平成20年8月 選句結果

                     
得点 兼題 「お盆一式」 作者 戴いた人
4 還らぬを迎え火嵩の高くして ゆき CGE 小自良 コスモス 雪音
4 ふるさとは変はらぬままに盆の月 あきこ ウクレレ 零風 まさき 桜貝
3 新盆や仕事のみ終え逝った人 だいご しおみ 和泉 静歩
2 提灯も蚊帳も吊りたる鴨居消え しおみ 霧子 ゆき
2 盆踊り笛も太鼓も顔みしり 静歩 もも 緑茶
2 萬燈の山門出れば秋の声 春雪 あきこ 暖流
1 アルバムに残るぬくもり盂蘭盆会 桜桃 いくこ
1 去年より一つ加えて茄子の牛 まさき 弓子
1 コーヒーの香りで迎える帰省客 緑茶 おさむ
1 大文字あの世に帰る祈りの灯 零風 かれん
1 紅さして兄を迎ふる盆支度 桜貝 だいご
1 盆菓子を供える手馴母に似て いくこ 桜桃
1 盆唄や望郷胸にとめどなく 暖流 ちあき
得点 雑詠 作者 戴いた人
5 かなかなは古里発の駅のベル だいご 小自良 あきこ 春雪 緑茶 桜貝
5 帰省子の父への土産負け将棋 桜桃 あきこ ウクレレ だいご 桜貝 春雪
5 来る人も行く人もなく遠花火 雪音 小自良 霧子 暖流 コスモス 静歩
3 さびしさを隠しきれないサングラス 暖流 ちあき 和泉 だいご
3 なになくも釧路で捕れし初秋刀魚 和泉 CGE 桜桃 まさき
3 なきがらを運ぶ小虫の秋日かな 桜貝 暖流 まさき 春雪
2 朝露に濡れて蜘蛛の巣輝けり 雪音 もも いくこ
2 梅が香は土用の息よ深紅映ゆ しおみ CGE 雪音
2 炎天が脳細胞を直撃す 緑茶 しおみ 霧子
2 回覧板会話途切れず夏の暮れ 桜桃 おさむ 零風
2 はいはいの目指すは祖母の膝団扇 ゆき いくこ 零風
2 幼稚園草はむ山羊の夏休み いくこ かれん 静歩
1 汗もかき冷や汗もかき言い訳す 零風 ゆき
1 朝顔の数言い当てる幸いよ 和泉 弓子
1 朝顔の見開く一花空青し あきこ 雪音
1 風の盆八尾の村も遠くなりけり 霧子 ちあき
1 潅水を自らもあびボトボトと ちあき かれん
1 菊飾る旅に作りし壺いびつ 静歩 緑茶
1 デパートを出て真夏日の強さかな  いくこ おさむ
1 遠き日や母焚きくれし蚊遣り香 あきこ ゆき
1 夏風邪の唇あつき日よ桃届く もも 弓子
1 白球を捕りて笑みたり背丈伸ぶ もも コスモス
1 盆飾り海の道にも流れ着く 霧子 しおみ
1 鞭を背に浴びゆくごとく炎天下 暖流 和泉
1 まほろばの山を越えれば青田風 春雪 桜桃
1 ローカル線風鈴の音で客を待ち まさき もも
私の選んだ一句
還らぬを迎え火嵩の高くして ゆき 「我が家にはこんな風習はありませんが、お気持ち判ります」(小自良)
新盆や仕事のみ終え逝った人 だいご 「やはり不幸のサイドでしょうね。」(しおみ)
「定年までこつこつ仕事一筋。退職金も年金も使わなくて逝った人。知っています。 まぁ それはそれで。」(和泉)
盆踊り笛も太鼓も顔みしり 静歩 「故郷で迎えるお盆の様子が温かいです。」(緑茶)
提灯も蚊帳も吊りたる鴨居消え しおみ 「読み人は若いかたでしょうか?マンション暮らしでしゅか?今の若者は鴨居もしらないです人がおおいです。」(霧子)
「鴨居のなくなった新築家屋、鴨居の上にご先祖さま達ご夫婦の写真があった頃をおもい出してます」(ゆき) 
萬燈の山門出れば秋の声   春雪 「『万灯会』とはご先祖や縁者の精霊を供養し、命の尊さに心を寄せて報恩感謝の献灯を行なうという諸寺の行事ですが、夜の境内に数多の蝋燭や灯籠の灯りがゆらめく様は、まことに幽玄にして荘厳な光景です。この行事が果てると季節は徐々に秋へと移ります。人生の黄昏にも似た夏の終わりの物悲しい美しさが、 しみじみと胸に迫ります。」(暖流) 
アルバムに残るぬくもり盂蘭盆会 桜桃 「そばから去って逝った人は、アルバムの中に温もりを残して居ますよね。特にお盆は身近に居てくれる様なぬくもりを感じます。」(いくこ)
コーヒーの香りで迎える帰省客 緑茶 「冷えた麦茶が 好きな世代は過去になったか」(おさむ)
大文字あの世に帰る祈りの灯 零風 「毎年 天上からこの灯を眺めている亡き人たちへ 生きている私達をお守りくださいと胸の中で呼びかけています。幽明の中の寂寥の想いをよく読んでいただいたと選ばせていただきました。」(かれん)
盆唄や望郷胸にとめどなく 暖流 「同級の友人が『ふるさとを離れているものは、故郷の話題は、懐かしく切なく ききたいものよ』と言っていました。お盆休みの帰省のニュースに余計に思いは募るのでしょうね〜」(ちあき)
