虫を抱いてコスモス風の中 桜桃 小自良 桜貝
2 運動会家族で開く昼餉の輪 静歩 しおみ 零風
2 学童の胸から歩む赤い羽根 まさき 暖流 唯人
2 山間の紅の一刷毛秋深し いくこ もも 春雪
2 親身とは距離を置くこと金木犀 夕花 おさむ もも
2 長々と学童の列みかん山 もも まさき 緑茶
2 山々のパッチワークや秋の風 だいご 春雪 静歩
2 夢の世の命ぬくしや鳥渡る あきこ しおみ るい
1 氏神は出雲におはす秋祭り 唯人 ウクレレ
1 裏木戸の音にときめく寝待月 春雪 CGE
1 かけあがりもみじ一葉くるり舞う ちあき 小自良
1 献立に悩みつ栗の皮をむく いくこ だいご
1 零れしを指で舐めとる新酒かな 暖流 唯人
1 小鳥来る祝婚の米降りそそぎ 暖流 るい
1 見てみたい想いかなわぬ風の盆 和泉 ちあき
私の選んだ一句
追伸にまだある余白秋の暮 春雪 「最近は手紙を書かなくなりましたが、こんな手紙欲し いものです。」(小自良)
「寂しさにいてもたってもおられなくてしたためました。追伸までつかっても、やはりいいたりない。白いところこそ、わかっていただけたら〜〜。」(しおみ)
「まだある余白・・・に込められた思いはジンッと胸に響きます」(いくこ)「追伸の余白が何かを連想させそうに思えるのですがはっきりと決めかねる所が叉一興です。」(晶子)
寂しさを骨ごと食らふ秋の暮 暖流 「何とも惹かれる句でした。「骨ごと食らふ」が活きています。」(まさき)
「夕暮れの迫る帰宅路、自分がどこからどこへ歩いているのかわからない空っぽになることがあります。骨ごと食らうと大地に足がつくのでしょうか?」(緑茶)
「「骨ごと食らふ」という表現に目を奪われてしまいました。どちらかと言えば、やわらかく曖昧な感じのする「寂しさ」を作者は「骨ごと」食らうと表現しました。なんと大胆で、潔い。私も真似してみましょう。骨ごと、丸ごと、頭からかぶりついて。きっとさみしさが晴れるに違いありません。」(るい)
秋の暮腕に重たしレジ袋 まさき 「廉いからと買っているとついレジ袋に入れてからその重さに吃驚する」(おさむ)
四度目の命の在処秋の暮れ いくこ 「四度目の手術? 在処=命のありどころ(ちょっと苦しそう)で 有るならば惜しい気がする。この人しか詠めないものだけど伝わり難い。だけど命の在り処 この言葉は切々と来る。」(瓢六)
「それぞれの秋の暮れを拝見しましたが、この句に目が止まりました。「四度目の命」「命の在処」何を詠まれようとなさったのか定かに読み取れませんが、秋の深まりに添うようにふと目に止まりました。」(夕花)
立話あたり見ながら秋の暮  だいご 「秋の日の入りは、つるべ落としと言われます。暮れるのを気にしてか、立ち話で人のうわさをなどを聞くと、秋は声がよく通りますもの・・・。どっちなんでしょう 気になりました」(ちあき)
秋祭りこらえても足うきたちぬ ちあき 「子供の頃は鎮守の森から太鼓の音が聞こえるとそわそわしました。今は 何の感傷も 湧きません。」(おさむ)
狛犬の顔がのどかな神無月  唯人 「俳諧味がありますね。神様の留守、狛犬も日頃の緊張感からしばし解放されて、つい、顔もほころんでしまったのでしょう。」(夕花)
「主が留守の狛犬・・・さぞやと思い可笑しくも同情心が沸きます」(いくこ)
「神の留守は番をする狛犬も気を抜いているのでしょうか。そう考えると面白くなりました。」(晶子)
ななかまど炎えてわたしも火の点る あきこ 「石川さゆりの天城越えを思わせる女の情炎を察します。」(CGE)
「ナナカマドは七度焚いても燃えきれないなどと申します。心のナナカマドはくすぶっていますね。もう一度燃え上がることでしょう。」(晶子)
また別の風の音あり秋は行く 静歩 「目を閉じ、耳を澄ませば、、いろいろな秋の音が聞こえますね。時は流れていく感じが、しみじみ感じました」(ちあき)
「別の風良い音で有りますように・・・」(いくこ)
「たしかにそうです。初秋、中秋、晩秋、そして冬、それぞれ違った風の音があります。俳句を詠むからには、ここまで感覚を研がなければ。」(夕花)
木犀のこぼれてやさし小紋柄 和泉 「この季節香りをたどるとちいさな花がこぼれてます。本当に小紋のようですね。」(緑茶)
青虫を抱いてコスモス風の中 桜桃 「かろやかな秋風が見えます。」(小自良)
運動会家族で開く昼餉の輪 静歩 「運動会午前中きり上げがトレンドとなりつつあります。コンビニ弁当と重箱オセチの2極化がうながしつつあるのだそうです。」(しおみ)
学童の胸から歩む赤い羽根 まさき 「新発見です。確かにこども達は前のめりに歩きます。そんな姿を作者は「胸から歩む」と詩的に表現しました。しかもその中七を受けて、「赤い羽根」という季語が輝いています。」(暖流)
親身とは距離を置くこと金木犀 夕花 「付かず離れずが付き合いの極意。」(おさむ)
夢の世の命ぬくしや鳥渡る あきこ 「○○のことは夢のまた夢は白昼夢ではないのです。血が通ってこそ人の世なのです。鳥はいつでもメッセンジャーなのだ。」(しおみ)
裏木戸の音にときめく寝待月 春雪 「本来ならびくびくと不審に恐怖を覚える。胸ときめかすとは艶かしいお方ですね。またこっそりと訪ねくる心当たりがあるのですね。」(CGE)
かけあがりもみじ一葉くるり舞う  ちあき 「なさそうで有りそうな情景の一こま」(小自良)
見てみたい想いかなわぬ風の盆 和泉 「強い思いが、伝わります。かなわないから、より募りますね」(ちあき)