かなかなは古里発の駅のベル だいご 「絵になる風景ですね。実景?」(小自良)
「ゆったりとした時間が流れているようで、旅をしたくなります。」(緑茶)
来る人も行く人もなく遠花火 雪音 「我が家もこの句と同じ。老夫婦の実感?」(小自良)
「過疎の田舎にピッタシ。大都会の何万発、何10万発の花火毎年見てきた者には、田舎で過ごすようになり偶に聞こえる、音のみ。村でお盆に打ち上げ花火が有りますが。ションボリした、さみしいものです。見に行く事もまくなりました。」(霧子)
「 花火会場の賑わいとは対照的な人訪わぬ土地。作者は居所の窓からでも観ているのでしょうか。音も無く開いては消え去る小さな遠花火。華やかさよりも、儚さばかりがきらめいて・・・。作者の身辺の静かな寂寞が伝わってきます。」(暖流)
さびしさを隠しきれないサングラス 暖流 「サングラスのかっこよさがかえって、背中や肩が物語っているのでしょうね」(ちあき)
「ノーテンキには縁の無いような句ですがそれぞれの夏ですね。」(和泉)
なになくも釧路で捕れし初秋刀魚 和泉 「釧路の秋刀魚 今日テレビで見かけました。油高騰のあおりでしょうか例年よりも高かったですね。」(桜桃)
なきがらを運ぶ小虫の秋日かな 桜貝 「『秋日』は『秋の太陽』を指すこともありますが、この句では『秋の一日』の意とみてよいでしょう。せっせと蝉や蟲の死骸を巣へ引きずって過ごす小虫の一日。おそらくは明日も明後日も同じように過ぎていって、やがてはおのれが亡骸となる日が訪れる。 生きとし生けるものの命の哀れさを感じます。」(暖流)
「この時期、蟻たちがせっせと自分の何倍もあるような 大きな虫を運んでいるのを見かけますね。確かに秋なんですね。今晩も、外では虫たちがしきりに鳴いて?います。」(まさき)
朝露に濡れて蜘蛛の巣輝けり 雪音 「どういう訳か、今年の巣張りは、低いのですがとても珍しい」(もも)
炎天が脳細胞を直撃す 緑茶 「今年は特にそうでした。これぞ盛夏!」(しおみ)
「全く猛暑同じく、頭まで、回転が鈍りまし。」(霧子) 
回覧板会話途切れず夏の暮れ 桜桃 「涼しい夏の夕暮れの井戸端会議の現代版」(おさむ)  
はいはいの目指すは祖母の膝団扇 ゆき 「過ぎ日を思い出します、今はもう孫も大人に成って、何かが無いと寄りつきません(笑)」(いくこ)
幼稚園草はむ山羊の夏休み いくこ 「ハイジのアルプスの牧場を思い出しました。子供達の声のしない園庭で ヤギさんもあまり静かで眠くなっていることでしょう 優しい視線ですね」(かれん)
汗もかき冷や汗もかき言い訳す 零風 「言い訳する状況が伝わりウンウンと頷いてます」(ゆき)
朝顔の数言い当てる幸いよ  和泉 「暮らしのささやかな喜びを、さらりと」(弓子) 
風の盆八尾の村も遠くなりけり   霧子 「毎年『風の盆』に出かけていらしたのですか 老いて大儀になったかそれとも・・・とにかく物悲しいですね」(ちあき) 
潅水を自らもあびボトボトと  ちあき 「お父さん!いい加減にして!という声が聞こえます(^ー^* )フフ♪でも 気持ちいいですね 濡れついでやとTシャツで顔を拭いたりして。」(かれん)
菊飾る旅に作りし壺いびつ  静歩 「いつか旅立つ日のために壺を用意するのですね。私だったらどんな色にどんな絵を描くかしら?と思いめぐらせます。」(緑茶) 
デパートを出て真夏日の強さかな  いくこ 「財布だけは 涼しいままで」(おさむ) 
遠き日や母焚きくれし蚊遣り香  あきこ 「蚊遣りと蚊帳は昔セットでしたね今はしゅ 〜と一吹きです」(ゆき)
夏風邪の唇あつき日よ桃届く  もも 「桃の実は秋の季語。官能の気配に免じて」(弓子) 
白球を捕りて笑みたり背丈伸ぶ  もも 「父と子(あるいは祖父と孫でしょうか?・・)が楽しそうにキャッチボールをしている光景が目に浮かびました。子供の成長に目を細めているお父さん・・幸せなひとときと思いました。」(コスモス)
盆飾り海の道にも流れ着く  霧子 「小笠原で標識をつけたアオウミガメが本州で網にかかった。」(しおみ) 
鞭を背に浴びゆくごとく炎天下  暖流 「鞭とはまた大げさな! でも解りますこの猛暑。なんとかしてくれ。」(和泉)
まほろばの山を越えれば青田風  春雪 「山形・高畠には学問の神様を祀った「亀岡の文殊様」があります。この辺りも「まほろばの里」として果物やワイン・温泉で名を上げています。」(桜桃)